古志仙台ズーム句会(2022年11月27日)
・第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
少年の夢は宇宙に栗落とす 佐藤和子
斧下ろし考へてゐるいぼむしり 青沼尾燈子
するすると毛糸解くかに命尽く 佐伯律子
大仏の螺髪の中へ冬の蝶 谷村和華子
【入選】
芋茎干すたちまち朝日掴みたり 佐藤和子
手と足をなでて勤労感謝の日 那珂侑子
はじめての雪聴いてゐる赤ん坊 平尾 福
亡き父とまた間違はれ帰り花 上 俊一
人間をじろり一瞥熊山へ 上村幸三
おでん酒何から切り出したらよいか 伊藤 寛
冬帽子内に膨らむ怒りあり 青沼尾燈子
しほらしく煮えてゐるなりおでん種 辻奈央子
長谷川櫂選
【特選】
大根の皮を剝きては母想ふ 長谷川冬虹
鳰あそび疲れて月の中 川辺酸模
今しばし浮世の岸に日向ぼこ 川辺酸模
【入選】
恍惚の燠となりたる牡丹かな 武藤主明
はじめての雪聴いてゐる赤ん坊 平尾 福
帰り花帰つてこない人ひとり 三玉一郎
おでん酒何から切り出したらよいか 伊藤 寛
無職なる我に勤労感謝の日 武藤主明
松明し顔の火照りを持ち帰る 武藤主明
浮寝鳥最後の旅と思ひをり 平尾 福
牡丹供養の光郎先生車椅子 宮本みさ子
枯蓮大きな音を立て揺るる 森 凛柚
梟と我ほうほうと啼きかはし 上 俊一
・第二句座 (席題:神楽、鰤、侘助)
長谷川冬虹選
【特選】
神楽鈴を祝詞のやうに巫女の舞 佐藤和子
神楽笛神代の闇にひびきけり 上村幸三
【入選】
筋一本魚雷のやうな大鰤よ 上 俊一
侘助や見ゆれど遠き天守閣 武藤主明
寒鰤買ふあふれんばかり浪の痕 佐藤和子
侘助や精神科医に茶室あり 阿部けいこ
寒鰤の粗の目玉のぎよろとして 佐伯律子
侘助や茶筅供養の禅の寺 佐藤和子
長老の神となりたる里神楽 甲田雅子
闇に出て神楽の鬼の貌冷やす 甲田雅子
長谷川櫂選
【特選】
神楽笛神代の闇にひびきけり 上村幸三
やつと飛ぶ大蛇の首よ里神楽 齋藤嘉子
深深と海軋ますや寒の鰤 谷村和華子
【入選】
佗助や復習ひ尽せぬ教へあり 三玉一郎
里神楽少年天の岩戸舞ふ 阿部けいこ
大将の鰤一本を捌きをり 長谷川冬虹
鰤食うて関西人に戻りけり 平尾 福