古志金沢ズーム句会(2023年4月23日)
第一句座(当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
大鐘をくすぐつてゐる花吹雪 長谷川櫂
名をもらひ貰はれていく子猫かな 稲垣雄二
卯波てふうづく心の絶え間なし 越智淳子
しゃばしゃばと洗うレタスやカーニバル 川上あきこ
この星に空は一つやよなぼこり 稲垣雄二
まぼろしの狼群るる花の闇 安藤久美
花衣ひも一本の杏子亡く 間宮伸子
【入選】
まきさんにズームで会はむあらせいとう 近藤沙羅
願はくば天下泰平大朝寝 田中紫春
花追うて花の奥へと逝かれしか 玉置陽子
角落ちてはやひこばゆる角のあと 趙栄順
春の鹿獣の顔で駆け寄り来 田村史生
国境のなき大空や黄砂ふる 梅田恵美子
砂抜きのひと夜と知らず浅蜊貝 橋詰育子
黄昏てアウスレーゼを春ひとり 花井淳
ぶらんこや祖父母に遭ひにゆくところ 宮田勝
さんざめく光となりて鮎上る 安藤久美
夫を愛し京を愛して春ゆけり 飛岡光枝
我とゐるすんとも音の無き日永 松川まさみ
桜蕊降る吾の最終章見えず 間宮伸子
花水木予後の夫と鳥居まで 密田妖子
筍掘る大釜は水なみなみと 藤倉桂
春眠や胎児のころの姿勢なほ 田中紫春
誰かれを許す気持ちに桜餅 間宮伸子
・長谷川櫂選
【特選】
ぼうたんの莟に心のこす旅 酒井きよみ
早蕨はすつくと立つや無一物 稲垣雄二
反骨もやわになりたり蜆汁 鬼川こまち
砂抜きのひと夜と知らず浅蜊貝 橋詰育子
花衣ひも一本の杏子亡く 間宮伸子
【入選】
朝夕に数ふる莟牡丹かな 酒井きよみ
振り返ることなく春が去つてゆく 清水薫
花追うて花の奥へと逝かれしか 玉置陽子
揚雲雀あつといふ間にこの齢 梅田恵美子
はんなりの花の名告りをもう聞けず 飛岡光枝
山々の上に白山栄螺焼く 稲垣雄二
第二句座(佐々木まきさん追悼句)
・鬼川こまち選
【特選】
天空の花見舟へと旅立たれ 酒井きよみ
花を愛で花のふぶきに召されしか 安藤久美
ゆらめいて一舟花に吞まれゆく 安藤久美
天上の花の句会に遊ばれよ 田村史生
暁や一夜に倒れし山桜 稲垣雄二
来世には会ひたき人や桜鯛 藤倉桂
一帯に一打の響く鐘供養 宮田勝
【入選】
いつの日も自在なりしや雪柳 藤倉桂
春惜しむ人のいのちのしづけさに 宮田勝
かをりよき花柚へ誘ひくれし日も 安藤久美
夫のことみなととのへて花の句座 酒井きよみ
倒木の太き根元に若芽あり 稲垣雄二
日の光り花のひかりを空へ追ひ 宮田勝
ラ・フランス花のごとくに逝かれけり 飛岡光枝
春惜しむごとくに人を惜しみけり 橋詰育子
つつじ咲く山踏みわけて逝かれしか 橋詰育子
ラ・フランス真白き花の吹雪かな 長谷川櫂
思はずもそぞろに逝かれ月朧 松川まさみ
俤は花の吉野に湯浴みして 飛岡光枝
・長谷川櫂選
【特選】
花の句をこんなに残し花終る 泉早苗
かをりよき花柚へ誘ひくれし日も 安藤久美
まだとても信じられなく余花の風 泉早苗
おもかげやラフランスの花今朝真白 玉置陽子
つつじ咲く山踏みわけて逝かれしか 橋詰育子
【入選】
ひとひらの花びら欠けぬズーム句座 玉置陽子
花を愛で花のふぶきに召されしか 安藤久美
天上の花の句会に遊ばれよ 田村史生
暁や一夜に倒れし山桜 稲垣雄二
葉桜や同じ人恋ふ人々と 松川まさみ
歳時記のまきさんの句とこしなへ 越智淳子
もう会へぬ貴女と春を惜しむなり 趙栄順
お姿の心に残る四月句座 密田妖子
思い出のゆきやなぎの句逝かれたる 酒井きよみ
一帯に一打の響く鐘供養 宮田勝