古志金沢ズーム句会(2022年9月19日)
第一句座(当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
猩々も出でませ加賀の菊の宴 花井淳
はつかりや加賀山中にあひまみゆ 泉早苗
ほうとしてほうほうとして良夜かな 田村史生
露草は夏の落とせし青き湖 山本桃潤
爽やかに芭蕉のわかれ説かれけり 泉早苗
一粒に甲斐のあをぞらマスカット 宮田勝
おほひなる闇よりおわら流しかな 酒井きよみ
有明の月に夜勤の手を洗ふ 稲垣雄二
戦争の届かぬ闇に今日の月 稲垣雄二
ゴダール死すや秋の日のうつろひぬ 近藤沙羅
【入選】
台風を睨む目刺の目玉かな 安藤久美
恋の未練尻尾に残す蜥蜴かな 田中紫春
鵙の声空を引き裂く青さかな 安藤久美
眠りつきはやも秋思を解かれしか 趙栄順
一日を大秋晴の金沢に 長谷川櫂
この道や湧くがごとくに花すすき 橋詰育子
潔き無頼派なりし破れ芭蕉 梅田恵美子
屋根瓦月を照らしてをりにけり 佐々木まき
こよい月雲に囃されつつ渡る 酒井きよみ
水の香にうしろ淋しき蜻蛉かな 松川まさみ
イルカショーのイルカ産休秋深し 氷室茉胡
名月はたくみに雲を捌きをり 密田妖子
加賀の松日本一や手入れせん 趙栄順
編笠の狐も踊る風の盆 酒井きよみ
太りたる芋虫眠る良夜かな 近藤沙羅
蓑虫に問ふ衣食住足りたるか 氷室茉胡
み熊野の闇は底無し稲光 玉置陽子
満月や国境なんぞ誰が引く 山本桃潤
白山を天上に置き菊の酒 花井淳
鵙高音天地あかるくなりしかな 橋詰育子
・長谷川櫂選
【特選】
今朝秋の顔して歩く女かな 趙栄順
岩なめす水のひかりや秋の昼 松川まさみ
塗椀の沈金くもる秋暑し 越智淳子
おしんこにひしほ一滴今朝の秋 佐々木まき
一陣の風吹き抜けて栗一つ 清水薫
【入選】
鰯雲かつては駅に伝言板 氷室茉胡
秋深き浮き世にかへる頭陀袋 鬼川こまち
裏山へ柿の葉鮓の葉を狩りに 田村史生
露草は夏の落とせし青き湖 山本桃潤
人間の咎引き受けて桃傷む 山本桃潤
煮冷ましてゲンノショウコや夜の秋 安藤久美
菊の湯やはれて置き去る翁杖 鬼川こまち
線香や深く眠れば大花野 田中紫春
こよい月雲に囃されつつ渡る 酒井きよみ
水の香にうしろ淋しき蜻蛉かな 松川まさみ
長々とそぞろに生きて敬老日 佐々木まき
爽やかに芭蕉のわかれ説かれけり 泉早苗
柿の実に微かな赤み生きたしや 藤倉桂
揚げ花火終はりし闇に妻とゐる 稲垣雄二
イルカショーのイルカ産休秋深し 氷室茉胡
おほひなる闇よりおわら流しかな 酒井きよみ
どうにもならぬ事考へず爽やかに 間宮伸子
編笠の狐も踊る風の盆 酒井きよみ
新涼や今朝から薬あたらしく 田中紫春
桔梗や今からの日々丈高く 藤倉桂
草の根と力くらべや秋暑し 梅田恵美子
み熊野の闇は底無し稲光 玉置陽子
竜胆や山道空へつづきけり 橋詰育子
秋風に吹かれ七十越えにけり 稲垣雄二
さはやかや肩組みてくる老病死 松川まさみ
今日の月一夜でまかん半歌仙 泉早苗
洗はれて白き花びら鱸かな 玉置陽子
白山を天上に置き菊の酒 花井淳
秋茄子の蔕に刺さるるうれしさよ 趙栄順
アルプスの水をかためてかき氷 梅田恵美子
墓仕舞ひ終へて見あぐるいわし雲 山本桃潤
一病を宝となさん菊の酒 宮田勝
第二句座(席題:秋深し、新藁)
・鬼川こまち選
【特選】
子を産むに新藁を敷く昔かな 間宮伸子
日の匂ひ月の匂ひや今年藁 趙栄順
隠れし子鬼に見つかる今年藁 田村史生
夫の老いふいに愛し秋深し 趙栄順
新藁の香を嗅ぐ犬を呼び返す 越智淳子
編み上げて福呼び込まん今年藁 田村史生
碌山の「女」を訪へば秋深し 清水薫
進みては戻る推敲秋深し 田村史生
【入選】
新藁の上へ背面跳びの子等 宮田勝
新藁で囲みてここは神の国 山本桃潤
新藁ややや湿り気の残りたる 泉早苗
新藁の塚日暮れまでかくれんぼ 梅田恵美子
新藁に寝転んで夢ふくらます 酒井きよみ
深秋の手引きに見たり遺言書 佐々木まき
新藁に座つて子の名考へり 稲垣雄二
たつぷりと新藁馬に敷きやらん 酒井きよみ
秋深む我が家で終を迎へたし 密田妖子
母さんと同じ匂ひや今年藁 趙栄順
軒に積む薪に木の香や秋深し 稲垣雄二
金沢や新藁の香のどこよりぞ 長谷川櫂
新藁で編んでくれたる草履かな 橋詰育子
新藁の束さはさはと捌きけり 長谷川櫂
新藁で焼きし鰹のたたきかな 橋詰育子
・長谷川櫂選
【特選】
日の匂ひ月の匂ひや今年藁 趙栄順
いろいろの事かたづきて秋深し 橋詰育子
秋深き生まるる雲の行方かな 宮田勝
進みては戻る推敲秋深し 田村史生
秋深し八十のこころ柔らかに 山本桃潤
【入選】
子を産むに新藁を敷く昔かな 間宮伸子
新藁で囲みてここは神の国 山本桃潤
駅裏にうまき蕎麦屋や秋深し 安藤久美
秋深し一人の暇に茶をたてて 佐々木まき
たつぷりと新藁馬に敷きやらん 酒井きよみ
母さんと同じ匂ひや今年藁 趙栄順
血圧の今朝は正常秋深し 清水薫
新藁で編んでくれたる草履かな 橋詰育子
新藁であぶる魚や藻塩振る 泉早苗
入相の田に新藁の山一つ 花井淳
新藁をたっぷり犬の初産に 山本桃潤
新藁にとびこんで遊びしことも 酒井きよみ
