先日(2024年11月10日、日曜日)の鎌倉ズーム句会で、おほづひろしさんの
げつそりと痩せたる手足初湯かな
という句がありました。上五の「げつそりと」はいただけない、再考の余地ありとお伝えしましたが、その後の推敲、名案浮かびましたか。
一案、
痩せたまふ足の命(みこと)の初湯かな
という手もあるかと。
新春詠ですから、何事もめでたきさまに。
先日(2024年11月10日、日曜日)の鎌倉ズーム句会で、おほづひろしさんの
げつそりと痩せたる手足初湯かな
という句がありました。上五の「げつそりと」はいただけない、再考の余地ありとお伝えしましたが、その後の推敲、名案浮かびましたか。
一案、
痩せたまふ足の命(みこと)の初湯かな
という手もあるかと。
新春詠ですから、何事もめでたきさまに。
第一句座
•藤英樹選
【特選】
ふるさとの山のごとくに蒲団干す 藤原智子
鯛焼や日のあるうちに買ひにゆく 藤原智子
紅葉の木々のまほらに大紅葉 長谷川櫂
小春日に迷いひ込んだる蜆蝶 澤田美那子
【入選】
べつたら市雪より白き米麹 西川遊歩
膝の上匂ひしてゐる今川焼 田中益美
山廬いま青き香のなか松手入 関根千方
しぐるるやヒシギに呼ばれ里女 わたなべかよ
海鳴りや大根を干す背中にも 森永尚子
風花やうれしきことはしづかに来 澤田美那子
•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
山廬いま松の香のなか松手入 関根千方
一握の灰となるまで日向ぼこ 森永尚子
秋出水いのしし一頭流され来 仲田寛子
木の実ひとつ君の思ひ出小引き出し 森永尚子
ヨモツヒラサカ狂ヒ花巨大ナリ イーブン美奈子
【入選】
一票の行方は知れず初氷 木下洋子
返り花一つ開きて古木かな 藤原智子
づたづたの能登置き去りに秋は行く きだりえこ
初氷花に埋もるる母の顔 神谷宣行
ひとつづつ山河の重み秋果盛る 仲田寛子
大蜥蜴冬の運河を覗き込む イーブン美奈子
熱燗や民主主義とは腹の立つ 藤英樹
屋根よりも高きに上り松手入 関根千方
東京は木枯らし一号母へ電話 森永尚子
第二句座 (席題:初湯 蓮根堀り)
•藤英樹選
【特選】
七十の乳房かがやく初湯かな 萬燈ゆき
のうのうと今は一人の初湯かな 金澤道子
蓮根掘り泥あたたかき一日かな 藤原智子
鬼の脛つかむがごとく蓮根引く 関根千方
【入選】
胴長の抜き差しならず蓮根堀 葛西美津子
蓮根掘るマンション群に囲まれて 木下洋子
はからずも米寿となりて初湯かな 澤田美那子
番台の日本髪なる初湯かな 佐藤森恵
蓮根掘り片足抜かば深みへと わたなべかよ
蓮根掘る太きホースを唸らせて 仲田寛子
赤んぼが一番乗りの初湯かな 萬燈ゆき
げつそりと痩せたる手足初湯殿 おほずひろし
•長谷川櫂選 (推敲例)
【特々選】
七十の乳房かがやく初湯かな 萬燈ゆき
蓮掘るや泥のなかより観世音 きだりえこ
初湯して桃色の妻眩しめり わたなべかよ
【特選】
蓮根引く泥のなかへと引き込まれ 関根千方
やはらかく泥を揺すりて蓮を引く イーブン美奈子
のうのうと今は一人の初湯かな 金澤道子
蓮根掘り泥あたたかき一日かな 藤原智子
【入選】
この晴れ間のがすものかと蓮根堀 田中益美
蓮根掘り泥にまみれてまだ続く 金澤道子
蓮根掘るマンション群に囲まれて 木下洋子
腰までの長靴重く蓮根掘る 鈴木榮子
蓮根掘小学生が眺めに来 木下洋子
蓮根掘る太きホースを轟かせ 仲田寛子
赤んぼが一番乗りの初湯かな 萬燈ゆき
鬼の脛つかむがごとく蓮根引く 関根千方
あたたかき一日選んで蓮根掘る 藤原智子
第一句座
・矢野京子選
【特選】
零戦は底なき闇へ展宏忌 米山瑠衣
生きて届く渡蟹こそ初荷かな 長谷川櫂
秋鰺のたたきあら汁展宏忌 ももたなおよ
日の丸の巻きつくポール展宏忌 矢田民也
暁に海鳴り止まぬ展宏忌 駒木幹正
【入選】
手首にもくるぶしひとつ露けしや 神戸秀子
わが角もまあるくなつて冬に入る 大場梅子
霧がたち遂に兄逝くハマちゃんも ももたなおよ
推敲の色なき風に吹かれをり 城山邦紀
井戸塀の政治家遠し秋刀魚焼く 金田伸一
あかぎれて罅われて原爆ドーム 長谷川櫂
返り花いつのまにやら八重桜 上松美智子
撃ち損ねほつとしてゐる猟初 菅谷和子
外苑の伐らるる木々に秋の雨 斉藤真知子
安達太良の空に真白き秋の雲 伊藤靖子
子に後れゆつくりと行く木の実山 石塚純子
寒空に花のスカーフ打つて出る 夏井通江
つぶぞろひ重き稲穂に大臣賞 原京子
戦争はまつぴらごめん展宏忌 斉藤真知子
大谷の満面の笑み冬に入る 安藤文
展宏忌泉濁したお相手は 岡村美沙子
展宏忌恋の港に佇みて 林弘美
父の名の遺る表札松手入 矢田民也
観音に十一の眉間野路は秋 高橋真樹子
・長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
浮寝鳥大波に夢さらはれき 斉藤真知子
展宏忌こよひいづくの酒の神 矢野京子
返り花ひらけばなんと八重桜 上松美智子
戦争はまつぴらごめん展宏忌 斉藤真知子
【入選】
関節に油差したし展宏忌 ストーン睦美
木枯しや空也の杖は鹿の角 大場梅子
星月夜介護する身とさるる身と 瑞木綾乃
小春富士わたくししたる展宏忌 矢田民也
返り花展宏さんを偲ぶべく 安藤文
打つて出る花のスカーフ凩へ 夏井通江
黄葉の奈落にひとつわが家あり 高橋真樹子
菊の日や自分のための握り飯 矢野京子
第二句座(席題:柿、マスク)
・矢野京子選
【特選】
マスクとは涙も吸うてくるるもの 米山瑠衣
家仕舞最後の柿を頂きぬ 瑞木綾乃
マスクして遠き日の恋すれ違ふ 高橋真樹子
【入選】
太郎柿どこにおはすと次郎柿 城山邦紀
したたかに酔うて候ふ熟柿かな 長谷川櫂
マスクしてマスクをやめる会議かな 矢田民也
マスクして四十九日の経つづく 今村榾火
柿たはは百戸の谿をうるはせて 大平佳余子
・長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
糖尿や夢でいただく富有柿 金田伸一
鬼の尻座れるごとし次郎柿 今村榾火
種多き禅寺丸柿手強いぞ 大場梅子
スズメバチと闘ひ熟柿守る人 加藤裕子
懐にいまだしのばすマスクかな 安藤文
【入選】
マスクとは涙も吸うてくるるもの 米山瑠衣
家仕舞最後の柿を頂きぬ 瑞木綾乃
マスクして若返りけり大きな目 夏井通江
マスクして四十九日の経つづく 今村榾火
マスクして遠き日の恋すれ違ふ 高橋真樹子
マスクして年寄りばかりローカル車 金田伸一
干柿の日毎に萎ゆる簾かな 駒木幹正
人の世を隔つるマスク捨てられず 石塚純子
佐渡やいま金色放つおけさ柿 安藤文
眼差しに出でて怒りのマスクかな 斉藤真知子
10月10日(木)の熊本日日新聞文化面に《故郷の肖像》「海の国の物語」⑥が載っています。ご感想あればどうぞ。
毎月第2木曜日に掲載予定。次回は11月14日です。
ストップしていた外苑再開発が動き出すことになった。樹木伐採本数を124本減らして619本とするなどの「見直し案」が東京都環境影響評価審議会で受け入れられたというかたち。
抜本的な解決には程遠く残念だ。「俳句的生活」のサイトでは山桜植樹に取り組んでおり、今回のような対応では各地にあるであろう植樹等によって環境保全に尽力しようという試みを台無しにするようである。日本の貴重な自然環境が損なわれていくことに当然納得いく立場ではない。
しかし、かと言って、この場でなにか表明するという位置にあるわけではないとも思う。せめて自然を尊ぶ意思を強く持つことをもってこうした事態に耐えていきたいと思う次第だ。私には、いまの悲しみを句にできる力がない。が、たとえ初心者であれ、ここに居る身としてこの投稿に一句は添えておくべきだろう。
おけら鳴く今宵銀杏も鳴くとかや 握
【長谷川櫂コメント】佐賀県武雄市の武雄神社には樹齢3000年の大楠があります。樹木は何百年、何千年と生きるのに、人間は数十年、せいぜい百年ではありませんか。たかがカネ儲けのために619本もの樹木を切るという今回の行為は、どう理屈をつけようと「樹木への敬愛」をまったく欠いた蛮行にほかなりません。加担した三井不動産などの業者、東京都、そして明治神宮にも天罰が下ります。
第一句座
梅室忌または当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
富士山の解けては氷る小春かな 長谷川櫂
一山をころがす勢ひ猪の鼻 酒井きよみ
猿面の老ゐて味はひ梅室忌 山本桃潤
てつぺんに止まりて鵙の天下かな 橋詰育子
ごつごつと一本の道栗羊羹 飛岡光枝
稲妻を手斧で切つて花入に 長谷川櫂
一弾の谺や秋の水に罅 松川まさみ
彗星の尾がふれゆきし金木犀 安藤久美
悴んで地球は重し鉄の玉 長谷川櫂
【入選】
竹箒一夜の秋を掃き集む 稲垣雄二
白徳利もて月待たん梅室忌 田村史生
鮒の影掠める障子洗ひけり 玉置陽子
枯れゆきて光となりぬ蝦夷りんだう 梅田恵美子
「ぐりとぐら」いまだ手元に秋惜しむ 川上あきこ
どんぐりも地球も回れ二十日月 駒木幹正
帰り咲く一木もあれ梅室忌 酒井きよみ
梅室忌一本松は色変へず 藤倉桂
ラフランスの詩を遺してゆかれしよ 近藤沙羅
異国のオオトカゲ来る梅室忌 近藤沙羅
破案山子軽トラックの助手席へ 藤倉桂
角伐るや一頭つひに逃げ通す 田村史生
大拙の思索の海へ木の実落つ 趙栄順
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
花の芽のころより愛でし花梨捥ぐ 清水薫
猿面に老ゐて候ふ梅室忌 山本桃潤
鮒の影掠める障子洗ひけり 玉置陽子
ふり払ふ露はなやかや梅室忌 飛岡光枝
小菊からこぼるる水も梅室忌 梅田恵美子
【入選】
初雁や妻を恋ひつつ五十年 宮田勝
白山の水脈々と梅室忌 安藤久美
青畳のごとく海原梅室忌 間宮伸子
梅室忌白徳利は月を待つ 田村史生
猪の鼻山をころがす勢ひかな 酒井きよみ
金沢は松吊るころか梅室忌 越智淳子
たましひを震はせて鳴く虫一匹 趙栄順
梅室忌枯萩起こす碑のうしろ 松川まさみ
梅室忌その手になりし翁像 泉早苗
凍らんとせし菊の露梅室忌 玉置陽子
帰り咲く一木もあれ梅室忌 酒井きよみ
新蕎麦や水響き合ふ音高し 宮田勝
古九谷の盃選ぶ梅室忌 密田妖子
梅室忌一本松は色変へず 藤倉桂
傘の露乾かぬ一世梅室忌 飛岡光枝
夕映て白山炎ゆる梅室忌 梅田恵美子
盥ほどの田も豊作や千枚田 稲垣雄二
かぶら鮓仕込み始まる梅室忌 梅田恵美子
水を吹く松の根榾や梅室忌 玉置陽子
白山を眺めつ京へ梅室忌 花井淳
みな白髪にてつつがなく梅室忌 泉早苗
梅室忌砥石に氷る指のさき 梅田恵美子
角伐るや一頭つひに逃げおほす 田村史生
一刀に露のはしるや梅室忌 飛岡光枝
梅室忌初めてつけし椿の実 間宮伸子
第二句座
席題:「鹿」、「大根」
・鬼川こまち選
【特選】
鹿の目の濡るるは子鹿思ひてか 田中紫春
種まきて今朝も通ひし大根畑 梅田恵美子
寂寂と月染み入るや掛大根 玉置陽子
巫女さんの朝の仕事や鹿の糞 飛岡光枝
鹿憩う松葉の上に膝折りて 間宮伸子
鹿に会い見つめられたる山のなか 梅田恵美子
この里も地割れをまたぐ掛大根 花井淳
桃源の翁と嫗大根干す 長谷川櫂
【入選】
いつも辛き夫の大根おろしかな 氷室茉胡
一揆村晴れそくばくの大根干す 泉早苗
防人の島や身を寄す月の鹿 泉早苗
この道を行けば白峰鹿が鳴く 清水薫
角伐つていよいよかろき鹿の声 安藤久美
太りだす大根の葉の茂りかな 趙栄順
鹿の群見送りてわれも帰りけり 橋詰育子
吾も欲し鹿の瞳と細き足 間宮伸子
禅寺に山と積まれし土大根 清水薫
大根煮ることから始む独居かな 氷室茉胡
神鹿もすさびし眼近寄り来 藤倉桂
渋滞の先頭をゆく牡鹿かな 田村史生
浅間山ひと筋赤し鹿の声 玉置陽子
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
彗星の落ち行くさきや大根畑 梅田恵美子
恋の頬大根当てて冷ましけり 稲垣雄二
あふるるや大根の水まな板に 藤倉桂
竿鹿に見つめられたり山の道 梅田恵美子
大根の穴日の差して健やかな 間宮伸子
【入選】
懸大根里の道来る選挙カー 駒木幹正
伐られたる角が痛しと啼く鹿よ 安藤久美
鹿憩う松葉の上に膝折りて 間宮伸子
せんべいに頭を下ぐる鹿哀れ 稲垣雄二
大根煮て始める一人暮らしかな 氷室茉胡
波寄せる浜に鹿たち何思ふ 近藤沙羅
子を中に一群れの鹿霜に寝る 稲垣雄二
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
秋の蚊のへなへなと来てふらと消ゆ 佐伯律子
老兵のごとく日暮の案山子かな 武藤主明
ぎんどろの秋は木漏れ日ばかりかな 長谷川櫂
紅葉山けさ山姥の高笑ひ 上 俊一
【入選】
黒猫の集まつてくるハロウィーン 平尾 福
被爆者の声の届きし秋夕焼 武藤主明
秋風やぎんどろの葉の裏おもて 長谷川櫂
安達ケ原に噴き出す万の曼珠沙華 佐藤和子
もうゐない父かもしれぬ螻蛄の声 川辺酸模
途中まで済ませ思案や衣更 石川桃瑪
新米を買ふや一人に一袋 武藤主明
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
干乾びる体折り曲げ胡麻叩く 齋藤嘉子
秋の夜やむかしの星の沈む井戸 谷村和華子
古里は詠まず語らず玩亭忌 長谷川冬虹
煙らせて秋刀魚焼きをり両隣 川辺酸模
秋風やぶら下がり器にぶら下がる 那珂侑子
【入選】
天国の猫は元気か破れ襖 及川由美子
秋茄子や舌頭千転なほも駄句 臼杵政治
帰らざるかの老兵も案山子かな 武藤主明
噛みしめてそれとは知らず蜂の子は 上 俊一
安達ケ原噴き上げてみな曼珠沙華 佐藤和子
舞ひ躍る四十七士や玩亭忌 長谷川冬虹
かの酷暑もうはるかなり青みかん 齋藤嘉子
故郷の栗を焚きこみ栗ご飯 武藤主明
わが友の大稲妻の去りにけり 服部尚子
紅葉や備前の甍三百年 齋藤嘉子
つるべ落とし眺めてゐれば着陸す 那珂侑子
象潟のかつての島の蘆火かな 三玉一郎
第二句座(席題:落穂、菊人形、鵙)
長谷川冬虹選
【特選】
波の音戦死者すべて鵙の贄 三玉一郎
夢に立つ菊人形の無言かな 川村杳平
道長を縦抱つこせり女菊師 佐藤和子
その中にピカチュウまじる菊人形 服部尚子
鵙高音フレンチトースト焦げだして 及川由美子
【入選】
胸元に一本足しぬ菊師かな 佐伯律子
鵙一羽吾がはらわたを屠りをり 青沼尾燈子
菊人形アンドロイドには勝てず 川村杳平
段々と厚着となりぬ菊人形 平尾 福
弁慶の後ろへまはる菊師かな 上村幸三
長々と落穂拾ひの影法師 平尾 福
かの世から見に来し己が菊人形 齋藤嘉子
しんみりと世界を造る菊師かな 青沼尾燈子
老菊師十二単衣の襟直す 武藤主明
長谷川櫂選(推敲例)
【特々選】
しんみりと世界を造る菊師かな 青沼尾燈子
菊人形みなうつし世を恨みけり 三玉一郎
【特選】
夢に立つ菊人形の無言かな 川村杳平
一粒の米も拾はむ落穂籠 石川桃瑪
天地の落穂を拾ひ集めけり 三玉一郎
長々と落穂拾ひの影法師 平尾 福
【入選】
胸元に一本足せる菊師かな 佐伯律子
落穂はやきれいに雀ついばめり 那珂侑子
拾ひつつ行きつ戻りつ落穂かな 及川由美子
死していよよ睦まじきかな菊人形 川辺酸模
痩せつぽの雀に残す落穂かな 武藤主明
弁慶の後ろへまはる菊師かな 上村幸三
懸崖の袖の見事や菊人形 服部尚子
かの世から見に来し己が菊人形 齋藤嘉子
敦盛の袖花盛り菊人形 谷村和華子
第一句座
・藤英樹選
【特選】
つつがなく秋の金魚となりにけり 木下洋子
薬箪笥に抽斗いくつ木の実降る わたなべかよ
秋は空から桐の実を鳴らしつつ 葛西美津子
見舞篭秋の果実のひややかに 葛西美津子
被爆者の投げし林檎を受け留めよ 神谷宣行
竜胆の立て札の横竜胆咲く 仲田寛子
【入選】
栗の子がさざめいてゐる栗御飯 澤田美那子
がうがうと簗鳴き崩れ濁流へ 西川遊歩
三千年石を穿ちて水の秋 きだりえこ
みの虫の夢にやさしい母ゐるか 森永尚子
鴎外は冷眼なりぬ秋日影 関根千方
木の実独楽最後よろよろ我のごと 園田靖彦
仕事できる女黙して新酒汲む 仲田寛子
ふるさとのほのかな地熱今年米 園田靖彦
百年後描けぬ我らそぞろ寒 おほずひろし
・長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
秋は空から桐の実を鳴らしつつ 葛西美津子
初恋の人もジジイや秋刀魚焼く 木下洋子
空を飛ぶジンベイザメや秋の晴 おほずひろし
ふるさとはほのかな地熱今年米 園田靖彦
この辺り千年のちは薄原 きだりえこ
【入選】
竹伐つて青空残る静寂かな きだりえこ
渋皮の香の栗飯をよろこべり 葛西美津子
この秋やしみじみノーベル平和賞 澤田美那子
秋晴や完治を願ふカツカレー 神谷宣行
ひややかな秋の果実の見舞籠 葛西美津子
第二句座 (席題:鳥兜、障子洗ふ)
・藤英樹選
【特選】
障子洗ふ信濃の川や母の声 吉田順子
糟糠の妻の微笑み鳥兜 きだりえこ
洗はれて障子の骨の立ちあがる 長谷川櫂
自堕落に生きて最後は鳥兜 きだりえこ
【入選】
一間きりの和室の障子洗ひけり わたなべかよ
障子洗ふや猫のひつかき傷あらは 仲田寛子
訳もなく魅かれてゆきぬ鳥兜 久嶋良子
老松に干さる山盧の障子かな 西川遊歩
胸過るひとりの男とりかぶと 葛西美津子
障子洗ふたつた二枚の大仕事 澤田美那子
・長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
洗はんとすれば障子の流れ出す 藤英樹
兄弟が破りし障子洗ひけり 木下洋子
ざぶざぶと国も障子も洗ふべし きだりえこ
【入選】
シャワー浴びながら洗ふ障子かな 木下洋子
ふるさとの川で障子を洗ひし日 吉田順子
一間きり和室の障子洗ひけり わたなべかよ
干されある障子の骨を吹く風よ イーブン美奈子
かって二十枚今二枚障子干す 園田靖彦
老松に干して山盧の障子かな 西川遊歩
洗ひ上げ骨美しき障子かな 森永尚子
障子洗ふたつた二枚の大仕事 澤田美那子
| 第一句座 | |
| ・矢野京子選 | |
| 【特選】 | |
| 秋の日の藜の杖の軽さかな | 長谷川櫂 |
| 大谷の時代をともに天高し | 今村榾火 |
| 残り世はなほ大胆に菊の酒 | 斉藤真知子 |
| 糸瓜忌や猫欠伸して咽あらは | 駒木幹正 |
| 【入選】 | |
| カルデラの底に町あり吾亦紅 | 今村榾火 |
| ハリケーン月と星のみ残しけり | ストーン睦美 |
| 放牧の牛戻りくる秋の空 | 今村榾火 |
| 晩年の生き様を句に晒す秋 | 金田伸一 |
| 豊漁の中の二本の秋刀魚焼く | 斉藤真知子 |
| 父母をらぬ家ただ広く秋灯 | 米山瑠衣 |
| 桐一葉ほどの去来の墓なりし | 大場梅子 |
| 赤富士や甲斐も駿河も訛り似て | 菅谷和子 |
| 産衣の子とその父と良夜かな | 矢田民也 |
| 枯れかけの庭に秋蝶色ひとつ | ストーン睦美 |
| 包丁を弾き返さん大南瓜 | 安藤文 |
| 子の造る魚を待つて今年酒 | 瑞木綾乃 |
| 今日の柿今日の分だけ色づけり | 原京子 |
| 栗飯や六人家族なつかしき | 加藤裕子 |
| あ | |
| ・長谷川櫂選(推敲例) | |
| 【特々選】 | |
| 豊漁の中の二本の秋刀魚焼く | 斉藤真知子 |
| もの言へば涙がこぼれ衣被 | 米山瑠衣 |
| 捥がれては夢より醒める無花果よ | 安藤文 |
| 【特選】 | |
| 生涯の生きざまを句に晒す秋 | 金田伸一 |
| 去来の墓桐の一葉に隠れけり | 大場梅子 |
| 残る生はなほ大胆に菊の酒 | 斉藤真知子 |
| けふよりはいよよ大胆扇置く | 神戸秀子 |
| 【入選】 | |
| 無花果の色香におぼれ雀蜂 | 安藤文 |
| 秋の雷一つの村を鷲づかみ | 駒木幹正 |
| 時々ははたと居眠る案山子かな | 斉藤真知子 |
| 灼熱の一塊となる秋果かな | 矢野京子 |
| 父母をらぬ家だだ広し秋灯 | 米山瑠衣 |
| 橡の実の硬きを託つ鴉かな | 林弘美 |
| 子別れの烏か闇にしのび鳴く | 岡村美沙子 |
| 雁の棹途切れてはもうつながらず | ストーン睦美 |
| 世を嘆き笑ふしかない案山子らよ | ももたなおよ |
| 日本の未来を憂ふ案山子かな | 安藤文 |
| カムイミンタラ粧ふや山も湖も | 高橋真樹子 |
| 山国を動かざること百目柿 | 大場梅子 |
| 行く人やどなたも秋の顔となり | 矢田民也 |
| 括られて闇夜の蟹は観念す | 加藤裕子 |
| 赤松の根もあかあかの蛇笏の忌 | 神戸秀子 |
| あ | |
| 第二句座(席題:木の実、新酒) | |
| あ | |
| ・矢野京子選 | |
| 【特選】 | |
| 何の木かしらず大きな木の実かな | 長谷川櫂 |
| 祖父笑ふ写真発見新走り | 今村榾火 |
| 利き酒の流儀は祖父に習ひけり | 瑞木綾乃 |
| 【入選】 | |
| 拾はれて木の実に目鼻地蔵様 | ももたなおよ |
| 宿題に飽きて廻すや木の実独楽 | 斉藤真知子 |
| 思ふほど回つてくれず木の実独楽 | 安藤文 |
| 神々の山の雫や今年酒 | 高橋真樹子 |
| 賞品は木の実が三つ運動会 | 長谷川櫂 |
| 西条の駅舎新酒の香に噎せて | 瑞木綾乃 |
| あ | |
| ・長谷川櫂選(推敲例) | |
| 【特選】 | |
| 病床に一滴許せ新走り | 城山邦紀 |
| はや土に根おろす木の実二つ三つ | 大平佳余子 |
| 新走り末期の水に間に合ひき | 岡村美沙子 |
| 【入選】 | |
| 敲くたび変はる俳句や木の実降る | 金田伸一 |
| 木の実独楽民の嘆きを聞きにこよ | 大場梅子 |
| 思ふほど回つてくれず木の実独楽 | 安藤文 |
| 病床の姉の掌に置く木の実かな | 石塚純子 |
| 大胆に団栗十個栗鼠の頬 | ストーン睦美 |
| 木の実降る林と聞きてまだ行かず | 矢田民也 |