古志仙台ズーム句会(2022年12月25日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
冬晴や険しき顔のけさの富士 那珂侑子
赤き実の位置定まりて年迎ふ 服部尚子
億年の歯車ことん去年今年 上村幸三
安達太良の風に曝すや凍豆腐 武藤主明
洗はれて大根の股の白さかな 伊藤 寛
【入選】
白鳥の羽置くやうに着水す 武藤主明
聖樹の灯最後に消して退勤す 森 凛柚
雪景色愛でて旅人帰りけり 那珂侑子
善き事を振り返りつつ賀状書く 及川由美子
若き父の反戦のうた山眠る 服部尚子
地の底のガラスの国や霜柱 上 俊一
古暦意味不明なる〇や✕ 上 俊一
ものいはぬ胡桃となつて眠らばや 長谷川櫂
・長谷川櫂選
【特選】
猫通る障子穴まで目張りかな 宮本みさ子
煙突から達磨ストーブの火の粉 伊藤 寛
存分に生きる力を初硯 川辺酸模
風花やあそこもここも店たたむ 長谷川冬虹
古暦意味不明なる〇や✕ 上 俊一
【入選】
思ひ出になれない記憶帰り花 三玉一郎
聖樹の灯最後に消して退勤す 森 凛柚
五郎助や居久根の闇を守りたり 佐藤和子
百余句の絶唱悲し冬すみれ 川辺酸模
寒がりの犬を抱へて冬ごもり 平尾 福
若き父の反戦のうた山眠る 服部尚子
甌穴に水渦巻くや去年今年 齋藤嘉子
安達太良の風に曝すや凍豆腐 武藤主明
第二句座(席題:鼬、橙、福引)
・長谷川冬虹選
【特選】
橙や石垣だけの城の址 上 俊一
橙やあす退院と弾む声 佐藤和子
【入選】
福引やはずかしがりやに一等賞 那珂侑子
福引やじやんけん弱き彼の手に 及川由美子
桧葉垣や橙飾る冠木門 阿部けいこ
少年の家出いたちに見送られ 上 俊一
橙のいびつを正し供へけり 及川由美子
福引や若草の妻引き当てつ 長谷川櫂
わが古家今やあるじは鼬なり 上 俊一
・長谷川櫂選
【特選】
福引につひ力みたる君子かな 青沼尾燈子
大小はあれどみな福引きにけり 森 凛柚
酔ふたふりいたちのごとく退散す 長谷川冬虹
【入選】
橙や水神様に先づ飾り 佐伯律子
橙の一枝定めて伐りにけり 佐伯律子
妹とはしやぎて回す福引よ 谷村和華子
橙に見合ふお鏡こさへけり 宮本みさ子
野良犬が掛つてしまふ鼬罠 武藤主明
曾祖父の名を得し嬰の手に橙 服部尚子
買物す福引きの券数へては 齋藤嘉子
橙のいびつを正し供へけり 及川由美子
福引きやことんと落ちた玉は赤 服部尚子
福引の情けに貰ふティッシュかな 武藤主明
ふるさとや鼬の剥製横向きに 佐藤和子
福引の束子三個が土産かな 川辺酸模
福引は五回分あり運試し 佐藤和子
この川を渡るか鼬思案中 平尾 福
橙のめざめすがしき餅の上 甲田雅子
お供の餅より大き橙よ 武藤主明
福引や遅々と進まぬ長い列 川辺酸模