古志仙台ズーム句会(2024年10月14日)
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
秋の蚊のへなへなと来てふらと消ゆ 佐伯律子
老兵のごとく日暮の案山子かな 武藤主明
ぎんどろの秋は木漏れ日ばかりかな 長谷川櫂
紅葉山けさ山姥の高笑ひ 上 俊一
【入選】
黒猫の集まつてくるハロウィーン 平尾 福
被爆者の声の届きし秋夕焼 武藤主明
秋風やぎんどろの葉の裏おもて 長谷川櫂
安達ケ原に噴き出す万の曼珠沙華 佐藤和子
もうゐない父かもしれぬ螻蛄の声 川辺酸模
途中まで済ませ思案や衣更 石川桃瑪
新米を買ふや一人に一袋 武藤主明
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
干乾びる体折り曲げ胡麻叩く 齋藤嘉子
秋の夜やむかしの星の沈む井戸 谷村和華子
古里は詠まず語らず玩亭忌 長谷川冬虹
煙らせて秋刀魚焼きをり両隣 川辺酸模
秋風やぶら下がり器にぶら下がる 那珂侑子
【入選】
天国の猫は元気か破れ襖 及川由美子
秋茄子や舌頭千転なほも駄句 臼杵政治
帰らざるかの老兵も案山子かな 武藤主明
噛みしめてそれとは知らず蜂の子は 上 俊一
安達ケ原噴き上げてみな曼珠沙華 佐藤和子
舞ひ躍る四十七士や玩亭忌 長谷川冬虹
かの酷暑もうはるかなり青みかん 齋藤嘉子
故郷の栗を焚きこみ栗ご飯 武藤主明
わが友の大稲妻の去りにけり 服部尚子
紅葉や備前の甍三百年 齋藤嘉子
つるべ落とし眺めてゐれば着陸す 那珂侑子
象潟のかつての島の蘆火かな 三玉一郎
第二句座(席題:落穂、菊人形、鵙)
長谷川冬虹選
【特選】
波の音戦死者すべて鵙の贄 三玉一郎
夢に立つ菊人形の無言かな 川村杳平
道長を縦抱つこせり女菊師 佐藤和子
その中にピカチュウまじる菊人形 服部尚子
鵙高音フレンチトースト焦げだして 及川由美子
【入選】
胸元に一本足しぬ菊師かな 佐伯律子
鵙一羽吾がはらわたを屠りをり 青沼尾燈子
菊人形アンドロイドには勝てず 川村杳平
段々と厚着となりぬ菊人形 平尾 福
弁慶の後ろへまはる菊師かな 上村幸三
長々と落穂拾ひの影法師 平尾 福
かの世から見に来し己が菊人形 齋藤嘉子
しんみりと世界を造る菊師かな 青沼尾燈子
老菊師十二単衣の襟直す 武藤主明
長谷川櫂選(推敲例)
【特々選】
しんみりと世界を造る菊師かな 青沼尾燈子
菊人形みなうつし世を恨みけり 三玉一郎
【特選】
夢に立つ菊人形の無言かな 川村杳平
一粒の米も拾はむ落穂籠 石川桃瑪
天地の落穂を拾ひ集めけり 三玉一郎
長々と落穂拾ひの影法師 平尾 福
【入選】
胸元に一本足せる菊師かな 佐伯律子
落穂はやきれいに雀ついばめり 那珂侑子
拾ひつつ行きつ戻りつ落穂かな 及川由美子
死していよよ睦まじきかな菊人形 川辺酸模
痩せつぽの雀に残す落穂かな 武藤主明
弁慶の後ろへまはる菊師かな 上村幸三
懸崖の袖の見事や菊人形 服部尚子
かの世から見に来し己が菊人形 齋藤嘉子
敦盛の袖花盛り菊人形 谷村和華子