古志鎌倉ズーム句会(2024年8月11日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
今朝の秋日本国を地震はしる 吉田順子
ひしやげたる壜が叫ぶや原爆忌 木下洋子
家ごとに切り方違ふ西瓜かな 藤原智子
けさ秋のひとすぢ裂けし芭蕉の葉 葛西美津子
目覚めれば深む命や秋の朝 森永尚子
あかあかと八月の立つ焼野原 きだりえこ
【入選】
人の世の戦火を照らす天の川 吉田順子
故郷は遠きにありて盆踊り 湯浅菊子
燃え盛る太陽抱へ秋来る 神谷宣行
白毫のひかりしろがね秋兆す 金澤道子
オリンピック終はり近づく涼新た 田中益美
戦争はいつまで続く終戦日 おほずひろし
香水の一滴にして氷の香 長谷川櫂
•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
故郷は遠くにありて盆踊り 湯浅菊子
白毫のひかりしろがね秋兆す 金澤道子
八月や炎の槍を槍投げは 森永尚子
神の手や妖しき鴉瓜の花 仲田寛子
地の底も煮えたぎるかや迎へ鐘 藤英樹
【入選】
今朝の秋日本列島地震はしる 吉田順子
燃え盛る太陽抱へ秋来る 神谷宣行
兜虫子ども眠ればかさこそと 藤原智子
けふもまた危険な暑さ原爆忌 萬燈ゆき
兜かと思へば釜か秋の風 森永尚子
けさ秋のひとすぢ裂けし芭蕉の葉 葛西美津子
水道の水生ぬるし終戦日 葛西美津子
タワービル昔穴子の穴場なり 関根千方
蜻蛉や水を探して水の上 葛西美津子
四歳の記憶火の海敗戦忌 金澤道子
祖父を継ぐ語り部若し原爆忌 萬燈ゆき
第二句座 (席題:花火、大豆)
•藤英樹選
【特選】
四方八方ガラスのビルや揚花火 イーブン美奈子
残業の窓より見やる遠花火 木下洋子
遠花火江戸は戦のなき世かな 関根千方
背なの子の深き眠りや花火果て 金澤道子
【入選】
大欅どんと揺らして大花火 藤原智子
大豆打つ嵯峨野も奥の寂しさに 澤田美那子
華のある花火師上げる大花火 仲田寛子
砂浜の胡座にこども花火待つ 湯浅菊子
大川の風に吹かれて揚花火 木下洋子
出会ひては別れゆく旅遠花火 西川遊歩
•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
花のある花火師ならん揚花火 仲田寛子
手のひらにやさしき色の新大豆 藤原智子
打ち上げに鬼の手を借る花火かな きだりえこ
【入選】
豆を打つ飛び散る豆もつかまえて 関根千方
流れ来る煤や煙や大花火 葛西美津子
からからと音立て大豆収穫す 吉田順子
四方八方ガラスのビルや揚花火 イーブン美奈子
山の端に日のかかるまで大豆干す 金澤道子
大揺れの船繰り出して揚花火 葛西美津子
三尺玉豪雨の如き花火かな 吉田順子
甘き香や茹でこぼしたる新大豆 木下洋子
荒海の嘶くごとく揚花火 神谷宣行
空襲の死者もあつまる花火かな 萬燈ゆき
腹いせもありて力や大豆ひく 湯浅菊子
縄文の土器ごろごろと大豆引く 藤英樹