古志仙台ズーム句会(2024年8月25日)
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
死ねといふ時代ありけり敗戦忌 長谷川櫂
もう何も叱らぬ父よ墓洗ふ 川辺酸模
産土の神に捧ぐる村歌舞伎 武藤主明
そのうちに行くよと洗ふ墓一基 及川由美子
【入選】
初さんま白長靴の衆走り 及川由美子
閑けさを両手につつみ鳩を吹く 上村幸三
名にし負へど花色やさし弁慶草 服部尚子
見得切つて舞台に出づる夏の月 武藤主明
遠萩や波うねりたる海に似て 及川由美子
高まりて徐々に早まる蝉の声 川村杳平
真夜中の風生臭き鵺の笛 武藤主明
流星群見て来た妻の寝顔かな 平尾 福
煮えたぎる暑さの底に秋生まる 齋藤嘉子
一生を地歌舞伎支ふ黒子役 宮本みさ子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
白桃の一つ小籠に眠りをり 石川桃瑪
蜩は夢から覚めて鳴き始む 平尾 福
もう何も叱らぬ父よ墓洗ふ 川辺酸模
【入選】
つるはしを持ちて入営敗戦日 齋藤嘉子
黄泉の足この世に戻す踊りかな 臼杵政治
幸せな家族写真や敗戦忌 臼杵政治
母の焼く秋刀魚恋しき夕べかな 川辺酸模
栗飯や母の遺せし母子手帳 長谷川冬虹
煮えたぎる暑さの底に秋生まる 齋藤嘉子
そのうちに行くよと洗ふ墓一基 及川由美子
第二句座(席題:南瓜、飛蝗、地蔵盆)
長谷川冬虹選
【特選】
絵葉書をはみ出している赤南瓜 甲田雅子
脚一つ残して行きしバッタかな 平尾 福
おふくろと呼ばれ南瓜の煮物かな 那珂侑子
包丁の身動きできぬ大南瓜 甲田雅子
【入選】
ゆきすぎてゆきすぎがたし地蔵盆 長谷川櫂
切り分けて配り歩かん大南瓜 齋藤嘉子
群れなして猿が南瓜をひとつづつ 宮本みさ子
はたはたや兄が秘密の釣りの場所 上村幸三
いびつでも村一番の南瓜かな 佐伯律子
ふるさとの空うつくしき南瓜かな 三玉一郎
袋さげハシゴしてゆく地蔵盆 平尾 福
地蔵盆かつて間引のありし村 武藤主明
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
切り分けて配り歩かん大南瓜 齋藤嘉子
南瓜煮て愛のひと匙離乳食 谷村和華子
子どもらも猫も集まり地蔵盆 谷村和華子
包丁と力比べの南瓜かな 武藤主明
【入選】
ゴロゴロと夫のやうなカボチャかな 平尾 福
生れし子よ南瓜のごとき人となれ 川辺酸模
連れて来し母の手ぬくし地蔵盆 佐伯律子
きちきちのどつちへ飛んでも日がくれる 上村幸三
包丁の身動きできぬ大南瓜 甲田雅子
音たててもの食ふ螇蚸太き顎 齋藤嘉子
フレンチや南瓜スープにかしこまり 那珂侑子
地蔵盆かつて間引のありし村 武藤主明