ネット投句(2021年12月15日)選句と選評
【特選】 | ||
旅人のこころで拾ふ落葉かな | 北海道 | 芳賀匙子 |
鉈彫のやうな山なみ大根干す | 神奈川 | 金澤道子 |
もどれないところまで来し日向ぼこ | 神奈川 | 三玉一郎 |
・もどれず、で十分。どこにいて、どこにもどれないか、不明。 | ||
日向ぼこ眼つぶれば地球回る | 神奈川 | 松井恭子 |
冬薔薇の蕾の如き覚悟あり | 愛知 | 稲垣雄二 |
柚子大樹とげの長さもただならぬ | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
・ね、ず。ぬ、すわりわるし。 | ||
かの昔富国強兵寒卵 | 奈良 | 喜田りえこ |
ささやきの小径へ誘ふ雪蛍 | 和歌山 | 玉置陽子 |
あちこちに寄り道したる炬燵かな | 大分 | 竹中南行 |
【入選】 | ||
寂聴を読み散らかして冬籠り | 北海道 | 村田鈴音 |
・寂聴への姿勢、不明確。 | ||
初稽古小手取られたる口惜しさよ | 宮城 | 長谷川冬虹 |
初稽古口惜し涙で汁粉吸ふ | 宮城 | 長谷川冬虹 |
初稽古父子に戻る帰り道 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
・いずれも場面の描写は十分。ここからどうするか。 | ||
海吼えて鰰逸る日なりけり | 秋田 | 佐藤一郎 |
草枯れや読めぬ句碑立つ村はづれ | 秋田 | 佐藤一郎 |
櫟炭音なく崩るる霜夜かな | 福島 | 渡辺遊太 |
笑顔にてマフラー渡す別れなり | 埼玉 | 藤倉桂 |
新巻のあぎとに荒縄痛からん | 千葉 | 若土裕子 |
・に、を残したこと 猛反省すべし。俳句を誤解しているか。 | ||
手焙に祖母のおもかげ餅ふくる | 千葉 | 若土裕子 |
故郷の干し海老届く年用意 | 千葉 | 池田祥子 |
山茶花の散るより早く掃きにけり | 千葉 | 麻生十三 |
・掃かれけり | ||
太陽の末つ子である茶の花よ | 東京 | 長井亜紀 |
さざんかの震えて居りぬ雨の朝 | 神奈川 | 伊藤靖子 |
初雪や肩に落ちては水玉に | 神奈川 | 越智淳子 |
まずは喜寿までと三年日記買う | 神奈川 | 遠藤初惠 |
大鴉ばさと羽搏き寒波来る | 神奈川 | 金澤道子 |
土牢にやうやく届く冬日かな | 神奈川 | 金澤道子 |
もう声のとどかぬ日向ぼつこかな | 神奈川 | 三玉一郎 |
うしろから付いて来るのか寒烏 | 神奈川 | 水篠けいこ |
・か、ダメ。 | ||
一日の終はりは坐禅ふゆの月 | 神奈川 | 那珂侑子 |
・立派ですが、つまらない。 | ||
オンライン越しの恥づかしさ忘年会 | 新潟 | 安藤文 |
かすむ目に遠白馬の雪真白 | 長野 | 金田伸一 |
雪間門去ねやらず巨かもしか | 長野 | 柚木紀子 |
幻の花一面に枯蓮 | 岐阜 | 夏井通江 |
・逆。枯はちす、とはじめる。今の形は枯蓮の説明。 | ||
掌に綿虫の影ありにけり | 愛知 | 稲垣雄二 |
東京は大き狐火煌々と | 愛知 | 稲垣雄二 |
己が悩み小さし冬の大三角 | 愛知 | 宗石みずえ |
年の市防犯カメラそこかしこ | 京都 | 吉田千恵子 |
禁煙を破る一本枯葉散る | 京都 | 氷室茉胡 |
・しょっちゅう破っているような句。 | ||
褞袍とは知らず褞袍を着てをりぬ | 大阪 | 高角みつこ |
工場の蒸気の濃さや冬の朝 | 大阪 | 内山薫 |
はたこれも自動音声年の暮 | 大阪 | 内山薫 |
わざをぎの力を見たり花の春 | 大阪 | 木下洋子 |
・ご挨拶俳句。俳句はお礼代わりではない。 | ||
風呂吹やとろりとかかる味噌もまた | 大阪 | 澤田美那子 |
・また、とは? | ||
夫にひとつ息子にふたつ寒卵 | 大阪 | 澤田美那子 |
燃えつきるときの華やぎ冬紅葉 | 兵庫 | 加藤百合子 |
・ときはなやかに? | ||
ひさびさの会合に急く小春かな | 兵庫 | 加藤百合子 |
冬の日やほのと仏のたなごころ | 兵庫 | 加藤百合子 |
・ほのと、不要。 | ||
除夜の鐘みづの真闇が揺れてゐる | 兵庫 | 魚返みりん |
大根や喰ふは上手に煮るは下手 | 兵庫 | 天野ミチ |
・に、不要。安易に入れない。 | ||
初採りは丸ごとかじる小蕪かな | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
鐘の音の唸るがごとく去年今年 | 兵庫 | 福田光博 |
・音、不要。 | ||
冬の波見え隠れする漁り船 | 兵庫 | 髙見正樹 |
大根焚きまづ一椀を大黒へ | 奈良 | 喜田りえこ |
ずたずたの父の青春開戦日 | 長崎 | 酸模 |
君をまつ温かき石大枯野 | 大分 | 山本桃潤 |
東京駅吐き出す人間冬ざるる | 大分 | 山本桃潤 |
凩や反旗のかかる凱旋門 | フランス | 廣瀬玲子 |