ネット投句(2023年6月30日)選句と選評
①心に響く俳句を詠む。
・言いたいことを詠む。
・わかるように詠む。
・理屈に陥らないように詠む。
②俳句は発想にはじまり推敲に終わる。
・発想のダメな句はさっさと捨てる。
・発想にみどころのある句は何度も推敲する。
【特選】 | ||
雲の峰大きしじまに海うごく | 神奈川 | 三浦イシ子 |
田一枚植ゑて田植機上がりゆく | 長野 | 金田伸一 |
ぐんぐんと明日頼もしき藜かな | 奈良 | きだりえこ |
大いなる空白であれ夏休み | 和歌山 | 玉置陽子 |
きみ去りしこの世にひとり冷酒酌む | 長崎 | 川辺酸模 |
暑き日を蝦蛄のにぎりで締めにけり | 長崎 | 川辺酸模 |
【入選】 | ||
今日一ト日を辣韮漬けに仕へをり | 北海道 | 村田鈴音 |
愉しみは再読にあり緑さす | 北海道 | 柳一斉 |
大吟醸蝦蛄の握りを締めとする | 宮城 | 長谷川冬虹 |
もう誰も使わぬ団扇重ねけり | 茨城 | 袖山富美江 |
金網にからむ草ぐさ夏来たる | 茨城 | 袖山富美江 |
底知れぬ蔓の長さよ蓴採る | 埼玉 | 園田靖彦 |
風鈴の舌とり換えて愛でる夏 | 埼玉 | 園田靖彦 |
一瞬に対岸消へる夕立かな | 埼玉 | 上田雅子 |
面影の君が手をふる夏野かな | 千葉 | 若土裕子 |
万緑や甍耀ふ加賀の町 | 千葉 | 若土裕子 |
口開けて命眩しきつばめの子 | 千葉 | 池田祥子 |
裏庭に捩花咲かせ老いにけり | 千葉 | 池田祥子 |
独り身の余生いくばく竹婦人 | 千葉 | 麻生十三 |
手濯ぎの肌着干したり雲の峰 | 千葉 | 麻生十三 |
夏めくやリフト乗り場の長き列 | 東京 | 小野早苗 |
切れすぎる刃は折れし河童の忌 | 東京 | 神谷宣行 |
母は待つ娘の句集柿若葉 | 東京 | 長尾貴代 |
炎昼やラジオの音はいづこより | 神奈川 | 越智淳子 |
炎天を輓馬必死の大砂塵 | 神奈川 | 遠藤初惠 |
夏の日や身体はげまし家事の中 | 神奈川 | 三浦イシ子 |
そしてまた制服を着る跣足かな | 神奈川 | 三玉一郎 |
真上より泰山木の花のこゑ | 神奈川 | 中丸佳音 |
夏風邪に微々たる意欲削がれけり | 神奈川 | 島敏 |
さくらんぼ残るさびしさクリームソーダ | 新潟 | 安藤文 |
滴りの白きひげ根を伝ひけり | 富山 | 酒井きよみ |
滴りやいつしかこころ整ひぬ | 石川 | 松川まさみ |
夏休み彼の日の空の広さかな | 石川 | 清水薫 |
早乙女を傘を田唄を昼の夢 | 長野 | 金田伸一 |
唄として聞かばや田植機の唸り | 長野 | 金田伸一 |
気がつけば戦争へゆく蟻の列 | 愛知 | 稲垣雄二 |
甘酒や一息つくも伊勢参り | 愛知 | 臼杵政治 |
一口の甘酒妻の耳染めて | 愛知 | 臼杵政治 |
甘酒に心も軽し膝栗毛 | 愛知 | 臼杵政治 |
ふたたびは灯らぬ草の螢かな | 大阪 | 安藤久美 |
梅雨寒やいつも寝床を占める犬 | 大阪 | 山中紅萼 |
山小屋の布団干しけり夏の空 | 大阪 | 木下洋子 |
雪渓で作りし氷小豆かな | 大阪 | 木下洋子 |
したたりやうまく言葉が出てこない | 大阪 | 澤田美那子 |
田一枚植えて静けさ生まれけり | 兵庫 | 吉安とも子 |
故郷の水の匂へる植田かな | 兵庫 | 吉安とも子 |
箸置きに二つ拾へり柿の花 | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
夫の忌や愚痴もぼつぼつさくらんぼ | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
田の神が自転車で来る青田風 | 奈良 | きだりえこ |
恨むほどの思ひ入れなし竹婦人 | 和歌山 | 玉置陽子 |
諾へば宿痾も我が身月涼し | 岡山 | 北村和枝 |
ごぼと雨こぼし泰山木の花 | 岡山 | 齋藤嘉子 |
六月やひめゆり乙女安らかに | 広島 | 鈴木榮子 |
沙羅落花大地の白く埋まるまで | 広島 | 鈴木榮子 |
棘太くバッキンガムを守る薔薇 | 大分 | 山本桃潤 |
細胞に意志あるごとし夏至の暁 | 大分 | 竹中南行 |