ネット投句(2021年4月30日)選句と選評
・誤りや推敲の余地があっても、とるかとらないかだけ判断します。
・かな遣いも直しませんので、ご自分でお考えください。
【特選】
日常の面倒横に朝寝かな 12_千葉 谷口正人
惜春や終のドライブ老妻と 13_東京 森徳典
カツ丼食ふ春の憂ひをはらふべく 13_東京 神谷宣行
眩しさの麦烏賊の箱競り落とす 13_東京 西川遊歩
石まるくまるく研くや春のみづ 13_東京 長井亜紀
たけのこや自粛生活もとうに慣れ 15_新潟 安藤文
クロッキーに己が左手春深し 17_石川 花井淳
よそゆきの顔となりたる春日傘 17_石川 岩本展乎
聖書いづくに水ぬるむ最晩年 20_長野 柚木紀子
一口に食べられさうな雨蛙 26_京都 佐々木まき
燕より気持ちよき鳥ほか知らず 27_大阪 高角みつこ
世の中は不思議いつぱいさくらんぼ 29_奈良 喜田りえこ
責任を取らづ逝きけり昭和の日 29_奈良 喜田りえこ
村ぢゅうの戸があいてゐる茶摘どき 37_香川 曾根崇
【入選】
亡き人の戻らすここち花ふふむ 01_北海道 芳賀匙子
間借りせし私鉄の小駅昭和の日 04_宮城 長谷川冬虹
休らうて手拭ひ使ふ花へんろ 04_宮城 長谷川冬虹
整列しワクチンを待つ昭和の日 05_秋田 佐藤一郎
花散りぬ花なることを知りもせず 07_福島 渡辺遊太
苗代に這ひつくばるや老い二人 11_埼玉 園田靖彦
しらんまにとしとうてもた山笑ふ 11_埼玉 松本邦吉
てふてふや抱きあふことも忘れたる 11_埼玉 松本邦吉
陸奥の余花に泳ぐや鯉のぼり 12_千葉 若土裕子
住み慣れし家離るるや竹の秋 12_千葉 谷口正人
葉先より手に来て軽し天道虫 12_千葉 池田祥子
柏餅あつといふまにおじいちやん 13_東京 神谷宣行
スニーカー春光のなかいざゆかん 13_東京 長井亜紀
子供の日円弧雲梯すいすいと 13_東京 楠原正光
会釈して譲りあふ道青き踏む 13_東京 畠山奈於
ワクチンのクーポン到来端午かな 13_東京 櫻井滋
天婦羅かそれとも寿司か柿若葉 14_神奈川 遠藤初惠
ご神体は牡蠣の貝殻春惜しむ 14_神奈川 金澤道子
気の重き用事がひとつ花は葉に 14_神奈川 金澤道子
雀の子土塊だけを信じけり 14_神奈川 三玉一郎
波を待つ脛うつくしき素足かな 14_神奈川 三玉一郎
風邪に寝て一日春を満喫す 14_神奈川 三玉一郎
蛇踏むや一瞬なんと永きこと 14_神奈川 松井恭子
御持たせの筍飯のランチかな 14_神奈川 水篠けいこ
新聞の切り抜き溜まる日永かな 14_神奈川 水篠けいこ
雀の子フェンスの向こうはアメリカぞ 14_神奈川 水篠けいこ
水平線の丸みほどなる春愁ひ 14_神奈川 中丸佳音
老女たちたんぽぽの絮吹ききそひ 14_神奈川 中丸佳音
大鷺の胸の白さに夏来たる 14_神奈川 中丸佳音
入園児背丈に合わぬユニフォーム 14_神奈川 土屋春樹
たとえへなき悪相なれど恋の蝦蟇 14_神奈川 湯浅菊子
孫が来るその日のための花イチゴ 14_神奈川 那珂侑子
ぼうたんの最期は雨に打たれ散る 14_神奈川 那珂侑子
松蝉の鳴いて止む間の長かりき 14_神奈川 片山ひろし
?の芽や手折りてポキと空揺るる 15_新潟 高橋慧
乳を吸ふ赤子落とすな目借り時 16_富山 酒井きよみ
亀鳴くや砂金洗ひし澤あると 17_石川 花井淳
雪形の猿微笑む加賀平野 17_石川 花井淳
葉桜や金箔浮かぶ昼の酒 17_石川 岩本展乎
朧夜や言うてしまへば味気なく 17_石川 松川まさみ
ふと高く飛び去る蝶の行き処 20_長野 金田伸一
山里はほんによかとこ浅蜊汁 20_長野 金田伸一
行く春清書し誤嚥しなくなる 20_長野 柚木紀子
春の朝木の匙軽く野菜スープ 21_岐阜 三好政子
青饅や帰農の夫の畑暦 21_岐阜 三好政子
絡み付く枝のおどろや山の藤 21_岐阜 三好政子
桜しべ人恋ひしくて吹き溜まる 21_岐阜 梅田恵美子
父母は亡し子は巣立ちけり柿若葉 23_愛知 宗石みずえ
土筆摘む小さき膝は泥まみれ 26_京都 吉田千恵子
沖縄は今だ沖縄昭和の日 26_京都 佐々木まき
雨がよぶ雨か雨蛙よぶ雨か 26_京都 佐々木まき
春泥の先に潤一郎の墓 26_京都 氷室茉胡
沈黙の長き鉾蔵春惜しむ 26_京都 氷室茉胡
姉らしく何か言はねば桜餅 27_大阪 安藤久美
ゆく春や小さきカメラを手の中に 27_大阪 高角みつこ
春風や一日千歩目標に 27_大阪 内山薫
遍路寺案内の犬についてゆく 27_大阪 木下洋子
マンゴーの香る紅茶や夏きたる 27_大阪 木下洋子
語るごと王妃遺愛の香水瓶 27_大阪 木下洋子
黄金週間樟も欅も芳しく 27_大阪 澤田美那子
九条で育ちて憲法記念の日 27_大阪 澤田美那子
筍とくれば木の芽を忘るるな 27_大阪 澤田美那子
父の夢母の夢みる朝寝かな 27_大阪 齊藤遼風
フェンス越ゑ風船ふたつ自由なり 28_兵庫 魚返みりん
春日傘傾げるだけの遠会釈 28_兵庫 千堂富子
庭に出て体操すればチューリップ 28_兵庫 天野ミチ
力作の器出番や野蕗炊く 28_兵庫 藤岡美惠子
ひと想ふゆへに我あり春の雨 28_兵庫 福田光博
共に居て余生それぞれ夏めきぬ 28_兵庫 髙見正樹
頑張るなナンジヤモンジヤに囁かれ 29_奈良 喜田りえこ
うすべにの絵馬の乳型春深む 30_和歌山 玉置陽子
家苞の新玉葱の匂ふバス 30_和歌山 玉置陽子
山桜地霊となりし仏たち 33_岡山 齋藤嘉子
朴の花開きかけたと山の声 37_香川 丸亀葉七子
わが郷に百歳二人柏餅 37_香川 曾根崇
ラジオドラマ出てくるテレビ昭和の日 42_長崎 ももたなおよ
メーデーやワクチンを待つ人の列 42_長崎 ももたなおよ
蝶一羽乗せて離任の船出かな 42_長崎 川辺酸模
掘り立ての筍抱き友来る 42_長崎 川辺酸模
五十年夫婦はともにお風入 44_大分 山本桃潤
婆ちやんのやうな担任入学式 44_大分 山本桃潤
虎杖や自制に揺らぐ民主主義 44_大分 竹中南行
惜しみをり惜しむともなきこの春を 44_大分 竹中南行
春蝉や聞けば山河の懐かしき 46_鹿児島 大西朝子
友の忌のその日を耐へる養花天 46_鹿児島 大西朝子
摘み草の宿へ光や花木五倍子 50_外国 廣瀬玲子