古志金沢ズーム句会(2023年2月19日)
第一句座(当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
媼ありわたしの亀は鳴くといふ 清水薫
梅一輪詩歌生まるる心地かな 稲垣雄二
伐採の樹魂さまよふ朧かな 長谷川櫂
蕗味噌や北国の酒花ひらく 飛岡光枝
大土佐のまほら焦がして野焼かな 橋詰育子
吹雪きつつ遠ざかりゆく巨人あり 長谷川櫂
乳飲み子を鼻で支へて象の春 間宮伸子
雨だれや三日帰らぬ浮かれ猫 密田妖子
詩心は渇きしままにけふ雨水 川上あきこ
この国の政治にあれよ寒の明け 稲垣雄二
【入選】
わらんべの佐保姫駆けてゆくところ 安藤久美
母の娘やり直したや梅の花 藤倉桂
生垣は目白の動く椿かな 山本桃潤
春泥や不戦の叡智出でて来よ 安藤久美
店先のいつも濡れをる桜餅 趙栄順
干秋刀魚棒切れとなる余寒かな 玉置陽子
朝刊の悲しみたたみ春寒し 松川まさみ
あらせいとう歳の数だけ届きたる 藤倉桂
サーフィンの波は上々目刺干す 玉置陽子
野火走るいまも太古の畏れあり 泉早苗
仰ぐたび生まるるものよ涅槃雪 宮田勝
吾が遺影選ぶアルバム春炬燵 氷室茉胡
山蘆へのはるかな道や龍太の忌 橋詰育子
蝋燭灯す心のありか春寒し 花井淳
ふくいくと白梅龍太の空となる 泉早苗
風花やカステラ食べにゆきませう 川上あきこ
ぶすぶすと息する大地野焼かな 藤倉桂
・長谷川櫂選
【特選】
流氷やコルサノフの店ある町に 山本桃潤
春泥の大蛇のたうつごとくかな 趙栄順
またひとつ昇つてゆきぬ夕雲雀 飛岡光枝
大瓢春を吐いてはまた吸ふて 酒井きよみ
菓子箱を開けば去年の紙雛 飛岡光枝
【入選】
子を生みし女の力草の餅 趙栄順
我が腕にとろり赤子や春の月 藤倉桂
春立つや胸の底まで空の青 田中紫春
春泥や不戦の叡智出でて来よ 安藤久美
干秋刀魚棒切れとなる余寒かな 玉置陽子
オリオンのかかる丹波路冴返る 佐々木まき
沓脱に小さき靴や雛あられ 趙栄順
蕗味噌や北国の酒花ひらく 飛岡光枝
朝刊の悲しみたたみ春寒し 松川まさみ
大土佐のまほら焦がして野焼かな 橋詰育子
サーフィンの波は上々目刺干す 玉置陽子
句碑裏は陽あたる処ふきのたう 泉早苗
草の餅すなはち母でありにけり 酒井きよみ
乳飲み子を鼻で支へて象の春 間宮伸子
まどやかに若草山の大枯野 梅田恵美子
雨だれや三日帰らぬ浮かれ猫 密田妖子
山蘆へのはるかな道や龍太の忌 橋詰育子
ふくいくと白梅龍太の空となる 泉早苗
足早に歩む東京余寒かな 山本桃潤
金婚の二人で飾る雛かな 玉置陽子
焼かれたる山黒黒よ二月堂 田村史生
小鮎汲む比良の白銀惜しみつつ 玉置陽子
ぶすぶすと息する大地野焼かな 藤倉桂
第二句座(席題:春、芽吹き)
・長谷川櫂選
【特選】
ふくろふも春こそよけれまた啼けり 酒井きよみ
宅配の人が運びてくれし春 田村史生
滾りたる春遡る舟ひとつ 飛岡光枝
【入選】
号令一下ジューンベリーの芽吹きかな 間宮伸子
吹き降りに力を得たる木の芽かな 松川まさみ
カーテンと障子と瑠璃戸開けて春 山本桃潤
戦争を生き九十の春に病む 稲垣雄二
わが老いを肯うて春来たりけり 橋詰育子
何の木か知らぬが芽吹く卯辰山 泉早苗
わが庭の林のごとき芽吹きかな 橋詰育子
軒に積む薪の残りに芽吹きあり 稲垣雄二
我つれて犬駆け上がる芽吹山 飛岡光枝