古志広島ズーム句会(2023年7月2日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
大キャベツ黒き大地を埋め尽くす 駒木幹正
茅の輪から大きな丸をもらひけり 夏井通江
夏休みぶ厚きドストエフスキー 石塚純子
厨の灯消して守宮に夜を返す ももたなおよ
ふるさとに知る人もなき帰省かな 斉藤真知子
【入選】
人の世に涼風おくり象の耳 矢田民也
空蝉や戦果のごとくつらなりぬ 大平佳余子
ことこと煮る朝焼けの色杏の実 石塚純子
けふ夏至のマチスの赤き部屋にをり 石塚純子
夕焼けの色に流るる長良川 夏井通江
積乱雲腫瘍のごとく侵掠す 駒木幹正
積ん読の本をひもとく梅雨の窓 安藤文
花むくげすなほに咲いて閉ぢにけり 夏井通江
白南風や市電がうがう行き交へる 加藤裕子
七月や雲の怒濤を浅間山 長谷川櫂
・長谷川櫂選
【特選】
戦争が終はりし夢や籠枕 斉藤真知子
夏休みぶ厚きドストエフスキー 石塚純子
ふるさとに知る人もなき帰省かな 斉藤真知子
【入選】
「金毘羅」を読み返したり白団扇 大平佳余子
軍服の祖父しか知らず冷し酒 ストーン睦美
夫に子にかまけし日々を卒業す 岡村美沙子
暑き日や夜更けて庭に散水す 伊藤靖子
合歓の花入江を出れば五島灘 林弘美
シャワー浴びまた新しき身体かな ストーン睦美
すやすやと子に先んずる昼寝かな 矢田民也
いくたびもトンネルくぐり夏野かな 高橋真樹子
茅の輪結ふこぼれし茅萓尊しや 加藤裕子
第二句座(席題:避暑、山椒魚)
・矢野京子選
【特選】
はんざきや樹々のしづくを友として 加藤裕子
百年を生きてはんざき世を嘆く 大平佳余子
避暑地など知らないころのじいじかな 城山邦紀
【入選】
死してただ水にもどるや山椒魚 矢田民也
バブル崩壊コロナ明けの避暑地かな 上松美智子
避暑の子や友と帽子を置いてきし 大場梅子
戦争を居間にながめて避暑地とや 駒木幹正
百年の岩を住処に山椒魚 加藤裕子
・長谷川櫂選
【特選】
終の地と決めし信濃や山椒魚 金田伸一
はんざきや寝返りうつもひと苦労 米山瑠衣
死してただ水にもどるや山椒魚 矢田民也
老いし目に世を見つめをり山椒魚 石塚純子
半裂の生きて齢を忘れけり 矢田民也
生きにくい世の片隅に山椒魚 ももたなおよ
【入選】
はんざきや改修つづく暴れ川 今村榾火
山椒魚足すり尾すり泳ぎだす 大平佳余子
反戦の構えはんざき身じろがず 城山邦紀
サンダルが砂まみれなり避暑の宿 米山瑠衣
はんざきをなでてみるなり闇のごと 夏井通江
戦争を居間にながめて避暑地とや 駒木幹正
百年の孤独を分かつ山椒魚 大場梅子
はんざきはジュラ紀の水をなつかしむ ストーン睦美
百年を生きてはんざき世を嘆く 大平佳余子
避暑地には縁はなけれど小旅行 林弘美