古志鎌倉ズーム句会(2022年8月20日)
第一句座
【特選】
•藤英樹選
敗戦日ビルマの山のしづもれる イーブン美奈子
いちぢく熟る天地開闢さながらに 仲田寛子
心だけ君と心中天の川 森永尚子
八月や空想列車に百閒と 長井はるみ
新婚のあとかたもなき長崎忌 園田靖彦
まつ白な秋をひらける切符あり イーブン美奈子
父母のもとへ帰りて西瓜かな 藤原智子
白桃や凡ての終る秋見んと おほずひろし
戦争のつづく夜空に星祀る 長谷川櫂
【入選】
生身魂隊歌はいまも諳んじて 曽根崇
赤ん坊のへその莟へ天瓜粉 長谷川櫂
朝顔の藍ほどけゆく静寂かな 澤田美那子
鞭痕を背中に刻み終戦忌 園田靖彦
片腕はお国のために生身魂 木下洋子
天高し船より拝む厳島 金澤道子
秋の夜の夜汽車の中を霧流る 長谷川櫂
流星群待てば夜の音夜のにほひ 澤田美那子
戦まだ止めぬ地球の終戦忌 喜田りえこ
過去などとよもや思へず敗戦日 萬燈ゆき
煩悩を気ままに育て冬瓜かな 喜田りえこ
捻り花矢数俳諧二万余句 湯浅菊子
泣き言は言はず語らず終戦忌 園田靖彦
気のむいたときだけ返事生身魂 長井はるみ
•長谷川櫂選
【特選】
浜木綿の花むんむんと闇の中 藤英樹
八月や戦死の数に餓死あまた 西川遊歩
消えかかる精霊船に鉦一途 曽根崇
【入選】
気まぐれな風とあそびぬ芋の露 仲田寛子
ピカドンに消へて帰らず夏帽子 神谷宣行
夏休み終わり近づくカレーかな 田中益美
敗戦日ビルマの山のしづもれる イーブン美奈子
鞭痕を背中に刻み終戦忌 園田靖彦
秋出水退きぬ水馬のせしまま 関根千方
迎火を焚くや我より若き父 神谷宣行
潮の香のまぢる川風盆おどり 森永尚子
唐辛子庭ぢゅうに干し秋暑し 曽根崇
戦争の居座つてゐる残暑かな 藤英樹
大仏に僧ぶら下がる今朝の秋 升谷正博
秋めくや親子で洗車水しぶき 田中益美
第二句座 (席題:秋風、蜉蝣)
【特選】
•藤英樹選
本屋なき街となりけり秋の風 萬燈ゆき
草蜉蝣あしたの塵に交じりけり 長谷川櫂
秋風や声よくとどく風蓮湖 長井はるみ
おはりなき地獄草子や秋の風 萬燈ゆき
蜉蝣は夜明けの翅をひらきたり 葛西美津子
秋風や人と歩いて人恋し 曽根崇
【入選】
秋風やピーマンに赤一つ生り 関根千方
秋の風白河の関ふきぬくる 園田靖彦
蜉蝣や句集作るに命かけ 木下洋子
ライオンのたてがみに今朝秋の風 森永尚子
蜉蝣は岩魚の口に落ちにけり 葛西美津子
蜉蝣の翅の流るる静寂かな 葛西美津子
•長谷川櫂選
【特選】
おはりなき地獄草子や秋の風 萬燈ゆき
ライオンのたてがみに今朝秋の風 森永尚子
獅子頭顎外されて秋の風 関根千方
秋風や植ゑたはずなき草の丈 金澤道子
すつぽんの首隆々と秋の風 藤英樹
【入選】
秋風やピーマンに赤一つ生り 関根千方
秋風や不要不急の用なれど 澤田美那子
秋風やコロナ隔離の身の軽し イーブン美奈子
かげろふのゆめまぼろしの羽化ならん 西川遊歩
影長きローマ街道秋の風 長井はるみ
秋風や雲の動きにあきもせず 田中益美
床タイル蜉蝣ひそと死んでをり イーブン美奈子
背丈ほどのギター弾く子へ秋の風 萬燈ゆき
秋風や行年二十と遍路墓 曽根崇
秋風や故国を思ふピアノ弾き わたなべかよ