KAI says: 2013年10月5日 at 12:17 AM
@ネット投句(2013年9月30日)選句と選評
【特選】
水の上の夕日に落ちて桐一葉 15_新潟 山本しほ
言葉の運びがうまい。
土塊のごとき土瓶や秋の風 27_大阪 角野京子
小鳥来よ気ままに伸びし庭木の枝 27_大阪 澤田美那子
梓川秋の真中を流れゆく 27_大阪 安藤久美
ちりちりと焼く椎茸やけふの酒 38_愛媛 岡崎陽市
「ちりちり」が松茸を惜しむ感じ。
【入選】
腸を破らぬやうに秋刀魚焼く 12_千葉 若土裕子
茸山ひと雨ごとに育つらん 12_千葉 若土裕子
朝顔や壁一面の紺の瀧 13_東京 徳武信子
病む友に見せたきゆりの樹黄葉かな 13_東京 篠原隆子
ねこいらずなる米櫃の今年米 14_神奈川 南川閏
米櫃が猫いらずというのだ。ちょっとわかりにくいか。
降らずとも合羽纏うて牛蒡引 15_新潟 北側松太
花の香に暮るる青空道元忌 15_新潟 岩井善子
二三本猫の土産のねこじやらし 15_新潟 岩井善子
「猫に」。
あたたかきうちに届けよ栗ごはん 15_新潟 山本しほ
寸の痕胸乳にしし座流星雨 20_長野 柚木紀子
われしらず落ちゆく鮎の真がほ哉 20_長野 柚木紀子
身を病めばものよく見ゆる露葎 23_愛知 長谷川浩子
こぼるるは花とも見えぬ草の花 26_京都 長井亜紀
「こぼれては」。
ここからは越の国なり曼珠沙華 26_京都 長井亜紀
「越のまほらや」
冬瓜の納屋にころがる良夜かな 26_京都 横山幸子
「冬瓜が」。「冬瓜の納屋」無理。
秋茄子や花も葉も実も茄子の色 26_京都 諏訪いほり
団栗をひとつ見つけし大工箱 27_大阪 木下洋子
秋晴は今日までといふ信濃かな 27_大阪 安藤久美
命日の母のぶんまで栗の飯 27_大阪 齊藤茂
傷物のりんご嬉しやアップルパイ 28_兵庫 藤岡美惠子
曼珠沙華この村燃えてしまはぬか 28_兵庫 藤岡美惠子
秋風の吹き抜けてゆく鏡かな 37_香川 曽根崇
眠れざる夜を訪ひくる鉦叩 37_香川 田岡弘
一羽たち一斉にたつ稲雀 38_愛媛 豊田喜久子
枝豆を茹でるに塩を選びけり 38_愛媛 豊田喜久子
ひと房は鳥に残せし葡萄かな 38_愛媛 才上宏子
「残しておく葡萄」。
ベランダに椅子二つある良夜かな 38_愛媛 三木桂子
二階から妻に呼ばれて月見かな 38_愛媛 三木紀幸
悪童も今は入れ歯のひよんの笛 38_愛媛 三木紀幸
「入れ歯か」。
菊の香や心ころころ丸くなれ 38_愛媛 三木紀幸
秋晴をぶらぶらときて道後の湯 38_愛媛 岡崎陽市
「ぶらぶらと秋晴れをきて」。
指をもて弾くひかりや露の玉 38_愛媛 岡崎陽市
人ならば齢九十猫に月 42_長崎 米山瑠衣
「月の猫」。