古志鎌倉ズーム句会(2023年1月9日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
狂言の女は強し初笑 木下洋子
八十の春をさづかり恵方道 園田靖彦
颯爽と自選十句の賀状来る 木下洋子
まつすぐに我が懐に初明り 吉田順子
しやがれたる声めでたけれ初鴉 金澤道子
初旅や極楽橋をまづ渡る 喜田りえこ
老ひざまをつぶさに書かん日記買ふ 曽根崇
負けなしの男の顔やラガー来る 園田靖彦
【入選】
祝箸墨で大きく赤子の名 木下洋子
双六や舟は走りて馬は駆け 藤原智子
喜怒哀楽八十年の初鏡 湯浅菊子
空爆の瓦礫が奏づもがり笛 澤田美那子
初湯して夢も忘れてしまひけり おほずひろし
大神におひねりも飛ぶ謡初 長井はるみ
白山へまづ茜さす銀世界 長谷川櫂
戦争とコロナの年の初暦 おほずひろし
太陽のまだやはらかや粥柱 長谷川櫂
皺の手の音のかるさや歌かるた 関根千方
•長谷川櫂選
【特選】
竹馬の大き一歩もむかしかな 仲田寛子
年玉やカネの怖さをまだ知らず 関根千方
戦争とコロナの年の初暦 おほずひろし
【入選】
猿回し去りゆく肩の猿ちさく 関根千方
雀らの三三五五の御慶かな 金澤道子
能登の鰤はちきれん身を包丁す 藤英樹
産湯つかはせし五人の孫や新年会 吉田順子
負けなしの男の顔やラガー来る 園田靖彦
太箸やなんと嬉しきわれ傘寿 吉田順子
アカムツの喉まつ黒や雪の宿 わたなべかよ
第二句座 (席題:芹 、節分)
•藤英樹選
【特選】
芹踏めば音やはらかき大地かな 魚返みりん
何もかも芹の緑にまさらめや 長谷川櫂
せせらぎの氷ごと引く根芹かな 長谷川櫂
芹の水揺らして芹の一束 葛西美津子
芹の香や空ひろびろと秋津島 イーブン美奈子
山の子の手もあかあかと芹をつむ 長谷川櫂
【入選】
節分の鬼もてあます戦あり 升谷正博
飽食の世の片隅に芹を摘む 曽根崇
節分や今様役者の一升枡 長井はるみ
節分や日本はいまだ平和ぼけ 升谷正博
芹の根の白さ長さのめでたけれ わたなべかよ
芹を摘む七つ違ひの妹と わたなべかよ
•長谷川櫂選
【特選】
芹生えて泥の地球に光さす 神谷宣行
芹の水揺らして芹の一束 葛西美津子
弘法のみ山訪ねん芹の水 イーブン美奈子
見事なる緑なれどもどぶの芹 おほずひろし
芹の根の白さ長さのめでたけれ わたなべかよ
【入選】
馥郁と家ぢゅう香る芹の篭 曽根崇
氷りたる水の間から芹をひく 澤田美那子
寒風に髪をさらして芹菜摘む 湯浅菊子
生えもどる髪の若さや芹の水 神谷宣行
雪の辺の芹の水こそ冷たけれ 藤英樹
清らかな芹の産土おもひつつ 園田靖彦
飽食の世の片隅に芹を摘む 曽根崇
さぶさぶと水湧く田んぼ芹をとる 西川遊歩
芹の水恋を占ふ女かな 藤英樹
真白なる根の貴しや田芹摘む 萬燈ゆき
たつぷりの根つこが旨し芹の鍋 金澤道子
芹ひくや根もやはらかに付いてくる 澤田美那子
母と我のあいだに大き箕芹を摘む 長井はるみ
芹一つあれば七草粥となり 田中益美
古戦場いまも流るる芹の水 升谷正博
芹鍋やひげの根っこもうまかりき 森永尚子