古志広島ズーム句会(2025年12月7日)
第一句座
矢野京子選
【特選】
別るるやおのおの時雨傘開き 矢田民也
去年今年八月の思ひ火照るまま 瑞木綾乃
戦争が窓から覗く冬籠り 安藤文
輪飾を掛けて世間に従はず 長谷川櫂
實句集花のごとくに返りくる 高橋真樹子
【入選】
新芸に拍手みづから猿廻し 金田伸一
ぼろ負けのラグビーソックス繕ひぬ 高橋真樹子
不機嫌な妻から逃げる炬燵かな 安藤文
火を蔵す山に霧氷の登山道 加藤裕子
福笑ひかなしき顔に見えてきし 矢田民也
いのち去りゆく刻々と冴え冴えと 瑞木綾乃
病院をあれこれ済ませ年用意 城山邦紀
人とゐて人の恋しき冬の夜 斉藤真知子
母の声して目覚めける湯婆かな ももたなおよ
初夢の我に説教してやりき ストーン睦美
つかひ初め母は傘寿の糸切歯 神戸秀子
赤ん坊の天下無敵の初笑 長谷川櫂
母漬けるたくわん天下一品ぞ 大場梅子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
いのち去る刻々とかつ冴々と 瑞木綾乃
戦争が窓から覗く冬籠り 安藤文
追憶の竿さしのぼる炬燵舟 矢野京子
静かなる力溜めたる冬木かな 石塚純子
【入選】
床を出てすぐに逃げこむ炬燵かな 安藤文
不機嫌な妻から逃げる炬燵かな 安藤文
よく見れば我も老人初鏡 斉藤真知子
球根にちらと青き芽十二月 石塚純子
初雪や心余りて詩にならず 矢野京子
夫とゐて夫の恋しき冬の夜 斉藤真知子
今すこし二人でゐたき焚火かな 矢野京子
水切りの石とほくまで山眠る 今村榾火
世界中の難民へこの雑煮かな ももたなおよ
句の道のなんとはるけし初御空 瑞木綾乃
梳初や櫛の歯ほどの母の髪 ストーン睦美
初雪や鹿より先の足の跡 ストーン睦美
熱燗や過ぎし日の夢と傲慢と 今村榾火
障子貼るこの部屋の人居らぬ間に 加藤裕子
蜜柑山越えて早々冬至風呂 加藤裕子
再会も永遠の別れも焚火かな ももたなおよ
初暦ひとつは誰もゐぬ部屋に 高橋真樹子
第二句座(席題:焚火、福引)
矢野京子選
【特選】
福引の音なつかしやシャッター街 安藤文
一切は土に還らむ焚火かな ももたなおよ
福引券握つて母の手に引かれ 安藤文
【入選】
紙入れに去年の福引券のあり ストーン睦美
いろのこるアザミの花を焚火かな 長谷川櫂
福引やあの人昔若かった 高橋真樹子
福引の幼子に出よ赤き玉 石塚純子
福引の一等担ぎ戻りけり 斉藤真知子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
手を広げ胸の奥まで大焚火 城山邦紀
福引や桃色の玉欲しかりき 瑞木綾乃
福引かん慎重にかつ大胆に 矢野京子
幼子に出よ福引の赤き玉 石塚純子
回想の火の粉が跳ぶや大焚火 城山邦紀
【入選】
福引のどの色出てもめでたけれ 矢田民也
街角の福引の音なつかしや 安藤文
福引の外れ玉にも鐘鳴らす 矢田民也
福引の地酒を父に奉る 今村榾火
福引や隣の鈴がかんかんと 金田伸一
福引の掃除機担ぎ帰りけり 斉藤真知子
福引券握つて母に手を引かれ 安藤文
いつの間に誰もをらざる焚火かな 高橋真樹子
