古志七夕ズーム句会(2020年8月25日)
長谷川櫂選
☆第一句座
【特選】
髪やせてなほ織り姫の機の音 安藤久美
大樟の上を轟々天の川 岡村美沙子
亡き人の硯洗へば月のぼる 岡村美沙子
揺らしつつ七夕竹を選りにけり 玉置陽子
洗ひたる硯の窪む月日かな 佐々木まき
大阿蘇のはなやぐ夜や星祭り 川辺酸模
嵐めく風にまたたく星祭る 飛岡光枝
七夕や早稲を刈る村かぐはしく 北側松太
七夕竹明けゆく海に流しけり 澤田美那子
【入選】
七夕の飾りを顔で分けて行く 稲垣雄二
われらみな渡来人なり天の川 臼杵政治
つづれ織る爪をいたはり星祭 花井淳
この町は団扇吊せり七夕竹 丸亀葉七子
星月夜明日にひかへる目の手術 丸亀葉七子
七夕の笹に夕暮れ降りてくる 佐々木まき
停電の闇なつかしや天の川 上俊一
疫病の治まらぬ世や笹流す 上田雅子
一本は七夕竹に残しおく 斉藤真知子
戦乱の国にかかるや天の川 斉藤真知子
天山の砂漠に仰ぐ銀河かな 斉藤真知子
七夕やずしと楸邨全句集 川村玲子
鳴門の瀬とこよの渦よ天の川 曽根崇
星合ひや未だ還れぬ遺骨ある 密田妖子
掌にのせて小さき硯洗ひけり 飛岡光枝
七夕やあはれと聞くも波の音 北側松太
七夕や甍をきそふ出雲崎 北側松太
妻のため梨を買ひけり星今宵 木下洋子
彦星もすこし年取り吾がとなり 矢野京子
たをやかな竹を選びて星祭 澤田美那子
☆第二句座
【特選】
おほかたは叶はぬ願ひ笹飾り 上田雅子
やうやくに夜の寛ぐ星の秋 平尾福
わが胸に一つ流れよ秋の星 岩井善子
次の世へ託す硯を洗ひけり イーブン美奈子
七夕の笹に結ばん三百余句 長谷川冬虹
七夕竹少し萎れて香ぐはしく 田中紫春
庭に出て草履つゆけし天の川 飛岡光枝
恋々と黒き硯を洗ひけり 安藤久美
鵲の橋を探して更けにけり 金澤道子
【入選】
さうめんに紅一筋や天の川 飛岡光枝
ちやうどよき距離の二人や天の川 木下洋子
なかなかに眠らぬ街や天の川 佐々木まき
ゆさゆさと七夕竹を先頭に 玉置陽子
花も実もなく七夕竹華やぎぬ ストーン睦美
梶の葉を一枚拾ふ御所の庭 澤田美那子
郷関を出づれば独り天の川 曽根崇
銀漢やシルクロードの果てに生き 西川遊歩
句会へと今宵銀河を渡りけり 平尾福
玄海の海をまたぐや天の川 川辺酸模
玄海は鏡となりぬ星祭 園田靖彦
古窯より七夕酒の誘ひ来る 青沼尾燈子
荒縄で雁木に括り七夕竹 北側松太
七夕の短冊結びくれし父 斉藤真知子
七夕や園児にもある恋ごころ 密田妖子
七夕竹心静かに伐りにけり 上田雅子
七夕竹大空揺するうれしさよ 近藤沙羅
寝転んで草の匂ひや天の川 斉藤真知子
星まつる笹は乾びて風に擦れ 宮本みさ子
星座みな固唾を呑みて星の恋 花井淳
星祭月も祝ってをりにけり 近藤沙羅
帯締に願ひの糸のひと色を 矢野京子
大利根の釣り船に寝て天の川 岡村美沙子
天の河笹の櫓で漕ぐ月の舟 喜田りえこ
天の川百年の酒眠る洞 曽根崇
天上を旅する星をまつりけり 岩井善子
年老いて五色の糸に何願はむ 臼杵政治
念ずれば掬へそうなり天の川 升谷正博
風よ吹け星溢れしめ天の川 田中紫春
母は吾を許してゐるや星祭り 岡村美沙子
夜もすがら鳴きかはす鳥星今宵 川村玲子