花のズーム句会 2022年4月3日
第一句座
・上田忠雄選
【特選】
咲き満ちて己に溺る桜かな 山本桃潤
百歳の花守唄ふ反戦歌 喜田りえこ
花冷えの十万トンや汚染水 北側松太
花筵畳まれしまま三とせあり 齋藤嘉子
【入選】
初花や雪にかがよふ守門岳 上田悦子
うたた寝の我に花散る思ひあり 飛岡光枝
葛切りをつるりと喉に花の雲 青沼尾燈子
百畳の座敷を浮かべ花ふぶく 長谷川櫂
身ひとつ花より白く嫁ぎ来し 安藤久美
楽に寝よ逃れ来てこの花の国 齋藤嘉子
花筵一枚背負つて吉野山 飛岡光枝
花疲こそなつかしや吉野山 澤田美那子
胃を切りて今はすこやか花疲れ 北側松太
枝から枝目白の揺らす花の空 梅田恵美子
・長谷川櫂選
【特選】
今朝咲きし花を見つけに朝桜 上田雅子
中空の花の広間へ降りてゆく 田村史生
妻の花開くを待つや桜漬 稲穂雄二
滝桜闇の奈落へ滝落とす 宮本みさ子
人踏まぬ道もあるべし花の山 川辺酸模
花筵一枚背負つて吉野山 飛岡光枝
【入選】
花冷えの水をはつしと鯉が打つ 喜田りえこ
まぼろしの花の句会や吉野建 斉藤真知子
青むまで包丁研がむ初桜 玉置陽子
身ひとつ花より白く嫁ぎ来し 安藤久美
西行忌妻子恋しき日のあらむ 木下洋子
干しながら売る春子など戸板上 西川遊歩
緩やかに揺るる光や花しづか 越智淳子
どの枝も花ばかりなり大桜 おほずひろし
花疲こそなつかしや吉野山 澤田美那子
はなびらや吉野の空を駆けめぐる 梅田恵美子
胃を切りて今はすこやか花疲れ 北側松太
花筵畳まれしまま三とせあり 齋藤嘉子
被曝して藍の脂垂れ桜樹皮 宮本みさ子
第二句座
・上田忠雄選
【特選】
花見弁当広げる横に赤ん坊 越智淳子
深閑と原爆ドーム花の中 川辺酸模
ゆさゆさと花の雲より青不動 喜田りえこ
城ひとつ浮かべて花のうねりかな 安藤久美
【入選】
野良着とて花に安らふ花衣 齋藤嘉子
吹きだまるくれなゐ淋し桜しべ 梅田恵美子
によつぽりと蛙顔出す花筏 齋藤嘉子
百年の菓子舗に山と桜餅 花井淳
花びらや白湯で飲み込む陀羅尼助 玉置陽子
今散りし花をのせたり花筏 斉藤真知子
花会式鬼の天下の通りかな 宮本みさ子
思ひ出のままに古びよ花の宿 長谷川櫂
湯にほどく命ひとつや花の夜 安藤久美
花びらをぬぐうて春の筍を 長谷川櫂
次の世は花に生まれてくるもよし 斉藤真知子
・長谷川櫂選
【特選】
土偶にも乳房二つや花ぐもり 北側松太
象谷へ遅日の桜見に行かん 上田忠雄
腸の花のかほりや山女魚鮓 喜田りえこ
【入選】
山頭火乞食姿は桜かな 山本桃潤
この国をさまよふてゐる花吹雪 上田雅子
引返す花人もあり金峯山 田村史生
深閑と原爆ドーム花の中 川辺酸模
一枝は田の神さまへ山桜 喜田りえこ
家系図は鬼に始まる桜守 稲穂雄二