古志広島ズーム句会(2023年8月6日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
人間の影立ち上がる原爆忌 城山邦紀
太田川の水飲み育ち広島忌 菅谷和子
風呂敷に亡き子の服や原爆忌 斉藤真知子
海辺には原発あまた原爆忌 岡村美沙子
しんかんと家の奥まで原爆忌 長谷川櫂
【入選】
黙祷や蝉と赤ん坊泣きしきる 神戸秀子
いまごろは母に急かされ茄子の馬 大場梅子
蟻這うな乙女の原爆慰霊碑を 瑞木綾乃
原爆忌母はしづかにピアノ弾く 安藤文
合はすほか能なきわが手八月来 矢田民也
共に句座囲むもえにし広島忌 神戸秀子
原爆忌卵こつんと割る朝食 石塚純子
千羽鶴折る紙の音夜の秋 菅谷和子
日本を塗り替えてゆく溽暑かな 高橋真樹子
大仏のひと息つきし夕立かな 斉藤真知子
・長谷川櫂選
【特選】
星まつり星になる人累々と ストーン睦美
合はすほか能なきわが手八月来 矢田民也
爆心地空の秒針恐ろしき 加藤裕子
深閑と虐殺の日ぞ原爆忌 城山邦紀
かの夏のかの母の名よエノラ・ゲイ 神戸秀子
【入選】
軍神の家はしづかに原爆忌 今村榾火
原爆忌母はしづかにピアノ弾く 安藤文
太田川の水飲み育ち広島忌 菅谷和子
原爆忌「はだしのゲン」が消えた学校 岡村美沙子
共に句座囲むもえにし広島忌 神戸秀子
風呂敷に亡き子の服や原爆忌 斉藤真知子
原爆忌ヒロシマの子と生まれきて 矢野京子
八月や蝉鳴き人間黙禱す 大平佳余子
粟稗で生きてけふあり長崎忌 金田伸一
スマホ手に過ぎゆく人ら原爆忌 安藤文
足裏引く潮の力や夏の果 石塚純子
原爆忌手負いの星に危機あらた 岡村美沙子
第二句座(席題:戦争)
・矢野京子選
【特選】
戦死報かの日のままに団扇あり 長谷川櫂
敗戦忌子を死なせたる乳房かな 長谷川櫂
音もなく戦争そこに梅を干す 斉藤真知子
【入選】
蛇口から水滴々と戦争来 斉藤真知子
星飛ぶやもどらぬ遺骨さ迷ふか 大場梅子
黙祷とサイレン蝉の声永く 瑞木綾乃
ひまわりの全部の顔をプーチンに 原京子
敗戦から始まるわが生草の花 石塚純子
・長谷川櫂選
【特選】
体中ただれし仏像原爆忌 夏井通江
音もなく戦争そこに梅を干す 斉藤真知子
一晩で孤児となりたり終戦忌 城山邦紀
【入選】
沙羅咲くや父は密林さまよひし ももたなおよ
蛇口から水滴々と戦争来 斉藤真知子
夜光虫サイパン沖の叔父はるか ももたなおよ
ひまはりの眼の中に戦火見ゆ 矢野京子
母に聞く芋蔓あげて感謝され 大場梅子
敗戦から始まるわが生草の花 石塚純子
戦争に負けて安堵や夏の空 夏井通江