青木亮人さんによる『太陽の門』の書評が「青磁社通信」第32号(2023年8月)に掲載されています。
金田伸一句集『山幸』、斉藤真知子句集『香水瓶』、南川閏句集『種袋』、平尾福句集『百福』の書評も掲載されています。
ぜひお読み下さい。
青木亮人さんによる『太陽の門』の書評が「青磁社通信」第32号(2023年8月)に掲載されています。
金田伸一句集『山幸』、斉藤真知子句集『香水瓶』、南川閏句集『種袋』、平尾福句集『百福』の書評も掲載されています。
ぜひお読み下さい。
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
時々は母に戻らる生身魂 川辺酸模
分蘖の音と田水の沸く音と 齋藤嘉子
見出しだけ走り読みして猛暑かな 上 俊一
手にのせて命つめたき守宮かな 齋藤嘉子
亀の子よ海は向かうと判るのか 上 俊一
【入選】
灼け道を帰還の父よ遠き日よ 甲田雅子
記念樹は空を突きたり花柘榴 及川由美子
半月の白きを衝いて雲の峰 上 俊一
尻に花付けたままなり朝胡瓜 平尾 福
一本の草の涼しき唐津かな 川辺酸模
手花火は帰省の兄のにほひかな 上村幸三
飛魚やジャックナイフの滑空す 武藤主明
昼顔や未来の沖へ汚染水 長谷川櫂
長谷川櫂選
【特選】
地下足袋に藺草からまり昼寝人 齋藤嘉子
母の髪の針刺し今も藍浴衣 佐藤和子
水一本ぶらさげて出る油照 石川桃瑪
黒々と人間つどふ原爆忌 甲田雅子
蝉時雨へと爆弾の落ちゆくも 平尾 福
【入選】
灼け道を帰還の父よ遠き日よ 甲田雅子
時々は母に戻らる生身魂 川辺酸模
ユリノキの夏葉の美しき影を踏む 阿部けいこ
猫の来て茅の輪潜つて行きにけり 平尾 福
こはごはと外を窺ふ暑さかな 平尾 福
涼風や蝙蝠の棲む岩屋より 及川由美子
見出しだけ走り読みして猛暑かな 上 俊一
手にのせて命つめたき守宮かな 齋藤嘉子
心エコー透ける命の涼しさよ 川辺酸模
故郷は山百合高く咲くころよ 甲田雅子
悠々と山百合揺れてゐる故郷 川村杳平
たじろぎぬ重さ大きさ山百合よ 服部尚子
尻に花付けたままなり朝胡瓜 平尾 福
一本の草の涼しき唐津かな 川辺酸模
滝の音からだで聞いてをりにけり 三玉一郎
梅漬ける母の色には及ばざる 武藤主明
死者の霊柱と数へ八月来 及川由美子
いましばしきみのとなりに夕涼み 川辺酸模
父母の魂が呼ぶ帰省かな 三玉一郎
ずぶ濡れで行く青春の大夕立 平尾 福
青春の水辺は遠く草いきれ 石川桃瑪
はるかより龍のごとくに夏怒濤 長谷川冬虹
同窓の友も減りけり田水沸く 川辺酸模
浜えんどう津波禍の魂戻り来ず 甲田雅子
第二句座 (席題:行水、生姜、蝮)
長谷川冬虹選
【特選】
行水のへそが笑つてをりにけり 三玉一郎
枝張つて扇さながら大生姜 長谷川櫂
孫ひ孫次々にふゆる生姜かな 長谷川櫂
【入選】
味噌つけて辛さの旨し新生姜 佐藤和子
蝮酒島の自慢と振る舞はる 谷村和華子
蝮酒未だ貰ひ手見つからず 武藤主明
素麺に気合ひ入れたる生姜かな 平尾 福
蝮酒小屋に秘したる天狗山 及川由美子
セルロイドのひよこ侍らせ行水す 及川由美子
長谷川櫂選
【特選】
晒されて風に鳴りゐる蝮かな 川辺酸模
行水に冷ます頼みのあばら骨 臼杵政治
浮世絵の行水美人老もせず 上村幸三
【入選】
祖母愛用祖父の遺しし蝮酒 齋藤嘉子
みちのくや学費にあてる蝮酒 阿部けいこ
爺は逝き蝮は壜に存へて 上 俊一
蝮酒未だ貰ひ手見つからず 武藤主明
行水の子に桃の葉をぴちやぴちやと 佐藤和子
竹棒に日陰干しする蝮かな 川辺酸模
古志の祇園祭句会でこれまでに詠まれた句をまとめた「祇園祭歳時記」を掲載します。右サイドからまず2013年までの分がごらんになれます。
中村汀さん(前京都支部長)がまとめたものです。PDFなので検索はできませんが、巻末に索引がありますので、ご利用ください。
2014年から23年までの分は氷室茉胡さん(京都支部長)が目下編集中です。こちらはWORDですので検索ができます。
同じ句や似た句を作らないための資料です。祇園祭句会にはプリントしてお持ちください。
なお「吉野山花の句会」でこれまでに詠んだ句をまとめた「吉野山歳時記」も編集中です。
さまざまなジャンルから講師をお迎えして季節や文化に関わるお話をお聞きする「きごさい+」。
今回の講師は、きごさい+ではおなじみの虎屋文庫の中山圭子さん。
会場で開催の時は虎屋さんのご協力でお菓子付きの講座でしたが、今回もZoomを使ったオンライン開催のため残念ながらお菓子は配れません。講師の中山さんから「ぜひこの機会に、気になる南蛮菓子と飲み物を傍らにご用意いただき、味わいながら、ご参加ださい。」とコメントをいただいております。講演の後、句会もあります。(選者:中山圭子、長谷川櫂)
演 題 : 異国への憧れ、南蛮菓子あれこれ
講 師 : 中山 圭子(なかやま・けいこ)
プロフィール:
東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。四季折々の和菓子のデザインの面白さにひかれて、卒論に「和菓子の意匠」を選ぶ。
現在、和菓子製造販売の株式会社虎屋の資料室、虎屋文庫の主席研究員。
著作に「事典 和菓子の世界 増補改訂版」(岩波書店)、「江戸時代の和菓子デザイン」(ポプラ社)、「和菓子のほん」(福音館書店)など。
講師のひと言
南蛮菓子とは、室町時代末期から江戸時代にかけて、ポルトガルやスペインとの交流によって伝わった菓子のこと。 カステラや金平糖、ボーロなど、今では「和菓子」として親しまれているものがある一方、けさちいな、はるていすなど、日本に根づかなかったものもあります。今回は、異国情緒漂う南蛮菓子の歴史や魅力についてお話したいと 思います。
日 時:2023年8月11日(金・祝)13:30~16:00 (13:15~ Zoom入室開始)
13:30~14:45 講演
14:50~15:20 句会(選句発表)
15:20~16:00 長谷川櫂(きごさい代表)との対談、質疑応答
<申込み案内>
1. 参加申し込み 8/2(水)まで: ここをクリックして申込みフォームからお申込みください。
2. 参加費:きごさい会員:1,000円 会員外:2,000円 会費の振込先は自動確認メールでお知らせします。
3.ズームのURL、句会の入力フォームのURLは、申込みと入金された方に8/7までにメールで配信致します。かならずご確認ください。
4.句会:当期雑詠5句 前日投句です。 選者:中山圭子、長谷川櫂
前日8/10(木) 17時までに所定のフォームから投句。ただし句会の参加は自由です。
ズームを使ったオンライン講演会です。8/2(水)までに参加申し込みをして、8/7頃メールで配信するズーム入室URLなどの案内をご確認いただかないと、当日視聴できません。よろしくお願いいたします。
注意:当日、講演の録画や画像の複写はなさらないようご注意ください。
日 時:令和五年七月十七日(月・祝)
句会場:こどもみらい館第一研修室B 参加者十九名
恒例の祇園会句会、昨年に引き続き、長谷川櫂前主宰の出席の下、京都市で開催しました。気温が三七度を超える猛暑日でしたが、楽しい充実した句会となりました。
句会は、第一句座十句出句五句選、第二句座五句出句五句選で行いました。
前主宰と私の選は次のとおりです(☆特々々選、◎特々選、○特選)。なお、前主宰の直しのある句は直した後の句を掲載しています。
第一句座
長谷川櫂選
☆妻愛すこともたいへん保昌山 藤 英樹
◎また妻と芦刈山を見てゐたり 三玉 一郎
◎もどり鉾からくれなゐの尾を引いて 玉置 陽子
◎滅びゆく世界しづかに鉾の鉦 木下 洋子
○鯉山や鯉を誇りの男ぶり 石川 桃瑪
○鉾の稚児花より白く化粧して 上田 悦子
○ずたずたの世に鉾立てん山立てん 安藤 久美
○陽炎となりてはるかに一の鉾 田村 史生
○生稚児の舞ふや錦の風の中 上田 忠雄
○鯉山の鯉となりたき暑さかな 上田 忠雄
白玉や長刀鉾がすぐそこを 木下 洋子
乾坤の軋みて一の鉾回る 田村 史生
祇園会や大き日除けの乳母車 宮本みさ子
祇園会やおそろしいほど京は晴れ 三玉 一郎
枯れ枯れて風より軽し鉾粽 稲垣 雄二
祇園会や迷子めいたる田舎者 宮本みさ子
長刀鉾雲のひとつも寄せつけず 田村 史生
今年またひとりを悼みこんちきちん 飛岡 光枝
祇園会や真白き句帳おろさんと 谷村和華子
宵山や歩き歩きて涼みけり 越智 淳子
はばたいて暑さを払ふ蟷螂山 上田 忠雄
氷室茉胡選
○乾坤の軋みて一の鉾回る 田村 史生
○俳諧も放下大事や放下鉾 藤 英樹
○また妻と芦刈山を見てゐたり 三玉 一郎
○蟷螂山首を傾げしこの世かな 田村 史生
はばたいて暑さを払ふ蟷螂山 上田 忠雄
滅びゆく世界しづかに鉾の鉦 木下 洋子
どの路地も祇園囃子へ続きたり 田村 史生
船鉾の去つて残るはただ暑さ 稲垣 雄二
曇天を穿つがごとく鉾建てる 河口 佳澄
氷室より風来て祭はじまりぬ 飛岡 光枝
枯れ枯れて風より軽し鉾粽 稲垣 雄二
生稚児の眼に大いなる雲の峰 木下 洋子
待ちわびし人波分けて大船鉾 安藤 久美
鉾粽留守守る夫にまづ買うて 谷村和華子
鉾廻すこの星廻す心意気 稲垣 雄二
宵山やうす約束の君なりし 谷村和華子
今年またひとりを悼みこんちきちん 飛岡 光枝
第二句座
長谷川櫂選
長刀鉾夕立やみたるしづくかな 安藤 久美
鉾おりる生稚児を待つ夏休み 上田 悦子
むくむくと船鉾を追ふ峰の雲 田村 史生
灼熱の世へ生稚児の降りて来る 田村 史生
長刀鉾青青と空を揺らしけり 谷村和華子
氷室茉胡選
○鴨川を吹く風音も後祭 藤 英樹
○鉾出して赤子の遊ぶ会所かな 葛西美津子
宵山の笛を枕に眠りけり 三玉 一郎
鉾きしみ大いなる夏動き出す 飛岡 光枝
戻る山待ちて涼しき会所かな 田村 史生
大真面目祇園囃子にあのやんちや 河口 佳澄
天上の人へ長刀鉾が立つ 三玉 一郎
祭鱧鉾曳く力賜りぬ 飛岡 光枝
蟷螂山稚の眼の澄み切つて 越智 淳子
前主宰の句
だいだら坊立ちはだかるや長刀鉾
長刀鉾胴ぶるひして動き出づ
梅一枝愛しき人へ保昌山
一生を長刀鉾の浴衣かな
夕顔の花ほぐれてや祭髪
由良川の鮎も都へ鉾囃子
青田風祇園囃子のわたりゆく
月鉾や月の宿りて花やかな
菊水鉾孔雀を瀧と垂らしけり
命なき稚児人形の涼しさよ
鉾立つや天地まぐはふ真柱
長刀鉾鬼の力を鉾車
田草とる手にも響くや鉾囃子
打ち打ちていつせいに止む鉾の鉦
人々の嘆きの海へ長刀鉾
(文責 氷室茉胡)
・年間賞
山蕗や刻めばしぶく春の山 岐阜 梅田恵美子
次点、候補は「ネット投句」のページに載っています。
「軽井沢高原文庫通信」第101号(6月30日刊行)にエッセイ「軽井沢の桜」を書きました。
「軽井沢高原文庫」友の会の年会費は3000円、学生は1500円です。「通信」定価200円。
長谷川櫂をめぐる「ズームの集い 俳句の可能性」がこのサイトではじまります。テキストを読んできていただければ、古志会員以外の方も参加できます。参加無料。
第1回のテキストは「俳句」7月号掲載の長谷川櫂「白い山」50句です。感想、質問なんでもどうぞ。日時は7月15日(土)1時30分から3時まで。司会は古志同人の木下洋子さんです。随時開催の予定です。
参加申し込みは右サイドの「第1回「ズームの集い」申し込み」から。先着50名で締め切ります。
*感想、質問、お茶とお菓子(酒と肴?)などご用意ください。
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
青空へ橡の花鉾たちそろふ 長谷川櫂
人間をやめて涼しくゐたりけり 三玉一郎
父の日やその生い立ちは言はぬまま 臼杵政治
青空を一掬ひせし捕虫網 平尾 福
大切にされてさみしき金魚かな 三玉一郎
【入選】
赤ん坊の手足よろこぶ浮いて来い 佐藤和子
我が庭の覇権ねらふか大蚯蚓 石川桃瑪
取つて置きの父の日の酒江戸切子 佐藤和子
泡盛の甕に熟れゆく緑夜かな 川辺酸模
摘み来たる実の芬々と梅仕事 石川桃瑪
子の話尽きて閑かや夕端居 川辺酸模
梅雨の蝶翅をこれほど痛めゐて 宮本みさ子
あごひもをきりりと少女麦藁帽 上 俊一
ゐなければ涼しき父の言葉かな 三玉一郎
花掲げ泰山木は月の中 齋藤嘉子
・長谷川櫂選
【特選】
泰山木咲く花びらをきしませて 齋藤嘉子
飛天舞ふごとく花咲き泰山木 齋藤嘉子
天上は泰山木の花盛り 平尾 福
【入選】
老いらくの歌ごゑ軽ろし蟇 上村幸三
十薬や裏庭の母我を呼ぶ 及川由美子
赤ん坊の手足よろこぶ浮いて来い 佐藤和子
夏炉うれし霧流れ入る山の小屋 服部尚子
夏に入り森の香りの化粧水 甲田雅子
父の日や見へざる父に酒を注ぐ 上村幸三
指す駒の音の涼しや棋聖戦 武藤主明
降り立てば風の旅人サングラス 川辺酸模
摘み来たる実の芬々と梅仕事 石川桃瑪
花掲げ泰山木は月の中 齋藤嘉子
われ継ぎし父の瓢よ天の川 上村幸三
花茣蓙や按摩を待ちて母の座す 服部尚子
潮焼けの頬赤黒く麦藁帽 上 俊一
第二句座(席題:甘酒、蝦蛄、夏椿)
・長谷川冬虹選
【特選】
餓鬼のごと蝦蛄食ひ散らす旨さかな 川辺酸模
茹でながら商ふ小屋よ蝦蛄漁師 齋藤嘉子
甘酒や笑ひ上戸の妻であり 平尾 福
奉納句詠みて直会一夜酒 佐藤和子
【入選】
甘酒の旗ひるがへる六合目 及川由美子
剥きつ捨てつ蝦蛄の鎧をばりばりと 石川桃瑪
甘酒やまだ喉おくに残りをり 甲田雅子
沙羅咲かせ隣家の嫗達者なり 佐藤和子
小走りで駆け込む女夏椿 上 俊一
たつぷりの生姜をきかせ一夜酒 谷村和華子
尾の扇開きて蝦蛄の自己主張 石川桃瑪
蝦蛄食らひ無造作に口拭ひけり 上村幸三
・長谷川櫂選
【特選】
蝦蛄として生まれて人に食はれけり 平尾 福
蝦蛄食うてなまぐさき夜を雑居寝かな 齋藤嘉子
茹でながら商ふ小屋よ蝦蛄漁師 齋藤嘉子
母の棺出すに沙羅の花降らす 甲田雅子
咲くも白散るも真白し沙羅の花 甲田雅子
【入選】
甘酒の旗ひるがへる六合目 及川由美子
剥きつ捨てつ蝦蛄の鎧をばりばりと 石川桃瑪
餓鬼のごと蝦蛄食ひ散らす旨さかな 川辺酸模
甘酒や母はため息ふうとつき 臼杵政治
甘酒の缶の残りを子が覗く 宮本みさ子
奥の奥まで仄暗き甘酒屋 谷村和華子
父の日や蝦蛄の握りを締めとする 長谷川冬虹
たつぷりの生姜をきかせ一夜酒 谷村和華子
第一句座
・矢野京子選
【特選】
惜命の夏の真白きマスクかな 長谷川櫂
夕焼けの病室ナット・キング・コール 瑞木綾乃
父母の墓のほとりにゐて涼し 高橋真樹子
ひともとの竹でありしが竹婦人 菅谷和子
ガジュマルを灯す蛍よ沖縄忌 大場梅子
【入選】
故郷を思へばからす瓜の花 林弘美
誰よりも紫陽花が好きシーボルト 大平佳余子
人は皆愛されてをり燕の巣 駒木幹正
鳰どりや過ぐれば閉づる菱のみち 米山瑠衣
戦争が咽につかへし麦の飯 城山邦紀
鳥黐搗く兄が来てをる夢の中 ももたなおよ
消灯の窓辺あかるき水中花 菅谷和子
紫陽花の海となりたる鎌倉よ 神戸秀子
赤ん坊くるみしごとく袋掛 斉藤真知子
曾良いまも夏野をいそぐ笠一つ 長谷川櫂
雲の峰限りなく命限りあり 伊藤靖子
アルプスの大きな水を抱く代田 金田伸一
・長谷川櫂選
【特選】
鳰どりや過ぐれば閉づる菱のみち 米山瑠衣
戦争が咽につかへし麦の飯 城山邦紀
鳥黐搗く兄が来てをる夢の中 ももたなおよ
ひともとの竹でありしが竹婦人 菅谷和子
百歳の夢に螢のふぶきけり 石塚純子
よく見ればわれこそお岩立版古 大場梅子
父編みし籠にことしの蛍かな 矢田民也
【入選】
この辺りめだかをりしが梅雨出水 米山瑠衣
早起きの小鳥らの声夏の森 伊藤靖子
しづかなる水に眠りて未草 斉藤真知子
トラックの音や夜明けの花むくげ 夏井通江
紫陽花の海となりたる鎌倉よ 神戸秀子
黴といふミクロ世界の静寂かな 駒木幹正
八重山や杏子の詠みし白上布 大平佳余子
尺蠖を真似て廊下でストレッチ ももたなおよ
第二句座(席題:汗、竹婦人)
・矢野京子選
【特選】
海みえてたちまち汗のひく峠 神戸秀子
人間の細部省略竹婦人 長谷川櫂
汗かかぬ機械に汗し町工場 矢田民也
【入選】
未だ捨てられぬぼろぼろの竹婦人 斉藤真知子
読経してたうとき汗を流されし 菅谷和子
初めからくびれなかりし竹婦人 斉藤真知子
汗の香の君をやさしく抱きにけり 安藤文
子の汗はをとこの匂ひとなりにけり ストーン睦美
・長谷川櫂選
【特選】
共に見るいくたびの夢竹婦人 矢野京子
フィールドの華となりたる汗みづく 高橋真樹子
つつがなき齢重ねて竹婦人 矢野京子
初めからくびれなかりし竹婦人 斉藤真知子
竹夫人形見にもらつていいものか 岡村美沙子
【入選】
竹婦人今宵は風もかぐはしく 菅谷和子
編みたての青竹にほふ竹婦人 菅谷和子
鳩尾を流れて汗の行きどころ 原京子
去年より強き吾の身や汗つたふ 瑞木綾乃
幾夜経て抱籠肌になじみけん 大場梅子
けふの汗けふの給料風呂浴びる 安藤文
新しきよりは古きが竹婦人 矢田民也
わが嘆き聞いて幾年竹夫人 石塚純子
竹夫人座敷にひとつ放られて 夏井通江