古志広島ズーム句会(2022年11月6日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
くれなゐの凩吹くや阿修羅像 長谷川櫂
象の目の皺の中なる冬日かな 長谷川櫂
大根の芽伸びて早速間引かるる 米山瑠衣
木の実落つこの世に入ってくるやふに 高橋真樹子
目貼して心の隙間また破れ 城山邦紀
【入選】
ロープウエイ先は彼の世か朝の霧 河本秀也
一号とよび凩をめでにけり 大平佳余子
家壊す音の寂しさ秋日和 上松美智子
外苑の銀杏黄葉の憤怒かな 大平佳余子
乾く口乳首のやふに綿を吸ふ 岡村美沙子
山眠る隣の山を眠らせて 斉藤真知子
散り急ぐ桜紅葉や遅刻坂 ももたなおよ
秋の蜂花ひとつひとつ惜しみけり ストーン睦美
兎追ひし山を遥かに兄逝けり ももたなおよ
冬日なた骨が皮着て意気軒昂 岡村美沙子
落ち着けと眼が言ふ夫の痰を引く 岡村美沙子
・長谷川櫂選
【特選】
手にとりて茶杓つめたき朝かな 斉藤真知子
秋の蜂花ひとつひとつ惜しみけり ストーン睦美
悔恨の波打ち返す火の恋し 城山邦紀
【入選】
原爆ドーム真正面に冬立てり 矢野京子
初冬の川渡りゆく鹿の群 大場梅子
竹伐って空うつくしきまひるかな 高橋真樹子
兎追ひし山を遥かに兄逝けり ももたなおよ
百目柿百個剥いては軒に干す 菅谷和子
冷まじやミサイルの空ただ青く ストーン睦美
第二句座(席題:枯野、初霜)
・矢野京子選
【特選】
残骸の戦車転がる枯野かな 大平佳余子
初霜のすぐにとけたる帚かな 斉藤真知子
初霜や夢よりさめしごとく消え 矢田民也
【入選】
初霜や子犬は何を掘っている 林弘美
ひとり来て枯野に犬を放ちけり 斉藤真知子
花も虫も沈めてぬくき枯野かな 石塚純子
激戦の枯野にひびく爆撃音 大場梅子
枯野ゆく時々小鳥飛び立ちて 米山瑠衣
人類に明日はあるのか枯野ゆく 大場梅子
猫五匹我が物顔の枯野かな 上松美智子
・長谷川櫂選
【特選】
残骸の戦車転がる枯野かな 大平佳余子
初霜やほろりと抜けし歯のひとつ 城山邦紀
初霜や夢よりさめしごとく消え 矢田民也
【入選】
これよりは分かれ分かれや枯野道 原京子
一輪の花捧げんと枯野道 神戸秀子
烏瓜引いて枯野のみやげとす 神戸秀子
巨人いま富士山麓の枯野ゆく 石塚純子
空はるか心はるかや枯野ゆく 矢野京子
湖を囲みて諏訪の大枯野 河本秀也
初霜のすぐにとけたる帚かな 斉藤真知子
夢の中呼べど答へぬ枯野かな 上松美智子