古志仙台ズーム句会(2023年5月14日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
ねむさうに芍薬ゆるる真昼かな 川辺酸模
愚かなる地球を笑ひ金魚玉 辻奈央子
わたしにはなれない私更衣 三玉一郎
鉄塔の大きく跨ぐ麦の畑 佐伯律子
【入選】
帰任など忘れてしまふ青葉風 川村杳平
太陽も飲み込んでゐる蜘蛛の網 辻奈央子
下の田のぼそぼそといふ水喧嘩 佐伯律子
根性が曲がつてゐたる植田かな 三玉一郎
鯉幟ふいに命を吹きこまれ 上 俊一
花海芋ノースリーブがよく似合ふ 平尾 福
・長谷川櫂選
【特選】
母あらず母の日傘の日の匂ひ 上村幸三
花よりも草のきれいな五月かな 三玉一郎
夏の蝶松島すべて遊び場に 宮本みさ子
衣紋掛母もうをらぬ母の日よ 長谷川冬虹
戦争に正義語るなこどもの日 川辺酸模
【入選】
わたしにはなれない私更衣 三玉一郎
母といふ背なの遥かよ夏衣 上村幸三
しばらくは現忘れて草むしる 川辺酸模
これからは遺影に語る母の日よ 長谷川冬虹
思ひ出す母の諭しや柏餅 甲田雅子
生きがたきこの世の岸に草むしる 川辺酸模
かしは餅蒸したての熱葉つぱまで 宮本みさ子
新緑や行きも帰りも越す峠 武藤主明
花海芋ノースリーブがよく似合ふ 平尾 福
滝ごりや大日如来おはす山 服部尚子
上棟の木組みの映る代田かな 宮本みさ子
母の日や一炷に母のこゑ聴かな 上村幸三
蓬摘む餅にするには足らねども 及川由美子
蜥蜴去り街は再び乾き出す 平尾 福
母の日よ孫を抱きて母憶ふ 谷村和華子
幾箱も母のマスクや母の日よ 長谷川冬虹
糠雨の粒々まとひ女郎蜘蛛 上 俊一
第二句座(席題:杉落葉、夏場所、松蝉)
・長谷川冬虹選
【特選】
松蟬や外国船の遭難碑 上 俊一
大関の洒落た浴衣や夏相撲 平尾 福
五月場所両国界隈カフェ巡り 谷村和華子
夏場所や装束真白立行司 上村幸三
松蟬や寂しき家をはやしけり 辻奈央子
【入選】
呼び出しの声晴れやかに五月場所 那珂侑子
松蝉や湯本の駅の端の椅子 川村杳平
夏場所や鬢付け油の匂ふ駅 阿部けいこ
松蝉や峠を越へて妻籠宿 甲田雅子
松蟬や見合ひの席に加はりて 辻奈央子
杉落葉百年屋敷守りをり 谷村和華子
勝ち越しの郷土力士や五月場所 阿部けいこ
・長谷川櫂
【特選】
伊之助の装束軽し五月場所 上 俊一
大関の洒落た浴衣や夏相撲 平尾 福
夏場所や装束真白立行司 上村幸三
おづおづと鳴き始めたる松の蝉 平尾 福
松蟬や寂しき家をはやしけり 辻奈央子
【入選】
松蝉や東海道を歩く会 那珂侑子
松蟬や一茶の土蔵ここにあり 三玉一郎
松蟬や風ただならぬ日和山 上 俊一
夏場所や郷土力士の揃踏み 武藤主明
松蟬や外国船の遭難碑 上 俊一
夏場所や大川渡る触れ太鼓 川辺酸模
夏場所や地下鉄駅に力士達 長谷川冬虹
大盛りのざるを平らげ夏場所へ 平尾 福
天狗堂すねまで埋まる杉落葉 服部尚子