ネット投句(2020年1月31日)選句と選評
・いままでにどんな句が詠まれているか、知ることが大事。
・どんなことをどう詠めばいいか、わかる。
・そのためにも名句の暗唱を。
【特選】
大寒やSL列車湯気あげて 03_岩手 川村杳平
雛祀る家に大きな入り日かな 13_東京 岡 恵
・家の
東京は硝子の迷路春の雪 13_東京 長井亜紀
腹時計割と正確寝正月 26_京都 氷室茉胡
息白く花のごとしや福娘 27_大阪 安藤久美
鬼といふなつかしきものやらふかな 27_大阪 澤田美那子
一句おぼえ二句をわするる霜柱 27_大阪 澤田美那子
ちどり鳴く心の瓦礫いまだなほ 28_兵庫 加藤百合子
初場所や発止と組んで花の色 33_岡山 齋藤嘉子
・花と花
冬虹や海にのびゆく滑走路 42_長崎 百田直代
・海へ
祖父母より前は知らねど龍の玉 44_大分 竹中南行
【入選】
雪浴びの跡美しきからすかな 01_北海道 芳賀匙子
・美しき、不要。
あの島は鬼の棲む島根深汁 05_秋田 佐藤一郎
・人ごとになっているところ、惜しい。
初春や波と遊びて紙を漉く 07_福島 渡辺遊太
命ひそむかそけさにこそ寒卵 07_福島 渡辺遊太
・に、不要。この一字で句が混乱する。
我れ先に尾根駈け上がる野焼かな 11_埼玉 園田靖彦
寒馬引く鉄ぞりの音響きけり 11_埼玉 佐々木みほ
風花やわたしが妣と呼ばれる日 11_埼玉 佐々木みほ
竹馬や出逢ふ前まで好きな人 11_埼玉 牧内麻衣
・竹馬でないほうがいい。
月を待つ花の蕾や西行忌 12_千葉 若土裕子
始まりはこの紅梅のこの枝先 12_千葉 水町ゆの
・紅梅や、紅梅の、からはじめる。紅梅のはじまりはこの枝の先?
人生はどんでん返し雪合戦 13_東京 西川遊歩
銀座の空冬の三日月見つけたり 13_東京 稲垣京子
冬の三日月、からはじめる。銀座の空に見つけたり
侘助やかぢかみながら開きけり 14_神奈川 越智淳子
戻りたり手に一枝の山椿 14_神奈川 遠藤初惠
御破算で願ひましようと鷽替へる 14_神奈川 金澤道子
・せう
放射線治療ひとまづ春隣り 14_神奈川 水篠けいこ
早咲の熱海桜や昼の月 14_神奈川 湯浅菊子
「口あけてんなら目あけてよ」大寒介護 20_長野 柚木 紀子
生没年未詳とたのしヒヤシンス 20_長野 柚木 紀子
寒の水飲んで清らな体かな 21_岐阜 夏井通江
巌を越へざんぶと波の藪椿 23_愛知 野口優子
・波や、波が
水漬くまいと最後の力破蓮 26_京都 氷室茉胡
二回目の還暦やある薺粥 27_大阪 安藤久美
老鹿はいういうかんかんお山焼 27_大阪 古味瑳楓
つまづきもせぬに転んで手の冷た 27_大阪 内山薫
・の、不要。
午後四時の陽のまぶしさや冬終る 27_大阪 内山薫
節分の鬼も手洗ひうがいして 27_大阪 福田弘子
・せよ
赤鬼は一番人気やらはるる 27_大阪 澤田美那子
礼あまたかさねかさねて大御歌 28_兵庫 加藤百合子
寒中の春ゆたかなリ菓子司 28_兵庫 加藤百合子
かすていら春めくもののひとつかな 30_和歌山 玉置陽子
・常套。
餅談義亡きはらからの思い出に 37_香川 丸亀葉七子
早春のひかり啄ばむ雀どち 37_香川 曽根崇
きのふより海荒れてをり梅の花 37_香川 曽根崇
カツトグラスを曇らせて寒の水 38_愛媛 豊田喜久子
・寒の水からはじめる。
髪切つて出づる浮世の寒さかな 42_長崎 川辺酸模
寒卵飯とかき込む夜勤明け 42_長崎 川辺酸模