古志仙台ズーム句会(2021年11月28日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
最期まで演じきつたる穴惑 武藤主明
あかときを一万の鶴鳴き交はす 齋藤嘉子
寝転んで太平洋と日向ぼこ 平尾 福
画用紙をはみ出してゐる冬の虹 辻奈央子
唐突に話し始めるマスクかな 森 凜柚
湯気立てて素戔嗚尊里神楽 齋藤嘉子
【入選】
返り花隣家に人の住まぬまま 阿部けいこ
冬夕焼論敵が待つ地下の酒肆 石原夏生
けだものの息抱きしまま眠る冬 石川桃瑪
黒土に温まりをりし大根引く 上 俊一
研ぎあがる餅米の白寒々と 宮本みさ子
マスクせん君の近くにゆくために 森 凜柚
大根の正直ものの太つ腹 武藤主明
父母の来てゐるやうな小春の日 平尾 福
青空へ絶叫したる吊し鮭 武藤主明
・長谷川櫂選
【特選】
マスク外して伝へたき言葉かな 森 凜柚
一本の忘却を編む毛糸かな 三玉一郎
青空へ絶叫したる吊し鮭 武藤主明
唐突に話し始めるマスクかな 森 凜柚
【入選】
月山の笑ふがごとくしぐれ虹 長谷川冬虹
並べ置く猪口はとりどりお元日 谷村和華子
あかときを一万の鶴鳴き交はす 齋藤嘉子
全身で日を浴びてゐる枯木かな 森 凜柚
城址より壱岐や対馬や天高し 那珂侑子
城址より壱岐や対馬や天高し 那珂侑子
金色や銀杏見上ぐる顔もまた 辻奈央子
やつてくるへたな口笛奴は冬 上村幸三
研ぎあがる餅米の白寒々と 宮本みさ子
機上より見下ろすこれは鰯雲 那珂侑子
落葉してからつぽといふ空の青 佐伯律子
寝転んで太平洋と日向ぼこ 平尾 福
早も芽を立てて裸の牡丹の木 宮本みさ子
初しぐれ嘗て避難の峠かな 宮本みさ子
袴の子跳ぶ碁盤の儀七五三 川村杳平
月光の唄を奏でる冬木かな 川辺酸模
湯気立てて素戔嗚尊里神楽 齋藤嘉子
第二句座(席題:伊勢海老、セロリ、冬帽子)
・長谷川冬虹選
【特選】
伊勢海老の鎧兜に刃を入るる 三玉一郎
まつさらのセロリを齧る青き音 石川桃瑪
赤鬼のごとく伊勢海老焼かれけり 長谷川櫂
伊勢海老のがさりと出づる大盥 石川桃瑪
【入選】
真ん中の伊勢海老だれも箸ださず 上村幸三
割り切れぬことを割り切りセロリ噛む 森 凜柚
握りしめサクリ乳歯でセロリかな 谷村和華子
手を組んで弾む二人や冬帽子 川辺酸模
飼ひ犬がちらと目を遣る冬帽子 青沼尾燈子
目と鼻の顔となりけり冬帽子 川辺酸模
歯応への音ごとセロリ口へ入る 石川桃瑪
・長谷川櫂選
【特選】
伊勢海老の鎧兜に刃を入るる 三玉一郎
息子にも園児の日々あり冬帽子 長谷川冬虹
家のどの皿より大き伊勢海老よ 森 凛柚
【入選】
家のどの皿より大き伊勢海老よ 森 凛柚
伊勢海老も偕老同穴海ひろし 服部尚子
セロリ折る買い物袋に香の満ちて 阿部けいこ
ポンポンが弾んでゆくよ毛糸帽 谷村和華子
日本を晴れやかにせむ伊勢海老よ 佐藤和子
冬帽子手に高々と洋さん 齋藤嘉子
八十の歯がセロリ噛む揚げ餅も 宮本みさ子
妻の手に剣のごとくセロリかな 長谷川冬虹
西脇の小千谷をおもふ冬帽子 上村幸三