古志鎌倉ズーム句会(2023年4月16日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
一艘の花の舟発つ吉野建 葛西美津子
大岡忌若鮎上る柿田川 金澤道子
ばら寿司の残り蒸かさん春の雨 葛西美津子
空渡るけふの花びら大岡忌 葛西美津子
遥かなるカルチェラタン大岡忌 おほずひろし
耳に指やつて子は寝る花は葉に イーブン美奈子
【入選】
あけぼのの潮目確かめ鯛の網 園田靖彦
青空を花筏ゆく大岡忌 木下洋子
義経の小さき甲冑花の闇 木下洋子
富士はいま春の白雪信の忌 仲田寛子
のびやかな雲は思想や大岡忌 関根千方
口にふくみ花の軽さの桜菓子 澤田美那子
吉野山めぐり楽しき花疲れ 木下洋子
天ざるに大海老二本花は葉に 金澤道子
•長谷川櫂選
【特選】
まつ白な言葉ふぶいてゐる春よ イーブン美奈子
春の夜や尼ともならず句つくる 森永尚子
空渡るけふの花びら大岡忌 葛西美津子
のびやかな雲は思想や大岡忌 関根千方
口にふくみ花の軽さの桜菓子 澤田美那子
子規の恋葉に包まれて桜もち 関根千方
【入選】
大岡忌今年ははやも花の散る 澤田美那子
大岡忌若鮎上る柿田川 金澤道子
さへづりの冷たき空や大岡忌 藤原智子
言の葉の神に愛され大岡忌 萬燈ゆき
囀りに山鳩まじる目覚めかな 澤田美那子
大岡忌あふるる富士の伏流水 西川遊歩
花惜しむ詩歌連俳七千句 藤英樹
義経の小さき甲冑花の闇 木下洋子
老いの日のゆつたり暮れて木の芽和 園田靖彦
第二句座 (席題:春塵、亀鳴く)
•藤英樹選
【特選】
AIがどうのかうのと亀鳴けり 園田靖彦
この国の未来語れば亀鳴けり 萬燈ゆき
亀鳴いてのちの億年沈黙す 長谷川櫂
春塵をまだ抜けられぬ観覧車 金澤道子
春塵の革靴が行く大東京 葛西美津子
【入選】
吞み込みし怒りもあらん亀の鳴く 長谷川櫂
亀鳴ける如く湧き出づうた心 西川遊歩
ふたたびの首相襲撃亀鳴けり 萬燈ゆき
この国の悲鳴にも似て亀鳴けり 升谷正博
すくと立ち千手観音春の塵 きだりえこ
亀鳴くや宗盛ひとり酒を酌む 長井はるみ
小夜更けて亀ほうと鳴く天王寺 森永尚子
•長谷川櫂選
【特選】
補聴器は春塵の音ばかりかな 藤英樹
亀鳴くや嘘を大事に日本人 おほずひろし
この国の未来語れば亀鳴けり 萬燈ゆき
【入選】
亀鳴くを聞ける齢となりにけり わたなべかよ
泥亀の涙一筋亀鳴くや 湯浅菊子
まぼろしの亀鳴く詩を愛しめり おほずひろし
舞殿や拭いても拭いても春の塵 木下洋子
七八十まだひよつこと亀の鳴く 仲田寛子
万年の恨みつらみや亀が鳴く 藤英樹