古志広島ズーム句会(2025年8月3日)
第一句座
矢野京子選
【特選】
軍歌なほ忘れぬ唇よ原爆忌 矢田民也
原爆忌死者も八十年生きたるや 矢田民也
打水のきらめく記憶あるばかり 長谷川櫂
ひとり来てひとり泳ぐや原爆忌 安藤文
石段の影が語り部ナガサキ忌 ももたなおよ
【入選】
原爆忌またねと別れきしものを 金田伸一
水に揺られてうたた寝の桃ひとつ 斉藤真知子
これしきの猛暑嘆くな原爆忌 大平佳余子
どの鉢にもたつぷり水を広島忌 大平佳余子
翅広ぐおほみづあをの秘色かな 大平佳余子
恫喝に核を使ふなちちろ鳴く 大場梅子
老いて今ゆるりと母の白上布 ももたなおよ
原爆忌薬は柿の葉薊の根 ももたなおよ
書に挟む恋文ひとつ土用干し 城山邦紀
合歓の花わが白髪を母知らず 神戸秀子
蝉時雨百年の家改修す 安藤文
デジタルで読む新聞や終戦日 安藤文
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
水に揺られてうたた寝の桃ひとつ 斉藤真知子
すぐそこの闇を手繰りて踊るかな 矢田民也
カステラ屋すでに三代原爆忌 高橋真樹子
黒焦げの秋立ちにけり原爆忌 神戸秀子
爛れたる顔に柿の葉原爆忌 ももたなおよ
【入選】
軍歌なほ忘れぬ我へ原爆忌 矢田民也
快晴の空が真つ暗広島忌 石塚純子
朝の卓飯と味噌汁広島忌 斉藤真知子
長崎忌八十年の鐘ひびく 大場梅子
雲梯に木洩日あそぶ今朝の秋 神戸秀子
湯上がりのわが身をさらす蟬時雨 安藤文
広島忌今年また訪ふ大樹あり 矢野京子
孫二人ひ孫六人原爆忌 矢野京子
死に蟬のたましひ運ぶ蟻の列 安藤文
第二句座(席題:甚平、蜻蛉)
矢野京子選
【特選】
みづうみや蜻蛉も船を待つごとく 神戸秀子
甚平の熱く語るや量子論 駒木幹正
遠富士に甚平高く干す家かな 矢田民也
【入選】
呼び鈴に甚平の人ぬつと立ち 加藤裕子
鬼やんま原爆ドーム守るごとし 大平佳余子
甚平着て吾も横丁の顔役に 大平佳余子
虫籠の蜻蛉をすぐに放ちけり 斉藤真知子
颯爽と座敷をめぐる鬼やんま 長谷川櫂
甚平や木刀一本宝とす 加藤裕子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
甚平や老いにも花の旬のあり 矢田民也
鬼やんま原爆ドーム守るごとし 大平佳余子
夫と子の瓜二つなる甚平かな 瑞木綾乃
とんぼうの乗りつぐ風の次々に 城山邦紀
甚平着てけふからただの人となる 大場梅子
【入選】
甚平の人ぬつと立つ戸口かな 加藤裕子
甚平着て吾も横丁の顔役に 大平佳余子
甚平や祖父に自慢の手負ひ傷 高橋真樹子
甚平を着て細脛の頼りなし 矢田民也
黙祷の帽子に止まる蜻蛉かな 矢野京子
黙祷の眼開けば蜻蛉飛ぶ 矢野京子
甚平や木刀一本宝とす 加藤裕子
遠富士に甚平高く干す家かな 矢田民也
