古志仙台ズーム句会(2025年1月5日)
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
凧揚げや指舐めて風確かめん 佐伯律子
初空へ藁の大蛇(おろち)が昇りゆく 上村幸三
雪にぬれ廃炉回覧今日もくる 甲田雅子
ふるさとの背骨のごとき氷柱かな 三玉一郎
【入選】
日の匂ひつまみ落とすや松手入 辻奈央子
早々とあがつて寂し絵双六 平尾 福
新春の風を孕みて神楽舞ふ 佐伯律子
百合根から氷のかけらはがしけり 三玉一郎
駅伝を終へて再び山眠る 平尾 福
寒禽の大きな声や津波浜 甲田雅子
父母の杵つき餅の雑煮かな 川村杳平
しゆんとして軽トラにある獅子頭 佐伯律子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
百合の玉氷の鱗はがしけり 三玉一郎
駅伝を終へて再び山眠る 平尾 福
初空へ藁の大蛇(おろち)が昇りゆく 上村幸三
雪原に灯火だけがある津軽 三玉一郎
ふるさとの背骨のごとく大氷柱 三玉一郎
【入選】
はなやかや年玉交はす客の声 川辺酸模
うとうとと八十五年花の春 上村幸三
啼き交はす大白鳥の御慶かな 長谷川冬虹
真つ白の破魔矢と迎ふ朝かな 青沼尾燈子
大学の学長もゐて初句会 平尾 福
雪にぬれ廃炉回覧今日もくる 甲田雅子
父母の杵つき餅の雑煮かな 川村杳平
地下鉄に老人ばかり冬帽子 臼杵政治
竿をもて突き落としけり松の雪 及川由美子
買初や父に供ふる三笠山 辻奈央子
【第二句座】(席題:寒鯉、左義長、室咲)
長谷川冬虹選
【特選】
寒鯉の重たき水をくぐり来る 上村幸三
鎮まりてふいに火柱どんど焼 上 俊一
雪国の天へ火柱大どんど 上村幸三
恵方へとどつと崩るるどんど焼 武藤主明
【入選】
寒鯉の黒鉄の身を池の底 及川由美子
室咲の花据え終へる年用意 平尾 福
左義長の少し焦がしし杉林 平尾 福
深窓の女は死語に室の花 及川由美子
命あるものはしづかに寒の鯉 長谷川櫂
阿武隈の風の煽りてどんど焼き 甲田雅子
室の梅いまにも語り出しさうな 辻奈央子
男系に姫授かりぬ室の花 臼杵政治
左義長へ放る片目の大達磨 武藤主明
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
恵方へとどつと崩るるどんどかな 武藤主明
天人も煙たからんやとんど焼 齋藤嘉子
寒の鯉静寂揺らしてゐたりけり 川辺酸模
【入選】
新聞紙ぐるぐると巻く寒の鯉 上村幸三
室咲きは浮世の風をまだ知らず 甲田雅子
左義長の少し焦がしぬ杉林 平尾 福
寒鯉の水面をのぞく鴉二羽 服部尚子
寒鯉の重たき水をくぐり来る 上村幸三
鎮まりてふいに火柱どんど焼 上 俊一
通るたび花確かむる室の梅 齋藤嘉子
雪国の天へ火柱大どんど 上村幸三
どんど焼思ひ出の日々火の底に 三玉一郎
阿武隈の風が煽るやどんど焼き 甲田雅子
寒の鯉巌のごとくしづみをり 川辺酸模
さばかれて花のごとしや寒の鯉 川辺酸模