日本画家、野生司香雪(1885〜1973)が昭和初め、仏教聖地インド・サルナート(鹿野園)の初転法輪寺(ムーガンダクティー・ビハーラ)に描いた仏伝壁画の展覧会が香雪の故郷、香川県高松市の県立ムージアムで開かれます。会期は9月1日(火)から6日(火)まで。初日1日には元徳島文理大学非常勤講師の溝渕茂樹さんらによるフォーラムがあります。
古志七夕ズーム句会(2020年8月25日)
長谷川櫂選
☆第一句座
【特選】
髪やせてなほ織り姫の機の音 安藤久美
大樟の上を轟々天の川 岡村美沙子
亡き人の硯洗へば月のぼる 岡村美沙子
揺らしつつ七夕竹を選りにけり 玉置陽子
洗ひたる硯の窪む月日かな 佐々木まき
大阿蘇のはなやぐ夜や星祭り 川辺酸模
嵐めく風にまたたく星祭る 飛岡光枝
七夕や早稲を刈る村かぐはしく 北側松太
七夕竹明けゆく海に流しけり 澤田美那子
【入選】
七夕の飾りを顔で分けて行く 稲垣雄二
われらみな渡来人なり天の川 臼杵政治
つづれ織る爪をいたはり星祭 花井淳
この町は団扇吊せり七夕竹 丸亀葉七子
星月夜明日にひかへる目の手術 丸亀葉七子
七夕の笹に夕暮れ降りてくる 佐々木まき
停電の闇なつかしや天の川 上俊一
疫病の治まらぬ世や笹流す 上田雅子
一本は七夕竹に残しおく 斉藤真知子
戦乱の国にかかるや天の川 斉藤真知子
天山の砂漠に仰ぐ銀河かな 斉藤真知子
七夕やずしと楸邨全句集 川村玲子
鳴門の瀬とこよの渦よ天の川 曽根崇
星合ひや未だ還れぬ遺骨ある 密田妖子
掌にのせて小さき硯洗ひけり 飛岡光枝
七夕やあはれと聞くも波の音 北側松太
七夕や甍をきそふ出雲崎 北側松太
妻のため梨を買ひけり星今宵 木下洋子
彦星もすこし年取り吾がとなり 矢野京子
たをやかな竹を選びて星祭 澤田美那子
☆第二句座
【特選】
おほかたは叶はぬ願ひ笹飾り 上田雅子
やうやくに夜の寛ぐ星の秋 平尾福
わが胸に一つ流れよ秋の星 岩井善子
次の世へ託す硯を洗ひけり イーブン美奈子
七夕の笹に結ばん三百余句 長谷川冬虹
七夕竹少し萎れて香ぐはしく 田中紫春
庭に出て草履つゆけし天の川 飛岡光枝
恋々と黒き硯を洗ひけり 安藤久美
鵲の橋を探して更けにけり 金澤道子
【入選】
さうめんに紅一筋や天の川 飛岡光枝
ちやうどよき距離の二人や天の川 木下洋子
なかなかに眠らぬ街や天の川 佐々木まき
ゆさゆさと七夕竹を先頭に 玉置陽子
花も実もなく七夕竹華やぎぬ ストーン睦美
梶の葉を一枚拾ふ御所の庭 澤田美那子
郷関を出づれば独り天の川 曽根崇
銀漢やシルクロードの果てに生き 西川遊歩
句会へと今宵銀河を渡りけり 平尾福
玄海の海をまたぐや天の川 川辺酸模
玄海は鏡となりぬ星祭 園田靖彦
古窯より七夕酒の誘ひ来る 青沼尾燈子
荒縄で雁木に括り七夕竹 北側松太
七夕の短冊結びくれし父 斉藤真知子
七夕や園児にもある恋ごころ 密田妖子
七夕竹心静かに伐りにけり 上田雅子
七夕竹大空揺するうれしさよ 近藤沙羅
寝転んで草の匂ひや天の川 斉藤真知子
星まつる笹は乾びて風に擦れ 宮本みさ子
星座みな固唾を呑みて星の恋 花井淳
星祭月も祝ってをりにけり 近藤沙羅
帯締に願ひの糸のひと色を 矢野京子
大利根の釣り船に寝て天の川 岡村美沙子
天の河笹の櫓で漕ぐ月の舟 喜田りえこ
天の川百年の酒眠る洞 曽根崇
天上を旅する星をまつりけり 岩井善子
年老いて五色の糸に何願はむ 臼杵政治
念ずれば掬へそうなり天の川 升谷正博
風よ吹け星溢れしめ天の川 田中紫春
母は吾を許してゐるや星祭り 岡村美沙子
夜もすがら鳴きかはす鳥星今宵 川村玲子
古志仙台ズーム句会(2020年8月23日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
恋人を閉じ込めてゐる花氷 川村杳平
爆弾のやうな西瓜を真つ二つ 武藤主明
みちのくの闇の奥なる桃太る 佐藤和子
終戦日藁をつめたる敷き布団 宮本みさ子
ゲルニカのふたたび八月十五日 鈴木伊豆山
【入選】
身と心疾うに熔けたる残暑かな 青沼尾燈子
沙羅の花夢に呼ばれて覚めにけり 甲田雅子
日盛りや首振って耐え牛蒡の葉 石原夏生
コロナ禍や途切れ途切れて大文字 辻奈央子
ひるがへる鯉と目が遇ふ昼寝覚 川村杳平
出来加減ためつすがめつ菊師かな 石川桃瑪
返事待つことも仕事やアイスティー 森凜柚
辞世の句挙げて存ふ生身魂 石原夏生
川の字の崩れて海に熱帯夜 辻奈央子
飛行兵の剥落無言館涼し 鈴木伊豆山
・長谷川櫂選
【特選】
ささやかれゐて秋の蚊を殺しけり 那珂侑子
恋人を閉じ込めてゐる花氷 川村杳平
ひるがへる鯉と目が遇ふ昼寝覚 川村杳平
みちのくの闇の奥なる桃太る 佐藤和子
蟬落ちて蟻を払ふや羽と脚 青沼尾燈子
川の字の崩れて海に熱帯夜 辻奈央子
【入選】
潮浴びす十年前の大津波 佐伯律子
かなかなや人影もなき爆心地 川辺酸模
戦争を母は語らず白団扇 長谷川冬虹
精霊の思ひあかあか大文字 辻奈央子
見てる間に蚯蚓乾びる炎暑かな 川辺酸模
青蚊帳のよろよろと立つ仏間かな 石原夏生
溜池はぬるま湯のやう牛洗ふ 上俊一
スーパーのなかを一巡盆用意 那珂侑子
終戦日藁をつめたる敷き布団 宮本みさ子
ぎんどろの句集ひらくや夏の蝶 長谷川冬虹
一日で少年となる夏休み 佐伯律子
返事待つことも仕事やアイスティー 森凜柚
炎天の静かな街に爆心地 川辺酸模
主婦楽し玉蜀黍を皮ごとチン 那珂侑子
稲の花朝起きてまづ髪束ね 及川由美子
敗戦日風船ガムのほろ苦し 川辺酸模
第二句座(席題=赤のまま、色鳥、干し梅)
・長谷川冬虹選
【特選】
天の星一つこぼれて干梅に 辻奈央子
赤のまま未完の城を埋め尽くす 武藤主明
句敵は肥後もつこすや赤まんま 川辺酸模
一生に食べきれぬほど梅を干す 及川由美子
犬蓼をしごくや被曝する地球 宮本みさ子
【入選】
小鳥来てぎんどろ銀の葉を落とす 鈴木伊豆山
干し梅の日ごと似てくる祖母の顔 上俊一
赤のままホームの果てに一人立ち 伊藤寛
干梅の筵外れて二つ三つ 甲田雅子
・長谷川櫂選
【特選】
小鳥来てぎんどろ銀の葉を落とす 鈴木伊豆山
梅筵月の光に乾きゆく 鈴木伊豆山
一生に食べきれぬほど梅を干す 及川由美子
犬蓼をしごくや被曝する地球 宮本みさ子
干梅の筵外れて二つ三つ 甲田雅子
【入選】
一周忌形見の甕に梅漬る 川村杳平
梅を干す明日は舅の遠忌にて 青沼尾燈子
天の星一つこぼれて干梅に 辻奈央子
大笊を年に一度や梅を干す 石川桃瑪
目覚むれば色鳥こぼる狭庭かな 川辺酸模
色鳥の声は醜しオアフ島 川村杳平
ふるさとは梅実る国梅筵 長谷川冬虹
戦争の終はりのあの日赤のまま 甲田雅子
笊わらだ有るたけ出して梅を干す 佐伯律子
白髪の増えし女房梅を干す 川辺酸模
遠き日や梅干し弁当ひつそりと 甲田雅子
干し梅の日ごと似てくる祖母の顔 上俊一
梅を干す母の使ひし大き笊 阿部けいこ
休日の娘は日がな梅を干す 青沼尾燈子
梅干して天下の風を呼びにけり 宮本みさ子
色鳥や忘れしころに鳴る時計 及川由美子
太陽の子供のやうな梅を干す 武藤主明
過ぎてゆく時の酸つぱさソーダ水 森凜柚
ネット投句(2020年8月15日)特選と選評
・戦争の句は、『俳句の宇宙』に書いた忌日の句同様
真情がすべて。
・旧かなは『伊勢物語』で学んでください。
【特選】
敗戦忌青柚のごとき学徒らよ 04_宮城 長谷川冬虹
草も木も黙る八月人間は 07_福島 渡辺遊太
・人間も?
梅干すや座り心地を梅に聞き 11_埼玉 藤倉桂
流れゆく鮎も釣師も水の影 13_東京 西川遊歩
胸に汗真一文字の手術跡 13_東京 櫻井滋
七十五年後の少年敗戦日 13_東京 櫻井滋
気に入らぬことあるらしき団扇かな 14_神奈川 金澤道子
大いなる残火八月十五日 14_神奈川 三玉一郎
手から手へわたす八月十五日 14_神奈川 三玉一郎
炎天や不協和音の交差点 14_神奈川 天野史郎
この年は短冊一枚星祭り 15_新潟 高橋慧
胃切りしむかしありけり生身魂 20_長野 金田伸一
老の守る遺髪は黒し終戦日 23_愛知 宗石みずえ
灯籠のほのほのいのちほのぼのと 27_大阪 古味瑳楓
この坂も懐かしからむ門火たく 28_兵庫 藤岡美惠子
八月や哀しみの翼垂れてあり 33_岡山 齋藤嘉子
・八月の
朽ちゆける鉄扉八月十五日 40_福岡 北井乃峰子
美しや人を欺く熱帯魚 44_大分 土谷眞理子
星合ひの壱岐や対馬や浪とどろ 99_不明 園田靖彦
取って置き今年切り出す七夕竹 99_不明 園田靖彦
・取つて
コロナ後も変わらぬものに心太 99_不明 高角みつこ
・変はらぬ
古志金沢ズーム句会(2020年8月16日)
第一句座
・鬼川こまち選
【特選】
ゆらゆらと市電が通る原爆忌 酒井きよみ
父母の山河八月十五日 泉早苗
大いなる雲の奥より秋来たる 齋藤嘉子
大拙の世界は柳ちるころか 長谷川櫂
水底の豆腐をすくふ晩夏かな 泉早苗
虻はらふ馬のしつぽの大回転 梅田恵美子
草木に焦土の記憶原爆忌 泉早苗
生身魂汝の八月を語られよ 篠原隆子
水求む人の列あり蟻の塔 泉早苗
とどろきて瀧となりたる行者かな 安藤久美
【入選】
打たれても虻悠々と馬の尻 梅田恵美子
逃げ水を追ふかのごとき明日かな 清水薫
父母乗せむ二頭立てなる茄子の馬 氷室茉胡
秋蝶のすがたを見せぬ暑さかな 近藤沙羅
たたまれて一本の棒白日傘 稲垣雄二
踏まるるな風にころがる蝉のから 梅田恵美子
秋の夜の一枚板の古机 松川まさみ
祷りつつ細りつつ八月は逝く 泉早苗
終戦日明けて平和のはじめたれ 松川まさみ
百ほどもルールあるらし蟻の列 清水薫
凌霄花女もときに啖呵切る 酒井きよみ
憎らしやまだ元気なる生見魂 山本桃潤
民草の涙が茂るガジュマルぞ 齋藤嘉子
八月や人もマスクも使ひ捨て 稲垣雄二
大蟻を潰し南無阿弥陀仏とは 密田妖子
鳴かば声美しからん赤蜻蛉 趙栄順
恐ろしや弾の降りくる蟻の列 谷眞理子
梅干の落ち着くところ握り飯 清水薫
・長谷川櫂選
【特選】
青春は恥の時代よ爽やかに 趙栄順
水底の豆腐をすくふ晩夏かな 泉早苗
憎らしやまだ元気なる生見魂 山本桃潤
大灘は波で波ゆふ星まつり 篠原隆子
鳴かば声美しからん赤蜻蛉 趙栄順
恐ろしや弾の降りくる蟻の列 谷眞理子
【入選】
向日葵の背中に燃ゆる残暑かな 稲垣雄二
父母乗せむ二頭立てなる茄子の馬 氷室茉胡
海風に切子を灯す漁師かな 花井淳
この地球あをあをとあれ蚯蚓鳴く 酒井きよみ
たたまれて一本の棒白日傘 稲垣雄二
少年の明日の背丈や立葵 中野徹
この盆は三日三晩を水入らず 酒井きよみ
墓訪へばゑのころぐさのほしいまま 佐々木まき
父母の山河八月十五日 泉早苗
虻はらふ馬のしつぽの大回転 梅田恵美子
風鈴や機嫌よろしきけふの風 清水薫
草木に焦土の記憶原爆忌 泉早苗
秋の夜の一枚板の古机 松川まさみ
生身魂汝が八月を語られよ 篠原隆子
白雲のかがやく空や秋暑し 近藤沙羅
その中の種は血の色ゴーヤかな 玉置陽子
ふりむかぬ思ひの滲む秋日傘 松川まさみ
木洩れ日は花びらである葡萄棚 趙栄順
くれなゐの願の糸よ清瀬村 篠原隆子
民草の涙が茂るガジュマルぞ 齋藤嘉子
木賊刈る木賊の影を負ひながら 篠原隆子
浮雲の解けては結ぶ今朝の秋 玉置陽子
投了や向かひて涼しき顔と顔 齋藤嘉子
大樹から去りゆく蝉やまた一つ 花井淳
遠き日の記憶正確生身魂 氷室茉胡
蒲焼の泥鰌を抱へ盆の月 宮田勝
八月や人もマスクも使ひ捨て 稲垣雄二
汝が胸が我がふるさとぞ生身魂 趙栄順
早稲の香や百万石の大日和 佐々木まき
盆の月かぼちや煮たがを二の膳に 花井淳
羽根のみを残して蝉は消えにけり 密田妖子
握り飯のへそに梅干落ち着きぬ 清水薫
第二句座 席題「鵙」、「落し水」
・鬼川こまち選
【特選】
鵙の贄低いぞ雪は少ないぞ 密田妖子
ジンジャーの花ぽろぽろと鵙日和 玉置陽子
水落ちて日に日に加賀はかぐはしき 長谷川櫂
鳴く声に濃淡のあり鵙日和 趙栄順
奔放な後ろ姿よ落し水 山本桃潤
日輪を底に沈めて落し水 玉置陽子
落し水噴き出す泥を鷲掴み 宮田勝
いそいそと田の水落つる星の空 佐々木まき
【入選】
石一つで変はる運命落し水 山本桃潤
鵙一声あとは閑かな奥卯辰 泉早苗
影長き人来て田水落しけり 安藤久美
願わくば我に実りを落とし水 松川まさみ
人は誰も涙こらへぬ鵙の贄 松川まさみ
大事件ありたるらしく鵙なけり 酒井きよみ
免許証持たぬ俳人百舌の影 清水薫
落し水いよいよ空は広くなる 齋藤嘉子
誰がために差し上げられし鵙の贄 谷眞理子
鵙のにへ干からびてもう枝となり 梅田恵美子
・長谷川櫂選
【特選】
影長き人来て田水落しけり 安藤久美
秋津洲海へ傾け水落す 中野徹
生きながら鵙の贄とぞなりにける 趙栄順
友禅の糊置進む落し水 花井淳
かさこそと葉陰に触るる鵙の贄 佐々木まき
モズ吉と名付けて鵙を待ってをり 近藤沙羅
行く道に蒼空広し鵙日和 宮田勝
【入選】
鵙一声あとは閑かな卯辰山 泉早苗
まつすぐに空突き抜けて鵙の声 梅田恵美子
よりにより目の高さなる鵙の贄 酒井きよみ
日輪を底に沈めて落し水 玉置陽子
落し水女房をのせ耕運機 密田妖子
まるで花咲くやうにあり鵙の贄 齋藤嘉子
いそいそと田の水落つる星の空 佐々木まき
大谷弘至主宰のズーム講座 「小林一茶」
学校俳句研究会(小山正見会長)は9月の土曜日、大谷弘至さん(「古志」主宰)のズーム連続講座「小林一茶」を開きます。大谷さんは小林一茶研究の第一人者です。
・日 時 =9月19日(土)、26日(土)、午後8時30分〜9時30分
・参加費 =2000円
・申し込み=8月31日(月)までに小山会長(oyamamasami@gmail.com)へ。
古志鎌倉ズーム句会(2020年8月9日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
八月や牛馬絶唱の原野あり 神谷宣行
冬瓜やいまも戦のただ中に 長谷川櫂
しんしんと高し八月十五日 神谷宣行
掃き寄するものの軽さよ今朝の秋 澤田美那子
糸瓜棚風に任せておけば良く 西村麒麟
敗戦忌父つぶやきし杜甫の詩 越智淳子
軍服はかくも丈夫や魂祭 木下洋子
【入選】
やうやくに籐椅子に添ふこの身かな 長井はるみ
昼寝覚ひとりぼつちに戻りけ 吉田順子
あちこちの綻ぶ地球つづれさせ わたなべかよ
けさ空を仰げば夏の墓標あり 長谷川櫂
夏の蝶インパールより続く地に イーブン美奈子
江の島に龍棲む岩屋土用波 金澤道子
一枚の布巻いてサマードレスかな 西川遊歩
敗戦忌ラジオが探す尋ね人 西川遊歩
百姓を退きてさみしき明けの梅雨 園田靖彦
夏の川坊主頭の子どもたち 藤原智子
ひまはりが空へ群れ咲く爆心地 神谷宣行
波乗りは大碧落に呑まれけり 長谷川櫂
くすくすと笑つてゐたる夜の桃 西村麒麟
どの子にも高らかにあれ夏木立 関根千方
茄子漬に辛子たつぷり夜の秋 葛西美津子
踊る人なければ一人踊るなり 森永尚子
•長谷川櫂選
【特選】
やうやくに籐椅子に添ふこの身かな 長井はるみ
八月や牛馬慟哭の原野あり 神谷宣行
一枚の布巻いてサマードレスかな 西川遊歩
しんしんと高し八月十五日 神谷宣行
【入選】
電線を栗鼠の走れり夏の月 金澤道子
夏の蝶インパールより飛び来たる イーブン美奈子
掃き寄するものの軽さよ今朝の秋 澤田美那子
踊る人なければ一人踊るなり 森永尚子
敗戦忌父つぶやきし杜甫の詩 越智淳子
軍服はかくも丈夫や魂祭 木下洋子
第二句座
席題=茶立虫 、生身魂
•藤英樹選
【特選】
弾ひとつ身体に埋づめ生身魂 西川遊歩
弔ひの半生なりき生身魂 園田靖彦
生身魂櫓をこぐ真似をしてゐたり 西村麒麟
夢の底サツサツとゆく茶立虫 おほずひろし
生身魂こころ半分空にあり 藤原智子
茶立虫母と添ひ寝の一夜かな 吉田順子
【入選】
生身魂けふはこの世に戻りゐし 葛西美津子
本の山枕のそばに生身魂 田中益美
茶立虫猫の耳垢ぬぐひをり 関根千方
生身魂山河慟哭の昔あり 長谷川櫂
生身魂となりたる猫や二十才 関根千方
生き抜いて今が幸せ生身魂 吉田順子
猪口一杯召されて機嫌生身魂 葛西美津子
もの言へば言葉詩となる生身魂 西川遊歩
一人居の吾に親しき茶立虫 わたなべかよ
腸をのの字にこする生身魂 関根千方
•長谷川櫂選
【特選】
郎党のほまれこれあり生身魂 園田靖彦
弾ひとつ身体に埋づめ生身魂 西川遊歩
我が庵の自慢なりけり茶立虫 森永尚子
弔ひの半生なりき生身魂 園田靖彦
太閤の閨おどろかす茶立虫 藤英樹
【入選】
生身魂けふはこの世に戻りゐし 葛西美津子
父母を恋ふ日もあらん生御魂 澤田美那子
祀るべき偉業はあらず生身魂 イーブン美奈子
亡き夫は若きままなり生身魂 木下洋子
水漬たる家かさこそと茶立虫 神谷宣行
明け方の部屋ひんやりと茶立虫 神谷宣行
仏壇の大が自慢や生身魂 長井はるみ
夢の底サツサツとゆく茶立虫 おほずひろし
猪口一杯召されて機嫌生身魂 葛西美津子
また誰ぞ起き出してきし茶立虫 イーブン美奈子
一人居の吾に親しき茶立虫 わたなべかよ
腸をのの字にこする生身魂 関根千方
茶立虫母と添ひ寝の一夜かな 吉田順子
六人の姉を送りぬ生身魂 わたなべかよ
広島ズーム句会(2020年8月2日)
・第一句座
【特選】
ゴーヤーの鬼の金棒太りけり 飛岡光枝
考へる八月のまた来たりけり 矢野京子
歳月や膝にずしりと夏の山 高橋真樹子
蚊帳くぐるあの日の母と眠らんと 百田直代
水打てり八月一日ヒロシマに 矢野京子
石もまた真昼の夢を瑠璃蜥蜴 神戸秀子
八月やいづこに眠る祖父の骨 ストーン睦美
油照りどこを帰るも登り坂 原京子
立ち上がる夏潮のごと言葉あれ 斉藤真知子
【入選】
おろしたて祭の下駄に咬まれけり 丸亀葉菜子
この町を川きらきらと広島忌 石塚純子
ほうたるほたる特養ホーム窓開けよ 神戸秀子
日向水もの売りのこゑとほくより 神戸秀子
雨上がり道に映りて夏の蝶 夏井通江
夏の月原曝ドーム古りにけり 斉藤真知子
夏帯や締めては解いて約百年 百田直代
葛飾や金魚田を雲流れゆく 飛岡光枝
帰省子が買ふも転職情報誌 丸亀葉菜子
自家製の梅干持ちて自炊宿 河本秀也
青々とつづく松原遠泳す 飛岡光枝
戦争が終つたと父言ひし夏 伊藤靖子
蛸飯を食うて風待つ港かな 大場梅子
つかの間の命惜しまん桃を食ぶ 上松美智子
男梅雨桃の落果の累々と 石塚純子
竹皮を裂きて括りぬ鱧の皮 原京子
読みかヘすオバマスピーチ広島忌 菅谷和子
梅雨出水浸かりて家の閑かなる 米山瑠衣
部屋干しに囲まれ夫と茄子食ぶ 夏井道江
風蘭やまだ降りたげな空のいろ 矢野京子
奮発の白服吊す夏よ来い 石塚純子
母おはすごとくに桔梗咲きにけり 大場梅子
黙祷を拒む人あり原爆忌 神戸秀子
藁布団敷いて担ぐも大西瓜 大平佳余子
・第二句座
【特選】
山蒼く父母抱きとれよ門火焚く 石塚純子
菜園の野菜詰込み夏見舞ひ 菅谷和子
魂帰る道の長さよさみしさよ 大平佳余子
【入選】
夏見舞すなはちコロナ見舞かな 大場梅子
夏見舞青きマスクの添へてあり 神戸秀子
笹の葉に包みて鮎や夏見舞ひ 斉藤真知子
一草を描きて暑中見舞ひかな 矢野京子
送り火やまだ日の温み残る道 飛岡光枝
送り火の終はりて家はかしましく ストーン睦美
夏見舞ひ藍染マスク平癒幣 丸亀葉菜子
送り火やけふのこの日が終わるまで 百田直代
暑中見舞大事な人を忘れけり 林弘美
煙らせてコロナ退散門火焚く 矢野京子
この家や今年かぎりの門火焚く 神戸秀子
「古志ズーム句会」定員25人に
「古志ズーム句会」の定員を9月から25人(現在20人)に増やします。参加希望者は右サイドの「ズーム句会申込」から申し込んでください。そのさい広島、金沢、鎌倉、仙台のうち、どの句会に参加したいかを書いてください。決定は事務局に一任してください。
また「古志ズーム句会」にすでに参加している人の移籍を年1度1月に行います。12月に移籍希望のフォームを掲載いたします。
ネット投句(2020年7月31日)特選と選評
・何よりも心に届く句を。
・それだけ考えていれば、細かなことは自ずから身についてきます。
・そうならなければ、心の持ち方の問題。
・これで相手に届くかどうか、推敲をお忘れなく。
・器用に作った句はダメ。
【特選】
コロナ禍の彩も切なき花火かな 05_秋田 佐藤一郎
巣籠もるや五色並べて奈良団扇 11_埼玉 藤倉桂
術衣着て待つ私以外全部夏 13_東京 長井亜紀
驚きし蜥蜴やわれもおどろきぬ 13_東京 堀越としの
星空へ抱き上げられて遠花火 13_東京 齊藤拓
・られし花火かな
蜘蛛の巣を払へば糸のまつわり来 14_神奈川 越智淳子
滝壺を水おとなしく出てゆけり 14_神奈川 金澤道子
夕風に息するつぼみ紅芙蓉 14_神奈川 原田みる
蓮の花肩に担ひて帰りけり 14_神奈川 水篠けいこ
梅雨出水見る間に橋が流れ去り 14_神奈川 土屋春樹
・去る
爽やかな文字の遺句帖特攻へ 14_神奈川 那珂侑子
白桃の箱をそおつと開けるとき 14_神奈川 那珂侑子
天空に地球が赤く燃える夏 20_長野 大島一馬
永うながう谺しはるか富士は花影 20_長野 柚木 紀子
初盆や激しき性も石の下 23_愛知 青沼尾燈子
・激情もいま
みな河馬の顔(かんばせ)となる昼寝覚 26_京都 氷室茉胡
・われ河馬の
噴水の穂の柔らかき夜風かな 28_兵庫 千堂富子
短夜や明けて無慚な最上川 28_兵庫 天野ミチ
虚空より一筋の青糸とんぼ 28_兵庫 藤岡美惠子
・虚空飛ぶ
海はエロス真白なヨット走らせて 44_大分 山本桃潤
死んだ子がいつも待ってる墓参り 46_鹿児島 大西朝子
・待つてる
