古志仙台ズーム句会(2022年6月26日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
ペディキュアの足のはみ出るテントかな 伊藤 寛
ぼうふらのせいいつぱいの天地かな 上村幸三
孑孑は水の見てゐる夢ならん 長谷川櫂
枇杷熟るるこの星揺るること多き 谷村和華子
剝製の雉が飛び立つ夏座敷 及川由美子
【入選】
髪洗ふ反抗の爪立てつづけ 宮本みさ子
直会の席の落ち着く青時雨 甲田雅子
田の神が一人で歌ふ田植唄 齋藤嘉子
浜砂を浴び馬慣らす野馬祭 宮本みさ子
空蟬や背なの裂け目の潔さ 上 俊一
肘尖る白シャツの子も忌を修す 及川由美子
干し草を泥ごと口へ被曝牛 宮本みさ子
覚えたて九九を諳ずさくらんぼ 谷村和華子
断崖は天へとつづく沖縄忌 上村幸三
縦長の会津絵暦鰻食ぶ 佐藤和子
・長谷川櫂選
【特選】
田の神が一人で歌ふ田植唄 齋藤嘉子
白玉や琉球の島いまむかし 長谷川冬虹
三更のまだむんむんと草いきれ 齋藤嘉子
滑走路六月二十三日来 三玉一郎
しんかんと沖縄はあり六月忌 三玉一郎
【入選】
生きながら壜の中なる蝮かな 川辺酸模
名刹の床高くして蟻地獄 阿部けいこ
遅れ来て俄かに音の扇かな 上村幸三
白百合がひらききつたる怒濤かな 三玉一郎
干し草を泥ごと口へ被曝牛 宮本みさ子
木下闇鬼の牙ある村社 阿部けいこ
読み返す沖縄ノート慰霊の日 川辺酸模
マスクかけ夏の乙女の目となりぬ 青沼尾燈子
コザックのダンス軽快麦稔る 鈴木伊豆山
多羅葉に鎮魂の詩夏の海 佐藤和子
足広げ吊り下げられて蛸の夏 青沼尾燈子
天の川隅に寝たふり犬一尾 青沼尾燈子
閂をはずし野馬追近づきぬ 佐伯律子
縦長の会津絵暦鰻食ぶ 佐藤和子
葬られぬ人人人や草いきれ 齋藤嘉子
第二句座(青鷺、梅雨茸、風鈴)
・長谷川冬虹選
【特選】
梅雨茸の忍びの姿発光す 及川由美子
風鈴の音に生まるる水輪かな 三玉一郎
親しげな顔して生えて梅雨きのこ 辻奈央子
【入選】
風鈴や気怠き午後の生返事 谷村和華子
梅雨茸や人はそれぞれ過去のあり 甲田雅子
風鈴をあるだけ吊りて仮設かな 宮本みさ子
梅雨茸やこれから越える八十里 武藤主明
人逝きてただ風鈴の音のこる 三玉一郎
・長谷川櫂選
【特選】
青鷺や五六羽群れて妖しかり 上 俊一
親しげな顔して生えて梅雨きのこ 辻奈央子
美しき後は無残や梅雨茸 那珂侑子
梅雨茸人の戦を見てをりぬ 青沼尾燈子
青鷺の体をくづして獲る一瞬 石川桃瑪
【入選】
風鈴をあるだけ吊りて仮設かな 宮本みさ子
風鈴や楸邨句集に父のメモ 長谷川冬虹
移住者のガラス工房風鈴よ 佐藤和子
風鈴や伊万里焼売る軒の先 川辺酸模
青鷺のまばたきもせず狙ひけり 佐伯律子
工作の風鈴ぜんぶ風よ吹け 服部尚子
青鷺や磐梯山は湖の上 武藤主明
青さぎの岩すれすれや舟下る 宮本みさ子
青鷺や植田を過ぎる雲の影 川辺酸模
梅雨茸の忍びの姿発光す 及川由美子
残照の水を青鷺打ちて発つ 石川桃瑪
青鷺や舟唄流る最上川 甲田雅子
人逝きてただ風鈴の音のこる 三玉一郎
父求む南部風鈴かすかなり 佐伯律子
滝壺にぴくりともせず青鷺よ 上 俊一
絵付け待つ風鈴ならぶ三和土かな 武藤主明