古志広島ズーム句会(2022年4月10日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
その先に戦場がある春の雲 石塚純子
一匹の心の鬼と花見せん 高橋真樹子
今生の花に埋もれて塵となる 城山邦紀
戦争がぬつと顔出す朧かな 安藤文
【入選】
ひと息に剝ぐ花鳥賊のうすごろも 神戸秀子
ひやひやと袖とほしたり花衣 長谷川櫂
花よりも花や乙女の花衣 ストーン睦美
幾万の涙と思ふ飛花落花 ももたなおよ
雁高く羽ばたけど帰る故郷なし 岡村美紗子
空へ身を投げ出して飛ぶ雀の子 夏井通江
空色の春風が吹く十六階 夏井通江
春泥を踏めばどこまで沈む靴 岡村美紗子
初燕ふるさとの山めじるしに 菅谷和子
食べられし穴のありけり桜貝 飛岡光枝
身ごもれる埴輪の女目借時 大場梅子
眠たげな春の筍掘りにけり 斉藤真知子
無残なり何もかもけふ春らしく 長谷川櫂
眩しさに目を閉じ入学写真かな 神戸秀子
・長谷川櫂選
【特選】
そこここに立てる十字架春野かな 米山瑠衣
一匹の心の鬼と花見せん 高橋真樹子
空へ身を投げ出して飛ぶ雀の子 夏井通江
空色の春風が吹く十六階 夏井通江
【入選】
蒲公英も十字架も踏み潰しゆく 米山瑠衣
甘茶寺きぶしの花のその奥に 神戸秀子
春の潮鳴つてヴィーナスうまれけり 菅谷和子
春泥を踏めばどこまで沈む靴 岡村美紗子
大国が小国呑みて行く春ぞ 大平佳余子
亡きひとの座を真ん中に花筵 ももたなおよ
眠たげな春の筍掘りにけり 斉藤真知子
木切れ二本十字に結はへ戦地の春 原京子
第二句座(席題:紫木蓮、燕)
・矢野京子選
【特選】
つばくらやここから「大和」見たと母 河本秀也
胸中に炎たちたり紫木蓮 大平佳余子
紫木蓮厨に今日は父が立ち 安藤文
初燕来りてわが空あらたまる 矢田民也
【入選】
たちまちに少女は老いぬ紫木蓮 菅谷和子
魚さばく手元鮮やか紫木蓮 飛岡光枝
紺碧の空に点あり初燕 ストーン睦美
大空を切り裂いて来る初燕 城山邦紀
朝練の少女見上げる初燕 菅谷和子
亡き母の齢を越えし紫木蓮 斉藤真知子
夕燕母待つ家のいまはなく 大場梅子
・長谷川櫂選
【特選】
あけぼのの空にちからや紫木蓮 高橋真樹子
生き生きて先の見えずや紫木蓮 上松美智子
戦場となりしをしらず燕くる 大平佳余子
【入選】
激流のしぶきかすむる燕かな 石塚純子
玄関を出るに燕の糞跨ぎ 斉藤真知子
莟めれば朝な夕なの紫木蓮 矢田民也