古志仙台ズーム句会(2025年6月29日)
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
千年の山椒魚の昼寝かな 上村幸三
子等と立つ十国峠や夏の富士 甲田雅子
百年の母の一生茄子の花 川辺酸模
風鈴は炎の記憶鳴らしけり 三玉一郎
夏草や親きやうだいを弑し跡 青沼尾燈子
【入選】
猪垣に取り囲まるる田草採り 武藤主明
訥々と語るおばあや沖縄忌 川辺酸模
いろこの宮神のすさびの虎魚かな 齋藤嘉子
夏潮へ漕ぎ出す小舟白ふどし 石川桃瑪
青田波神と崇むる山遠く 阿部けいこ
顎はづし鼠のみこむ青大将 上 俊一
恥ぢらうて岩田帯巻く夏座敷 佐藤和子
一匹の蝿に遊ばる可笑しさよ 谷村和華子
旱雲怠けし魂の八十年 青沼尾燈子
皇后の涼しき一語一語かな 長谷川櫂
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
被災地の誰も帰らぬ茂りかな 臼杵政治
薫風の中に夫ゐる忌日かな 及川由美子
家しづか瓶にゆらめく青梅かな 及川由美子
杉板に焼き鮎並ぶ郡上かな 服部尚子
小屋掛けて藺田のほてりに昼寝かな 齋藤嘉子
【入選】
マスクメロン大きく切って夫を待つ 臼杵政治
藍深き切子に溢れ冷し酒 及川由美子
いろこの宮神のすさびの虎魚かな 齋藤嘉子
飯豊山の雪より白し雲の峰 佐藤和子
山椒魚千年の昼寝かな 上村幸三
百年の一生母の茄子の花 川辺酸模
忙しや古木に実梅二十キロ 齋藤嘉子
一匹の蝿に遊ばる可笑しさよ 谷村和華子
旱雲怠け怠けて八十年 青沼尾燈子
知らぬ間に枇杷の実熟るる葉蔭かな 平尾 福
夏草や親きやうだいを弑し洞 青沼尾燈子
第二句座(席題:昼寝、蛍袋、百足)
長谷川冬虹選
【特選】
きな臭き地球の隅に大昼寝 川辺酸模
うかうかと八十年を昼寝かな 齋藤嘉子
悪党になり損なひの百足かな 上村幸三
あたふたと罪を負ふかに逃ぐ百足 谷村和華子
【入選】
美しき足の運びや大蜈蚣 川辺酸模
ヘッセ詩集顔に被せて午睡かな 及川由美子
一人居の祖母よ蜈蚣に話掛け 臼杵政治
昼寝ざめ邯鄲の夢ならずとも 服部尚子
百足虫這ふどこが貌やら尻尾やら 武藤主明
昼寝覚かなしみが目を覚ましけり 三玉一郎
川音に身をゆだねたる昼寝かな 武藤主明
父母の写真の下に昼寝覚め 武藤主明
玉音のながれし地べた百足行く 上村幸三
腐葉土の百足虫の城を毀しけり 宮本みさ子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
片方の足はかの世か昼寝覚 上村幸三
うかうかと八十年を昼寝かな 齋藤嘉子
家主の快癒を祈るむかでかな 三玉一郎
根付きたる蛍袋の白き花 佐藤和子
授業中微動だにせず昼寝かな 齋藤嘉子
【入選】
蛍袋見え隠れする虫の尻 谷村和華子
昼寝から覚めてうかがふ妻の顔 平尾 福
悪党になり損なひし百足かな 上村幸三
この国は八十年を昼寝かな 臼杵政治
昼寝覚かなしみが目を覚ましけり 三玉一郎
登校す蛍ぶくろを抱へては 宮本みさ子
父母の写真の下に昼寝覚め 武藤主明
玉音のながるる地べた百足行く 上村幸三
腐葉土の百足虫の城を毀しけり 宮本みさ子