ネット投句(2023年1月31日)選句と選評
【特選】
ずり落ちてこらへをるなり屋根の雪 北海道 柳一斉
無一物なれど寿ぐ雑煮かな 千葉 麻生十三
雪晴間一斉に出て雪を掻く 新潟 高橋慧
生と死を静かに分かつ白障子 愛知 稲垣雄二
【入選】
寒波来る靴底に鋲打ちにけり 北海道 村田鈴音
さんざめく脳裏かダイヤモンドダスト 北海道 芳賀匙子
初詣八方塞がりまた愉し 岩手 川村杳平
冬晴れや流るる雲がビルに映え 茨城 袖山富美江
手作りの時雨煮さげて寒見舞 千葉 麻生十三
庭の木やある日一気に日脚伸ぶ 東京 神谷宣行
寒波来る色とりどりのニット帽 東京 神谷宣行
薄氷や友と歩みし通学路 東京 楠原正光
白き富士すぐそばにあり三島駅 神奈川 伊藤靖子
豆撒きや冷たき廊下小走りに 神奈川 越智淳子
行き場なき怒り悴む拳かな 神奈川 三玉一郎
自転車の幌に眠る子冬満月 神奈川 植木彩由
思ひ出せ思ひ起こせと笹鳴ける 神奈川 中丸
探梅に亡き人さそふ朝かな 神奈川 中丸
お祝いへ一番好きなマスクして 神奈川 那珂侑子
雪国の月を焦がしてどんど焼き 神奈川 片山ひろし
難読書読んでは伏せて冬籠り 新潟 安藤文
炉焚けど焚けど寒気がそのあたり 長野 金田伸一
極寒の幹裂く音や神の森 長野 大島一馬
初場所や山と山とがぶつかりぬ 岐阜 夏井通江
桜榾さくらのいのちあかあかと 大阪 安藤久美
福笹は小ぶりがよろし鯛揺らし 大阪 木下洋子
1.17は戦争だつた阪神忌 兵庫 加藤百合子
ゆっくりと寒九の水を飲み砕く 兵庫 吉安とも子
大寒に加へて訃報ありにけり 兵庫 天野ミチ
足蹴りの素足小さき寒稽古 兵庫 藤岡美恵子
鬼に撒く豆も値上がり節分会 奈良 きだりえこ
冬桜手を振らずともよき別れ 奈良 柏木博
粕汁や婆がほんのり赤くなり 奈良 柏木博
魚は氷にずきんと痛む親不知 和歌山 玉置陽子
馥郁と紙かをりをり初暦 岡山 齋藤嘉子
雪解けて現るる地蔵笑みしまま 広島 鈴木榮子