古志鎌倉ズーム句会(2022年9月11日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
威風堂々秋天の今朝の富士 升谷正博
邯鄲や夢より覚めて鳴きはじむ 長谷川櫂
咲き継ぎていつしか秋のさるすべり 金澤道子
青空の深き眠りを鷹渡る 葛西美津子
枝豆やぽつりぽつりと世を嘆き 曽根崇
【入選】
桃剥いて一日のをはり安らかに 萬燈ゆき
女王の生涯照らす良夜かな 木下洋子
おもろないと大阪弁の秋扇 森永尚子
静かなる浅間のふもと夕花野 吉田順子
売り食いでしのぐ三代へちま棚 喜田りえこ
島中がすまふすまふの隠岐相撲 園田靖彦
•長谷川櫂選
【特選】
衣被母の驚くわが齢 森永尚子
君逝くや酒温むる暇なく 藤英樹
女王の孤独は知らず今日の月 木下洋子
【入選】
桃剥いて一日のをはり安らかに 萬燈ゆき
とろろ汁老いてはらから良く似たる わたなべかよ
散歩にはまだ暑けれど酔芙蓉 おほずひろし
わが心森閑とせり秋昼寝 おほずひろし
弓張の串は痛かろ鰯干す 園田靖彦
すいと寄りついと離るるとんぼかな 長井はるみ
第二句座 (席題:牛蒡引く、猿酒)
•藤英樹選
【特選】
修験者が味見して行くましら酒 木下洋子
猿酒われ幽谷の風となる 神谷宣行
スサノヲの髭抜く如く牛蒡引く 関根千方
猿酒こよひは月のあかあかと 萬燈ゆき
【入選】
土の香とも牛蒡の香とも掘りながら 森永尚子
牛蒡引く豊かな土の匂いかな 木下洋子
あやしては引きし牛蒡や丈五尺 葛西美津子
たれもまだ見たことのなきましら酒 おほずひろし
うまうまと大蛇ひとなめ猿酒 湯浅菊子
これでもかまだ掘りきれぬ大牛蒡 長井はるみ
•長谷川櫂選
【特選】
土ぬくく土やはらかく牛蒡掘る 葛西美津子
猿酒こよひは月のあかあかと 萬燈ゆき
蕪村にも放浪の頃ましら酒 藤英樹
【入選】
牛蒡掘る香のみちみちて高き空 吉田順子
土の香とも牛蒡の香とも掘りながら 森永尚子
女房は夕餉の支度牛蒡引く わたなべかよ
修験者が味見して行くましら酒 木下洋子
牛蒡引く移住一家も加はりて 木下洋子
息子には負けるものかと牛蒡引く 升谷正博
牛蒡引く豊かな土の匂いかな 木下洋子
奥宇陀の土豊かなり牛蒡引く 喜田りえこ
分け入りし月山はるか猿酒 葛西美津子
農高生どろまみれなり牛蒡ひく 田中益美
これでもかまだ掘りきれぬ大牛蒡 長井はるみ