古志鎌倉ズーム句会(2022年11月13日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
まなざしやぽつんと一つ冬菫 関根千方
枯蟷螂祈りのままに影一つ 関根千方
やぶ柑子展宏さんの立ち姿 おほずひろし
焼藷といふ郷愁を懐に 澤田美那子
敗蓮にまだ色残る展宏忌 曽根崇
熱燗や春夏秋冬全句集 喜田りえこ
これ以上冬木となれず冬木あり イーブン美奈子
【入選】
兄弟の喧嘩久々のつぺ汁 田中益美
セーターの似合ふ男や漁師町 木下洋子
釣人の竿の先まで小春なり 升谷正博
熱燗に鰺のたたきを展宏忌 曽根崇
展宏の椅子あたたかくここにあれ イーブン美奈子
落葉籠日向の匂ひ掻き寄せて 金澤道子
はにかんで展宏さんの冬すみれ 葛西美津子
その音を聞きたくてゆく落葉道 曽根崇
熱燗に眼鏡くもれり展宏忌 仲田寛子
•長谷川櫂選
【特選】
遠く近く海鳴するや展宏忌 園田靖彦
【入選】
熊笹のうつくしき冬来たりけり 葛西美津子
展宏忌長き昭和へ深く礼 喜田りえこ
秋風や山の上なる父の墓 おほずひろし
からたちの棘の真つ青展宏忌 金澤道子
凩や国失ひし子どもたち 萬燈ゆき
第二句座(席題:耳袋、銀杏落葉)
•藤英樹選
【特選】
耳袋哀しきまでに老いにけり 萬燈ゆき
早起きのうさぎ当番耳袋 西川遊歩
母逝きてのこせし箱に耳袋 升谷正博
耳袋聞こえなければそれも良し 金澤道子
銀杏落葉しめりてきたる夕まぐれ 長井はるみ
耳袋地獄耳とは知らざりき 長谷川櫂
【入選】
おはようと新聞少年耳袋 園田靖彦
耳袋遠く叱るは父の声 神谷宣行
東京を埋める銀杏落葉かな 長谷川櫂
マスクして耳袋して老いる他なし 澤田美那子
汝と我むかし揃いの耳袋 仲田寛子
銀杏散る気づかぬうちに戦争へ 木下洋子
耳袋して幼めく媼かな わたなべかよ
ひそかなる自殺願望耳ぶくろ おほずひろし
•長谷川櫂
【特選】
耳袋哀しきまでに老いにけり 萬燈ゆき
早起きのうさぎ当番耳袋 西川遊歩
母逝きてのこせし箱に耳袋 升谷正博
【入選】
おはようと新聞少年耳袋 園田靖彦
赤ん坊のお鼻は真つ赤耳袋 澤田美那子
一を聞き十を知りたる耳袋 藤英樹
汝と我むかし揃いの耳袋 仲田寛子
銀杏散る気づかぬうちに戦争へ 木下洋子
落葉して鎌倉一の銀杏かな 金澤道子