古志金沢ズーム句会(2025年3月16日)
第一句座
飴山忌または当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
樽底に櫂残りけり鳥雲に 宮田勝
飴山忌能登の岩海苔炙りつつ 田村史生
能登未だ涙のやうにすみれ草 松川まさみ
春風や足の生えたるランドセル 籔谷智恵
湯上がりの赤子おぼろをだくやうに 川上あきこ
民主主義藁の解けし目刺達 山本桃潤
取り合はせの化学反応飴山忌 氷室茉胡
沃野まだ畦ばかりなり飴山忌 密田妖子
シーラカンス十の鰭にて春をよぶ 近藤沙羅
【入選】
跳びつく子ほのかに春塵匂はせて 密田妖子
飴山忌コースターごと持ち上ぐる 宮田勝
燕来る旅路の果てに母となる 田中紫春
白山を雪の馬駆く實の忌 稲垣雄二
いのちなほ熱しと思ふ花衣 趙栄順
「抗がん剤効いてますよ」と山笑ふ 土谷眞理子
震災忌けふただならぬ空の青 趙栄順
わが体つなぐ金具や春来たる 橋詰育子
母の香を風へ返さん春ショール 玉置陽子
崩れたる海岸線や貝寄する 泉早苗
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
生き死にの昭和百年實の忌 鬼川こまち
春の水鮒のきほひに濁りをり 趙栄順
いのちなほ熱しと思ふ花衣 趙栄順
大加賀に實忌の月上りけり 田村史生
恍惚と犀川は音飴山忌 玉置陽子
【入選】
知らぬ人なれどなつかし飴山忌 泉早苗
ものの芽のざわつく庭となりにけり 密田妖子
この年は母無き花を待ちにけり 飛岡光枝
眠りゐるかはづもろとも溝浚へ 酒井きよみ
犀川へ花のいろ射す飴山忌 玉置陽子
春風や定置網へとみをつくし 花井淳
我もまた花鋤き込まむ飴山忌 藤倉桂
能登濡らす雨もかをれよ飴山忌 松川まさみ
掻き立てて炭香らせん飴山忌 安藤久美
解体や泥に混じれる春の雪 稲垣雄二
鮠走る流れしづかに飴山忌 越智淳子
さへづりや数多の薬命延ぶ 土谷眞理子
わが体つなぐ金具や春来たる 橋詰育子
リハビリの歩幅伸びけり春の土 氷室茉胡
柔らかなことばは強し飴山忌 稲垣雄二
春塵や螺髪をあらふ今朝の雨 梅田恵美子
燻されて月もあらはれお松明 田村史生
貝寄や海岸線のずたずたに 泉早苗
第二句座
席題:「花冷え」、「春塵」
・鬼川こまち選
【特選】
野仏の台座に残る花の冷え 藤倉桂
二人ともやがてきらきら春の塵 松川まさみ
花冷えを能登の太鼓は打ち払ふ 田中紫春
県職を退きて一医師桜冷え 宮田勝
ソプラノや梁の春塵ふるはせて 松川まさみ
花冷えの朝はロイヤルミルクテイー 川上あきこ
花冷に葛善哉の旗上がる 田村史生
母逝きしあの日あの時花の冷え 藤倉桂
【入選】
春塵や土を篩へば骨片片 玉置陽子
春塵や少年悲哀の由知らず 越智淳子
花冷の顔を並べて句会かな 飛岡光枝
球場の春塵を駆け守備位置へ 安藤久美
春塵や人の埋まらぬ椅子ばかり 宮田勝
東京は花冷えのビル煌々と 飛岡光枝
小気味良き裾の捌きや春の塵 花井淳
花冷えや母の琥珀のネックレス 藤倉桂
花冷えや白き歯が笑む独裁者 稲垣雄二
花冷の花よりあはき貝の口 安藤久美
うなぎ屋の薄き座布団春の塵 泉早苗
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
花冷や珠を抱きて貝眠る 安藤久美
花冷や花よりあはく貝の口 安藤久美
【入選】
花冷の東京にビル煌々と 飛岡光枝
花冷や全身麻酔出来ぬ歳 氷室茉胡
愛猫をはたけばまふや春埃 酒井きよみ
