古志鎌倉ズーム句会(2022年12月11日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
年用意孫は来るのか来ないのか 澤田美那子
化かし合ひ終えて狐と狸かな 関根千方
目も鼻もどこかに忘れ日向ぼこ 葛西美津子
戦争に馴るる怖さよ冬の蠅 萬燈ゆき
羽一度打てば砕けむ冬の蝶 わたなべかよ
【入選】
雪国の雪の香りのル・レクチェ 葛西美津子
添ひ寝する母のごとくに山眠る 神谷宣行
彫り深き南アルプス今朝の雪 木下洋子
聖俗を呑み込んでゆく鯨かな 関根千方
わが死後はガラクタの山煤払 わたなべかよ
使ひ捨つマスク幾枚年惜しむ 萬燈ゆき
•長谷川櫂選
【特選】
体ぢゆう湯気立ててゐる神楽かな 藤英樹
猪の鍋神の血肉のまくれなゐ 喜田りえこ
呆けたる我が身は軽し冬至風呂 神谷宣行
【入選】
やはらかきなには言葉や近松忌 澤田美那子
引揚げの命つなぎし雑炊よ 園田靖彦
俳諧の鬼と向き合ふ冬籠 イーブン美奈子
こんなにも花殻ゆりの木の枯れて 金澤道子
わが死後はガラクタの山煤払 わたなべかよ
目も鼻もどこかに忘れ日向ぼこ 葛西美津子
使ひ捨つマスク幾枚年惜しむ 萬燈ゆき
小春日の暮れてしづかな夕餉かな 澤田美那子
戦争に馴るる怖さよ冬の蠅 萬燈ゆき
雪ばんば夕日まばゆきところから 仲田寛子
ひととせの駄句ほどはなし落葉掻 曽根崇
都鳥水上バスの発つ時刻 金澤道子
羽一度打てば砕けむ冬の蝶 わたなべかよ
旨さうな大き目玉も煮凝れる 葛西美津子
目眩むほどの日差しや布団干す おほずひろし
枯蓮や決めねばならぬ事ひとつ 金澤道子
伊吹山あをき空より時雨けり 藤英樹
キエフには七時間後の冬の月 升谷正博
手になじむ沢庵石や冬に入る 木下洋子
うつばりの塵も掃はず冬籠 喜田りえこ
湯船には湯の花あふれ山眠る 仲田寛子
第二句座 (席題:書初、炬燵)
•藤英樹選
【特選】
友の家姉さんも居る炬燵かな 田中益美
山の字は山の如くに筆始 関根千方
書初や大地ふんばる膝頭 藤原智子
墨濃かれ詩大きかれ筆初め 葛西美津子
一句湧き一句捨てたる炬燵かな 藤原智子
尼御前の首まで入るる炬燵かな 喜田りえこ
【入選】
書初めの偏をはみ出す気合かな 升谷正博
炬燵といふ心地の悪きなまぬるさ 森永尚子
それぞれが好きな事する炬燵かな 金澤道子
書初やけさの日和の紙白く 長谷川櫂
正面に和上のおはす筆始 喜田りえこ
掘炬燵母が入るを待ってをり 澤田美那子
八十の春をことほぎ書初す 園田靖彦
推敲を続けし君の炬燵かな 藤原智子
•長谷川櫂選
【特選】
ずぶ濡れの猫放り込む炬燵かな イーブン美奈子
山の字は山の如くに筆始 関根千方
墨濃かれ詩大きかれ筆初め 葛西美津子
【入選】
墨太く初孫の名を書初めす 曽根崇
来年の句会予定や置炬燵 木下洋子
今年こそ書ける句欲しや筆始 金澤道子
ひもすがら炬燵に暮らす猫と婆 西川遊歩
浮世絵の女まどろむ炬燵かな 萬燈ゆき
八十の春をことほぎ書初す 園田靖彦
推敲を続けし君の炬燵かな 藤原智子
ちちははの亡くて炬燵をまだ出さず 金澤道子
一家六人ぎゆうぎゆうにして炬燵かな イーブン美奈子
尼御前の首まで入るる炬燵かな 喜田りえこ
書初に取り出してくる大硯 木下洋子