古志仙台ズーム句会(2023年6月18日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
青空へ橡の花鉾たちそろふ 長谷川櫂
人間をやめて涼しくゐたりけり 三玉一郎
父の日やその生い立ちは言はぬまま 臼杵政治
青空を一掬ひせし捕虫網 平尾 福
大切にされてさみしき金魚かな 三玉一郎
【入選】
赤ん坊の手足よろこぶ浮いて来い 佐藤和子
我が庭の覇権ねらふか大蚯蚓 石川桃瑪
取つて置きの父の日の酒江戸切子 佐藤和子
泡盛の甕に熟れゆく緑夜かな 川辺酸模
摘み来たる実の芬々と梅仕事 石川桃瑪
子の話尽きて閑かや夕端居 川辺酸模
梅雨の蝶翅をこれほど痛めゐて 宮本みさ子
あごひもをきりりと少女麦藁帽 上 俊一
ゐなければ涼しき父の言葉かな 三玉一郎
花掲げ泰山木は月の中 齋藤嘉子
・長谷川櫂選
【特選】
泰山木咲く花びらをきしませて 齋藤嘉子
飛天舞ふごとく花咲き泰山木 齋藤嘉子
天上は泰山木の花盛り 平尾 福
【入選】
老いらくの歌ごゑ軽ろし蟇 上村幸三
十薬や裏庭の母我を呼ぶ 及川由美子
赤ん坊の手足よろこぶ浮いて来い 佐藤和子
夏炉うれし霧流れ入る山の小屋 服部尚子
夏に入り森の香りの化粧水 甲田雅子
父の日や見へざる父に酒を注ぐ 上村幸三
指す駒の音の涼しや棋聖戦 武藤主明
降り立てば風の旅人サングラス 川辺酸模
摘み来たる実の芬々と梅仕事 石川桃瑪
花掲げ泰山木は月の中 齋藤嘉子
われ継ぎし父の瓢よ天の川 上村幸三
花茣蓙や按摩を待ちて母の座す 服部尚子
潮焼けの頬赤黒く麦藁帽 上 俊一
第二句座(席題:甘酒、蝦蛄、夏椿)
・長谷川冬虹選
【特選】
餓鬼のごと蝦蛄食ひ散らす旨さかな 川辺酸模
茹でながら商ふ小屋よ蝦蛄漁師 齋藤嘉子
甘酒や笑ひ上戸の妻であり 平尾 福
奉納句詠みて直会一夜酒 佐藤和子
【入選】
甘酒の旗ひるがへる六合目 及川由美子
剥きつ捨てつ蝦蛄の鎧をばりばりと 石川桃瑪
甘酒やまだ喉おくに残りをり 甲田雅子
沙羅咲かせ隣家の嫗達者なり 佐藤和子
小走りで駆け込む女夏椿 上 俊一
たつぷりの生姜をきかせ一夜酒 谷村和華子
尾の扇開きて蝦蛄の自己主張 石川桃瑪
蝦蛄食らひ無造作に口拭ひけり 上村幸三
・長谷川櫂選
【特選】
蝦蛄として生まれて人に食はれけり 平尾 福
蝦蛄食うてなまぐさき夜を雑居寝かな 齋藤嘉子
茹でながら商ふ小屋よ蝦蛄漁師 齋藤嘉子
母の棺出すに沙羅の花降らす 甲田雅子
咲くも白散るも真白し沙羅の花 甲田雅子
【入選】
甘酒の旗ひるがへる六合目 及川由美子
剥きつ捨てつ蝦蛄の鎧をばりばりと 石川桃瑪
餓鬼のごと蝦蛄食ひ散らす旨さかな 川辺酸模
甘酒や母はため息ふうとつき 臼杵政治
甘酒の缶の残りを子が覗く 宮本みさ子
奥の奥まで仄暗き甘酒屋 谷村和華子
父の日や蝦蛄の握りを締めとする 長谷川冬虹
たつぷりの生姜をきかせ一夜酒 谷村和華子