古志祇園祭句会(2023年7月17日)
日 時:令和五年七月十七日(月・祝)
句会場:こどもみらい館第一研修室B 参加者十九名
恒例の祇園会句会、昨年に引き続き、長谷川櫂前主宰の出席の下、京都市で開催しました。気温が三七度を超える猛暑日でしたが、楽しい充実した句会となりました。
句会は、第一句座十句出句五句選、第二句座五句出句五句選で行いました。
前主宰と私の選は次のとおりです(☆特々々選、◎特々選、○特選)。なお、前主宰の直しのある句は直した後の句を掲載しています。
第一句座
長谷川櫂選
☆妻愛すこともたいへん保昌山 藤 英樹
◎また妻と芦刈山を見てゐたり 三玉 一郎
◎もどり鉾からくれなゐの尾を引いて 玉置 陽子
◎滅びゆく世界しづかに鉾の鉦 木下 洋子
○鯉山や鯉を誇りの男ぶり 石川 桃瑪
○鉾の稚児花より白く化粧して 上田 悦子
○ずたずたの世に鉾立てん山立てん 安藤 久美
○陽炎となりてはるかに一の鉾 田村 史生
○生稚児の舞ふや錦の風の中 上田 忠雄
○鯉山の鯉となりたき暑さかな 上田 忠雄
白玉や長刀鉾がすぐそこを 木下 洋子
乾坤の軋みて一の鉾回る 田村 史生
祇園会や大き日除けの乳母車 宮本みさ子
祇園会やおそろしいほど京は晴れ 三玉 一郎
枯れ枯れて風より軽し鉾粽 稲垣 雄二
祇園会や迷子めいたる田舎者 宮本みさ子
長刀鉾雲のひとつも寄せつけず 田村 史生
今年またひとりを悼みこんちきちん 飛岡 光枝
祇園会や真白き句帳おろさんと 谷村和華子
宵山や歩き歩きて涼みけり 越智 淳子
はばたいて暑さを払ふ蟷螂山 上田 忠雄
氷室茉胡選
○乾坤の軋みて一の鉾回る 田村 史生
○俳諧も放下大事や放下鉾 藤 英樹
○また妻と芦刈山を見てゐたり 三玉 一郎
○蟷螂山首を傾げしこの世かな 田村 史生
はばたいて暑さを払ふ蟷螂山 上田 忠雄
滅びゆく世界しづかに鉾の鉦 木下 洋子
どの路地も祇園囃子へ続きたり 田村 史生
船鉾の去つて残るはただ暑さ 稲垣 雄二
曇天を穿つがごとく鉾建てる 河口 佳澄
氷室より風来て祭はじまりぬ 飛岡 光枝
枯れ枯れて風より軽し鉾粽 稲垣 雄二
生稚児の眼に大いなる雲の峰 木下 洋子
待ちわびし人波分けて大船鉾 安藤 久美
鉾粽留守守る夫にまづ買うて 谷村和華子
鉾廻すこの星廻す心意気 稲垣 雄二
宵山やうす約束の君なりし 谷村和華子
今年またひとりを悼みこんちきちん 飛岡 光枝
第二句座
長谷川櫂選
長刀鉾夕立やみたるしづくかな 安藤 久美
鉾おりる生稚児を待つ夏休み 上田 悦子
むくむくと船鉾を追ふ峰の雲 田村 史生
灼熱の世へ生稚児の降りて来る 田村 史生
長刀鉾青青と空を揺らしけり 谷村和華子
氷室茉胡選
○鴨川を吹く風音も後祭 藤 英樹
○鉾出して赤子の遊ぶ会所かな 葛西美津子
宵山の笛を枕に眠りけり 三玉 一郎
鉾きしみ大いなる夏動き出す 飛岡 光枝
戻る山待ちて涼しき会所かな 田村 史生
大真面目祇園囃子にあのやんちや 河口 佳澄
天上の人へ長刀鉾が立つ 三玉 一郎
祭鱧鉾曳く力賜りぬ 飛岡 光枝
蟷螂山稚の眼の澄み切つて 越智 淳子
前主宰の句
だいだら坊立ちはだかるや長刀鉾
長刀鉾胴ぶるひして動き出づ
梅一枝愛しき人へ保昌山
一生を長刀鉾の浴衣かな
夕顔の花ほぐれてや祭髪
由良川の鮎も都へ鉾囃子
青田風祇園囃子のわたりゆく
月鉾や月の宿りて花やかな
菊水鉾孔雀を瀧と垂らしけり
命なき稚児人形の涼しさよ
鉾立つや天地まぐはふ真柱
長刀鉾鬼の力を鉾車
田草とる手にも響くや鉾囃子
打ち打ちていつせいに止む鉾の鉦
人々の嘆きの海へ長刀鉾
(文責 氷室茉胡)