古志広島ズーム句会(2025年1月5日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
かりそめのいのちと云えど宝船 今村榾火
拝みてはひらと飛び乗る漁始 加藤裕子
餅腹をゆらす五日の句会かな 大場梅子
初暦いのち一枚めくりけり 矢田民也
淡海の氷らんとして氷魚かな 長谷川櫂
【入選】
白菜を手で割くごとき一句欲し 斉藤真知子
ふるさとや狐罠知る人も絶え 神戸秀子
霜の路辿ればまみえん父母よ 米山瑠衣
屋根の雪みしりみしりと眠らせぬ 岡村美沙子
何の夢ひげのピクリと炬燵猫 大平佳余子
買初の万年筆でまづ一句 安藤文
初泣きの訳は忘れてまだ泣いて 矢田民也
婿ふたり仁王のやうや初松籟 神戸秀子
初湯して惚れぼれしたる女ぶり 大場梅子
空港行き電車に大き初日出づ 原京子
・長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
渾身の一句見せばや初句会 駒木幹正
心臓に光あれかし粥柱 城山邦紀
いろいろの恋の色なるシクラメン 高橋真樹子
オホーツク歌ふがごとく虎落笛 高橋真樹子
初湯して惚れぼれとわが女ぶり 大場梅子
【入選】
次の世もあなたの子にと御慶かな 米山瑠衣
初鏡大胆すぎる顔と思ふ ストーン睦美
かりそめのいのちと云えど宝船 今村榾火
白菜を手で割くごとき一句欲し 斉藤真知子
ふるさとや知る人もなき狐罠 神戸秀子
縫ひ初めの真白き糸を通しけり 斉藤真知子
血管よ強くなれよと薺打つ 城山邦紀
餅腹をゆらす五日の句会かな 大場梅子
買初の万年筆でまづ一句 安藤文
羽子板の裏は梅が枝鳥もゐて 大平佳余子
しみじみと大歳の火を落としけり 矢野京子
赤んぼの涎が映る初電話 ももたなおよ
第二句座(席題:双六、臘梅)
・矢野京子選
【特選】
臘梅は無数の月の欠片かな 安藤文
双六を広げる畳もふあらず 斉藤真知子
蝋梅や母の辞書いま我が座右 米山瑠衣
【入選】
蝋梅や濡れしまま置く花鋏 加藤裕子
双六やまたまた爺の一人勝ち 金田伸一
双六や目指すあがりは百寿なり 瑞木綾乃
西行はけふも旅びと絵双六 長谷川櫂
叫喚の世界双六きりもなし 長谷川櫂
・長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
この子らによき国となれ絵双六 今村榾火
双六や君また我を置き去りに 岡村美沙子
絵双六重きギプスの一歩二歩 高橋真樹子
【入選】
蝋梅や濡れしまま置く花鋏 加藤裕子
双六やまたも爺の一人勝ち 金田伸一
蝋梅や雪室にまだ去年の雪 矢野京子
臘梅は無数の月の欠片かな 安藤文
絵双六広げる畳もうあらず 斉藤真知子