ネット投句、年間賞(冬)は夏井通江さん
【大賞】
綿虫の無より涌き出てさまよへり 岐阜 夏井通江
【次点】
朽ち果てて月光になる鯨かな 神奈川 三玉一郎
裸木の村に帰りぬブリューゲル 石川 花井淳
あちこちに寄り道したる炬燵かな 大分 竹中南行
帰省子のこころの丈も伸びてをり 東京 畠山奈於
スケーター白き孤独のただ中へ 大阪 澤田美那子
【候補】
耳たしかペンまたたしか夜の長き 長野 金田伸一
宇宙から帰る人あり十三夜 東京 森徳典
かはいがるやうに無花果むきはじむ 石川 松川まさみ
われさきと迎えにくるよ雪螢 北海道 高橋真樹子
木枯や聞こえぬ耳を欹てて 福島 渡辺遊太
あかあをき卓の林檎よ今朝の冬 神奈川 越智淳子
大いなる佐渡の晴れ間の日向ぼこ 新潟 安藤文
烏瓜一つは命一つは死 愛知 稲垣雄二
焼芋や百歳にして母恋し 奈良 喜田りえこ
はづかしゆうない無花果吸え往還 長野 柚木紀子
すみれいろの夕暮包むマントかな 和歌山 玉置陽子
あわてても齢七十寝正月 長崎 川辺酸模
旅人のこころで拾ふ落葉かな 北海道 芳賀匙子
あこがれのものぐさ太郎大旦 東京 神谷宣行
吊られたる外套同士ひそひそと 愛知 青沼尾燈子
雪女郎今夜あたりと言ふ今夜 京都 佐々木まき
音かろく胸にひびかせ初箒 大阪 安藤久美
寝室の奥まで白む雪の朝 広島 鈴木榮子