古志山廬句会(2025年7月21日)
第一句座
・雨宮更聞選
【特選】
夏の雲透けて竹林風の音 宮本みさ子
竹林に咲いてしづかに花茗荷 石川桃瑪
歳時記に挟む山廬の松落葉 金澤道子
これは真赤な更聞さんの李かな 長谷川櫂
竹箒旧りて山廬の夏日浴ぶ 石川桃瑪
この庭の夏の光を我も浴び 滝沢優子
【入選】
老鶯の山廬の庭を席捲す 石川桃瑪
夏鶯のけだるき声や狐川 越智淳子
もう誰も座してはをらず夏炉かな 高橋 慧
竹藪の天に溽暑の空まさを 石川桃瑪
日盛りにかなしきほどの山々よ 高角みつこ
桃の香と静けさ箱に詰め合はせ 西川遊歩
炎天のすぐ下にある山廬かな 長谷川櫂
茫茫と葉をしたがへて桃熟るる 飛岡光枝
大玉の手塩にかけし桃ぞ此れ 西川遊歩
八ヶ岳踏まえて育つ雲の峰 齋藤嘉子
涼しきは後山をのぼる土不踏 高橋真樹子
冷やされてでんぐり返る桃ひとつ 葛西美津子
堰落ちる音の涼しき狐川 金澤道子
くろがねの如き影踏む雲の峰 谷村和華子
太々と火吹竹ある夏炉かな 飛岡光枝
カンカン帽父に似てきし秀實さん 藤 英樹
画眉鳥の句はできたかとけたたまし 越智淳子
どこまでも続きて遥か夏の山 谷村和華子
刃を入れて夏が真赤ぞ山李 飛岡光枝
大火鉢桃もすももも冷し食ぶ 石川桃瑪
・長谷川櫂選
【特選】
俳諧の寝起き一畳涼しかり 飛岡光枝
茫茫と葉をしたがへて桃熟るる 飛岡光枝
みんみんの声の始めは酔つてをり 宮本みさ子
縁あつて露の命の集ひけり 齋藤嘉子
入道雲一際高き山廬かな 高橋 慧
遺骨なき墓灼く陽ざし八十年 西川遊歩
刃を入れて夏が真赤ぞ山李 飛岡光枝
【入選】
竹林に咲いてしづかに花茗荷 石川桃瑪
甲斐や今翠巒をなす葡萄園 齋藤嘉子
明易し狸も出でくる狐亭 高橋 慧
虚空へと舞ひ上がりゆく夏の蝶 谷村和華子
冷されてでんぐり返る桃ひとつ 葛西美津子
堰落ちる音の涼しき狐川 金澤道子
くろがねの如き影踏む雲の峰 谷村和華子
熟れ熟れて桃も李も夏の果 葛西美津子
釜掛けて夏の火鉢の寂とあり 宮本みさ子
青竹の空大ゆれや雲の峰 飛岡光枝
第二句座
・雨宮更聞選
【特選】
秋近き山廬に吊るす竹箒 宮本みさ子
着流しの男の如く夏の富士 森永尚子
水分の神の育てし紅き桃 飛岡光枝
【入選】
誰がせしや夏炉の火箸灰に立つ 石川桃瑪
一徹の顎引く蛇笏夏羽織 西川遊歩
先人の息吹を宿す夏座敷 滝沢優子
獲り終へてほつとしてゐる桃畑 西川遊歩
篆刻のくれなゐ涼しき山廬かな 齋藤嘉子
涼しさやはるかを思ふ龍太の句 長谷川櫂
露白くむすぶ龍太の墨書かな 葛西美津子
雲の峰いくつ潜らん黒揚羽 谷村和華子
くれなゐを誉れとしたる甲斐の桃 齋藤嘉子
大夏木戦後八十年を見き 藤 英樹
富士山の麓の水を打ちてをり 宮本みさ子
山廬いま水引草のまくれなゐ 金澤道子
・長谷川櫂選
【特選】
夏深し山廬は竹の青の中 藤 英樹
掌に入れて優しく捥げよ桃 西川遊歩
白壁のうつくしき夏俳諧堂 藤 英樹
篆刻のくれなゐ涼しき山廬かな 齋藤嘉子
白雲のごとくしづかに百合の花 雨宮更聞
着流しの男の如く夏の富士 森永尚子
龍太の書流るる川の涼しさよ 関根千方
【入選】
軒すだれ確と龍太の文机 雨宮更聞
獲り終へてほつとしてゐる桃畑 西川遊歩
手斧目の涼しきここに句会かな 齋藤嘉子
露白くむすぶ龍太の墨書かな 葛西美津子
秋近き山廬に吊るす竹箒 宮本みさ子
真昼間を玉虫よぎる山廬かな 飛岡光枝
炎天や一途に刻む石の文字 高角みつこ
鬼やんま水に触れしはまた空へ 関根千方
