古志鎌倉ズーム句会(2022年7月10日)
第一句座
【特選】
•藤英樹選
墨色も女体もふかく楸邨忌 西川遊歩
泉ありその一掬を兵の塚 長井はるみ
ねぶた去り今日から青田かかりきり 園田靖彦
月光の鮑の殻に鮑かな 仲田寛子
夜光虫ひらりと舟に燃えうつる 長谷川櫂
鬱然と冷たき水に山椒魚 長谷川櫂
凌霄の花に傾く日差しかな 金澤道子
夜の間に星を沈めり茄子の花 湯浅菊子
【入選】
蚕豆を莢ごと焼いて楸邨忌 わたなべかよ
月と日の真中に和上蓮の花 喜田りえこ
こんこんと死の戸を叩く夏の咳 神谷宣行
小屋に置くバイクももいろ鮑海女 仲田寛子
山梔子の花の汚れを愛でるなり 長井はるみ
蟇と声合はせて唱へ楸邨忌 喜田りえこ
昼下り鵜匠の家は深閑と 木下洋子
朝焼や塒より翔つ二羽三羽 葛西美津子
からつぽの生家優曇華吹かれをり わたなべかよ
おろおろと軍鶏でありしが羽抜鳥 湯浅菊子
•長谷川櫂選
【特選】
暑き日や人撃たれたるの次の日も 関根千方
みちのくの魂たぎらせて佞武多来る 園田靖彦
怖ろしき草のなかへと蟻の列 森永尚子
【入選】
水羊羹山荘を処分する話など おほずひろし
あをあをと千畳へ夏御影堂 喜田りえこ
治療後の髪よ伸びよと鰻食ふ 神谷宣行
夏帽子幾人死せば戦果つ 萬燈ゆき
声かけていいのか迷ふサングラス 田中益美
歪みゐるのは世か我か半夏生 イーブン美奈子
しやうが飯昔は風の通りしを 森永尚子
ほうたるの闇の力や母蘇生 神谷宣行
飛行機の頭上飛びかふかき氷 田中益美
目鼻口かつと開きし佞武多来る 園田靖彦
壮年の山荘の日々籐寝椅子 おほずひろし
月光の鮑の殻に鮑かな 仲田寛子
なまぐさきこの世の風や古団扇 木下洋子
九頭竜の荒ぶる水へ鮎の竿 藤英樹
洗ひ鯉高原に灯のともるころ おほずひろし
おろおろと軍鶏でありしが羽抜鳥 湯浅菊子
第二句座 (席題:竹床几、船虫)
•藤英樹選
【特選】
億年を生きて船虫人嫌ひ 曽根崇
舟虫の窟を開けてしまひけり 関根千方
ジャカルタの大渋滞や竹床几 森永尚子
袋小路多き鎌倉竹床几 金澤道子
夕立に出したるままの竹床几 おほずひろし
散髪のいい匂ひさせ竹床几 葛西美津子
やせ犬が下にねそべる竹床几 森永尚子
【入選】
舟虫や百骸九竅塒とす 喜田りえこ
国引きの昔のままに船虫は 仲田寛子
舟虫のただひたすらに逃げにけり 升谷正博
船虫の右往左往や稚児が淵 金澤道子
舟虫や万の嘆きのその中に 葛西美津子
怒濤より強き船虫巌に立つ 神谷宣行
停戦の腹を探るや竹床几 喜田りえこ
麩饅頭名代の老舗竹床几 長谷川櫂
高層マンション群見上ぐ竹床几 森永尚子
•長谷川櫂選
【特選】
舟虫や百骸九竅塒とす 喜田りえこ
竹床几俳句は自由闊達に 藤英樹
やせ犬が下にねそべる竹床几 森永尚子
【入選】
舟虫や嵐の匂ひ近づき来 イーブン美奈子
夕立に出したるままの竹床几 おほずひろし
泡盛の酔ひを醒まさん竹床几 仲田寛子
その下は蟻の国なり竹床几 関根千方
ふな虫や座礁の船にうようよと 木下洋子
かわほりの空の下なる竹床几 升谷正博