古志高松句会(2019年8月4日)
前日、イサムノグチ庭園美術館を見学。
・第1句座
【特選】
天空へ無限石階のぼる蟻 陽子
石の舟月夜に滑り出だすべし 育子
宇宙から石こぼれ来て涼しさよ 京子
石の滝月の光の流れけり 光枝
恐ろしき人に隣りてかき氷 広
おもかげのごとくに石立つ夏の雲 通江
石灼けて太陽の香を放ちけり 通江
【入選】
水打つや息ふきかへす石の声 嘉子
一杯の冷水うまし石の庭 有里子
新しき水尾のさみしき夕焼かな 久美
心いま瀬戸の小島の夕涼み 光枝
八月の真昼しづかや石の庭 真知子
あをあをと炎天をゆく舟一艘 沙羅
日傘など役にも立たぬ暑さかな 美那子
炎天を蟻のごとくに我ら行く 育子
鑿を打つ涼しき眼あるばかり 光枝
魂の一塊として夏の石 真知子
一生を遊びし石の涼しさよ 育子
石の巣に石の収まる涼しさよ 雄二
炎昼やふれてはならぬ石ばかり みつこ
魂の石のせて草茂るかな 育子
渦潮を電車で越ゆる涼しさよ 雄二
流れ星拾ひ造りし庭ならん 嘉子
涼しさや石工佇む石の家 真知子
炎天や石のなかなる死者生者 りえこ
雲の峰石に仕へて石と老ゆ 京子
天の川石の鏡に映りけり 洋子
ひとひらの太陽の花黒揚羽 陽子
金剛杖乳房を落つる玉の汗 雄二
灼け切つて石の瞑想砂の上 陽子
影もまたねぢれて立つや油照り 通江
新涼や静かに石を彫る男 洋子
水貝や大瀬戸に日の沈みゆく 京子
土壁より縄の垂れをる暑さかな 沙羅
秋風の形に石を切りにけり 美那子
昼寝する石もあるらし夏落葉 通江
・第2句座
【特選】
新涼や億年前も山の石 洋子
石の家家の中へも水を打つ 光枝
遥かなる日へ帰りゆく白帆かな 陽子
雲の峰割つて庵治石切り出さん 崇
雲の峰宇宙の庭にたちのぼる 紫春
夏の月幾万の石眠るころ 真知子
【入選】
炎熱や目を見開いて石が立つ みつこ
手の届くところを星の流れけり 久美