歌仙「更衣の巻」巻き上がりました
《連衆》柴田清栄、青沼尾燈子、三玉一郎、上田雅子、斎藤真知子、松井恭子、おほずひろし、川辺酸模、齋藤嘉子、飛岡光枝、長井亜紀、川村杳平、木下洋子、佐々木まき、岩井善子、北側松太、長谷川櫂(捌)
2018・07・02~08・27
【初折の表】
発句 制服を透けゐる屍更衣 照井翠(夏)
脇 津波のあとを蛍火の舞ふ 善子(夏)
第三 真昼間の沖をローマへ向かふ船 櫂(雑)
四 波を枕にもの思ふ秋 まき(秋)
五 ずたずたの列島の上月静か 雅子(秋・月)
六 けさ寒々と原子炉建屋 酸模(秋)
【初折の裏】
初句 国道をのろのろと牛五六頭 松太(雑)
二 ひび割れし田の土まひ上がる 雅子(雑)
三 雨乞の生贄となる誰が乙女 一郎(夏)
四 君とそろひのロザリオ胸に 嘉子(雑・恋)
五 ジャカルタの売春窟に生き別れ 櫂(雑・恋)
六 萎みて薫るジャスミンの花 真知子(夏)
七 真帆あげてナイルをのぼる舟一つ 酸模(雑)
八 キリマンジャロは白く輝く 清栄(雑)
九 草原の闇に潜める無数の目 櫂(雑)
十 頬被りして野に火を放つ ひろし(春)
十一 セシウムの灰に汚るる花筵 善子(春・花)
折端 雲丹たかだかと浮かび来る海女 一郎(春)
【名残の表】
初句 幾人もひとの死にゆくこの暑さ 雅子(夏)
二 わが家を守る対のシーサー 光枝(雑)
三 また一機基地を飛び立つ戦闘機 善子(雑)
四 平和死守せし知事の長逝 杳平(雑)
五 なつかしき村を見下ろす即身仏 一郎(雑)
六 「親不孝者!」と老母会見 櫂(雑)
七 どろどろの愛憎劇をワイドショー 櫂(雑)
八 浜辺に残る君の足跡 ひろし(雑・恋)
九 宇宙よりけさ地球へと還りきて 真知子(雑)
十 新米の香のなんとなつかし 善子(秋)
十一 望月を仰ぐ赤ん坊膝の上 嘉子(秋・月)
十二 くるくる回れ団栗の独楽 光枝(秋)
【名残の裏】
初句 決勝の秋田けつぱれ甲子園 杳平(雑)
二 越すに越されぬ白河の関 櫂(雑)
三 大樽に母が作りし魚ひしほ 善子(雑)
四 雪かきわけて蕗の薹摘む 善子(春)
五 地震のあと植ゑし一樹の花万朶 真知子(春・花)
挙句 潮干に遊ぶ声はまぼろし 酸模(春)
六句 善子 櫂
三句 一郎 雅子 酸模 真知子
二句 ひろし 嘉子 光枝 杳平
一句 照井翠(発句) まき 清栄 松太