古志祇園会句会(2024年7月17日)
※特選は○。櫂先生の選については添削後の句を掲載。
第1句座(10句投句)
長谷川櫂選
○宵祭惜しみて消えぬ提灯よ 稲垣 雄二
○生も死も同じ暗闇岩戸山 上田 忠雄
○正面に炎のごとし長刀鉾 東 一爽
○宵山のなにがし寺の灯に会ひぬ 安藤 久美
○一年の塵からからと古粽 きだりえこ
笹添へて氷一塊鉾見舞 玉置 陽子
四斗樽の水うちまけよ辻廻し 石川 桃瑪
仰ぎ見む長刀鉾は雲の中 玉置 陽子
たをやかに月をゆらして月の鉾 きだりえこ
冠の黄金ゆるるや鉾の稚児 高角みつこ
青春や慣れぬ浴衣の宵祭 稲垣 雄二
土砂降りも天の恵みや鉾祭 神蛇 広
少年は父に習うて鉾の鉦 木下 洋子
木下洋子選
○生稚児の大いなる夏忘れめや 稲垣 雄二
○生稚児に母はさぞ紅差したからう 稲垣 雄二
○保昌山恋の力で動きけり 長谷川 櫂
汗の子を抱く汗の母宵祭 稲垣 雄二
慈雨来たる芦刈山のあたりから 上田 忠雄
長刀鉾眠れる龍の鎮みをり 越智 淳子
若狭より鯖届くころ後祭 上田 忠雄
宵祭惜しみて消えぬ提灯よ 稲垣 雄二
生も死も同じ暗闇岩戸山 上田 忠雄
川風に宵山の熱さましけん 越智 淳子
宵祭釣りし金魚をもてあまし 飛岡 光枝
須佐之男の遊び始めの祭かな 玉置 陽子
きだりえこ選
○祇園囃子音に弔ひや笛太鼓 越智 淳子
○笹添へて氷一塊鉾見舞 玉置 陽子
○全身を八坂へささぐ鉾の稚児 花井 淳
○白扇一本鉾を辻回し 山本 桃潤
○ずずずずと辻ごと回せ一の鉾 田村 史生
○えんやらやえんやらやとや一生すぐ 長谷川 櫂
○薄墨の月美しや鉾提灯 飛岡 光枝
長刀鉾眠れる龍の鎮みをり 越智 淳子
祇園会やまづは御礼八坂はん 越智 淳子
寝入る子へ窓を透かせて鉾囃子 坂元 初男
宵山や笛の始めはゆるやかに 神蛇 広
新町の軒すれすれに鉾帰える 上田 忠雄
鉦の音鉾の垂れ紐踊らせる 石川 桃瑪
洛中や小学校も鉾出して 神蛇 広
うだる世へ雪を一掻き孟宗山 安藤 久美
蟷螂の斧ふり回し夏句会 越智 淳子
神体に命吹き込む暑さかな 三玉 一郎
ギイと鳴る車輪の奥の縄がらみ 石川 桃瑪
保昌山恋の力で動きけり 長谷川 櫂
大綱の声高らかに鉾動く 坂元 初男
氷室茉胡選
○白扇一本鉾を辻回し 山本 桃潤
○生稚児に母はさぞ紅差したからう 稲垣 雄二
○風流の棒一本を振り踊る 長谷川 櫂
○厄もろとも落とす提灯函谷鉾 花井 淳
○鶏鉾車裂けたる暑さかな 長谷川 櫂
生稚児の大いなる夏忘れめや 稲垣 雄二
しづまれる長刀鉾や日は天心 高角みつこ
ぬつと鉾この世かの世のあはひより きだりえこ
生稚児や世の揺らぎにも身をまかせ 谷村和華子
たをやかに月をゆすりて月の鉾 きだりえこ
なつかしき人に会ふのも宵祭 谷村和華子
宵山やいくつの恋の流れゆく 越智 淳子
山鉾の車輪引き立つ木肌かな 土佐 欣也
変はりなき夫の純情保昌山 玉置 陽子
川風に宵山の熱さましけん 越智 淳子
宵山の喧騒抜けて二人酒 上田 悦子
第2句座(10句投句)
長谷川櫂選
○月鉾の月を下ろしてしまふのか 安藤 久美
○天に雲生まれ出づるや一の鉾 神蛇 広
○いま過ぎてはるかかなたを長刀鉾 三玉 一郎
○鉾粽昔の家の香りかな 木下 洋子
○しんかんと鉾は眠りて闇深し 玉置 陽子
今年また落ち着きのない蟷螂山 三玉 一郎
みな同じ団扇見せあふ祇園祭 土佐 欣也
祇園会や瓜も茗荷も京の色 安藤 久美
鉾提灯赤子の顔を照らしけり 神蛇 広
山壱番黒主山へ大かぼちや 飛岡 光枝
昼深し名も宵山の琥珀羮 安藤 久美
大夕立三十六騎みなふるふ 安藤 久美
木下洋子選
○船鉾のうしろ姿を惜しみつつ 高角みつこ
○もう二度と太刀を持つなよ鉾の稚児 稲垣 雄二
○宵山の一夜の髪を結ひにけり 稲垣 雄二
一切は夢と思へど芦刈山 長谷川 櫂
神在すほの暗闇の涼しさよ 長谷川 櫂
六双の屏風飾りて涼みかな きだりえこ
鴨川の鰻も浮かれコンチキチン 稲垣 雄二
四条傘鉾傘の一字の笑ふごと 田村 史生
蕪村翁終焉の地へもどり鉾 玉置 陽子
二階から鉾へ乗りこむ足捌き 高角みつこ
雲間より祇園囃子や鉾進む 山本 桃潤
大夕立三十六騎みなふるふ 安藤 久美
きだりえこ選
○祇園会の瓜も茗荷も京の色 安藤 久美
○鉾町に生まれかなかなかなかなと 田村 史生
○昼深し名もしたたりの琥珀羮 安藤 久美
長刀鉾影もろともに建ち上る 飛岡 光枝
一刀で注連を切りけり夏休み 木下 洋子
長江家を出れば鉾の灯風の中 谷村和華子
月鉾の月を下ろしてしまふのか 安藤 久美
うつしみもやがてかりそめ戻り鉾 谷村和華子
油照り油天神山気負ひ立つ 上田 忠雄
二階から鉾へ乗りこむ足捌き 高角みつこ
あら見事琅玕敷きて辻回す 山本 桃潤
兄弟のいづれ笛方太鼓方 飛岡 光枝
身の内の奥の随まで鉾の鉦 谷村和華子
宵山の一夜の髪を結ひにけり 稲垣 雄二
かるがると空ごと回す辻回し 三玉 一郎
木の国の木を高く組み月の鉾 稲垣 雄二
宵山や涼しき声の人の傍 神蛇 広
氷室茉胡選
○全共闘闘士なりしも鉾のひと 長谷川 櫂
○うつしみもやがてかりそめ戻り鉾 谷村和華子
○我が家の神の宿りて古粽 飛岡 光枝
争ひの絶えぬ世界へ長刀鉾 三玉 一郎
長刀鉾影もろともに建ち上る 飛岡 光枝
棒振つてこの世を祓う祭せん きだりえこ
船鉾のうしろ姿を惜しみつつ 高角みつこ
初蝉や真木の松にとまりけり 上田 悦子
保昌山みな神妙な顔で行く 田村 史生
鉾粽歩き歩きて手に入れり 高角みつこ
木の国の木を高く組み月の鉾 稲垣 雄二
京に夏長刀鉾の立ちてより きだりえこ