古志広島ズーム句会(2025年7月6日)
第一句座
矢野京子選
【特選】
不機嫌を絞り絞つて胡瓜揉 ももたなおよ
誰彼の星を探さん籐寝椅子 ももたなおよ
六月の雛さながらの御姿 長谷川櫂
ほうたるとなりて逢はんや墓じまひ 神戸秀子
音もなく地球の歪みゆく夏よ 斉藤真知子
【入選】
こんなにも熱き大地を蟻の列 斉藤真知子
わが胸の骨浮き出たる暑さかな 石塚純子
夏雲やパンダは人を記憶せず 神戸秀子
遺したきもののあれこれ箱庭に ももたなおよ
笹の葉も吉野育ちや鮎届く 神戸秀子
茗荷の子いつから好きになつたかな 大平佳余子
一息に殺すが礼儀ごきかぶり 安藤文
人ならば笑ふなどせよ竹夫人 金田伸一
ねぎらひのビールをちよつと糠床へ 神戸秀子
煽られて風に溺るるヨットかな 長谷川櫂
電線の影さへ頼り炎暑かな 原京子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
わが乳房肋浮き出る暑さかな 石塚純子
霧島も阿蘇も火を噴く大南風 加藤裕子
音たてて地球の歪みゆく夏よ 斉藤真知子
【入選】
推敲の髪切虫の容赦なく 城山邦紀
こんなにも熱き大地を蟻の列 斉藤真知子
貧なれど貪婪ならず冷し瓜 矢田民也
夏至の日の水車重たき水落す 大平佳余子
恨むなり笑ふなりせよ竹夫人 金田伸一
第二句座(席題:泳ぐ、花火)
矢野京子選
【特選】
裸の子泳ぎはじめは盥かな 大平佳余子
病棟のカーテン全開大花火 岡村美沙子
ゆきずりの人と見てゐる遠花火 大場梅子
【入選】
遠泳を達成したる皇女かな 大場梅子
初泳ぎ祖父の犬搔き真似をして 上松美智子
遠泳の子の白帽子一直線 今村榾火
逃ぐるがに追ふがに鼠花火かな 矢田民也
黒潮を貫き泳ぐ鯨かな 駒木幹正
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
ロザリオをつけ海人の子は泳ぐなり ももたなおよ
水練の子ら金色の軀かな 瑞木綾乃
【入選】
妹が此処まで来よと立泳ぎ ももたなおよ
こどもらは服着たるまま泳ぎをり 安藤文
満ちてくる潮かき分けて泳ぎけり ももたなおよ
出航の花火遠のくデツキかな 斉藤真知子
湖のかそけき波よ花火果つ 高橋真樹子
逃ぐるがに追ふがに鼠花火かな 矢田民也
一億年前の噴火よ湖泳ぐ 高橋真樹子