古志広島ズーム句会(2021年8月1日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
蚊帳畳む蚊の鳴く声もたたみけり 大平佳余子
香水瓶天使の羽の栓ひらく 飛岡光枝
初句集香水よりもかぐはしく 神戸秀子
吊されて無聊をかこつ蠅叩 城山邦紀
白服の働くピクトグラムかな ももたなおよ
籐寝椅子父の背中を感じをり 斉藤真知子
【入選】
うちわ絵の東山から風がくる 丸亀葉七子
キャンプ場男を磨け肝試し 林弘美
この星の未来やいかに蟇鳴ける 米山瑠衣
メダル独占溽暑コロナのおもてなし 岡村美紗子
夏休み女を研けお手伝い 林弘美
向日葵でそつと隠すや銀メダル 原京子
向日葵やぎしぎしと鳴る外階段 大場梅子
失政は何もたらすや秋に入る 長谷川櫂
青葡萄触れたそよ風来たりけり 高橋真樹子
蚤取の首輪うれしき仔犬かな 菅谷和子
捕虫網空の果てまで追ふてゆけ ストーン睦美
放たれて虫は途方に暮れにけり 斉藤真知子
流れくる藻の花足をくすぐりぬ 飛岡光枝
・長谷川櫂選
【特選】
夏潮の青の輝き初句集 矢野京子
夏帽子ふたつのあとを夏帽子 長井亜紀
香水瓶天使の羽の栓ひらく 飛岡光枝
死に絶えし島にそよぐや青芭蕉 飛岡光枝
昼寝覚五輪死闘の真最中 夏井通江
朝顔に真白き花や原爆忌 斉藤真知子
葉漏れ日を一房にして青葡萄 高橋真樹子
【入選】
原爆ドーム無言で語る炎暑かな 土谷眞理子
原爆忌いまも変はらずここに住み 矢野京子
初句集香水よりもかぐはしく 神戸秀子
蚤取の首輪うれしき仔犬かな 菅谷和子
亡き父に謎多かりき終戦日 石塚純子
流れくる藻の花足をくすぐりぬ 飛岡光枝
第二句座(席題:終戦日、虫籠)
・矢野京子選
【特選】
いまもなほ戦する国終戦日 菅谷和子
横たはる流木のこゑ終戦日 大場梅子
怖きもの真つ直ぐに見よ敗戦忌 米山瑠衣
【入選】
虫籠を逃げし虫飛ぶ子供部屋 林弘美
クラスには和子五人や敗戦忌 菅谷和子
終戦の心を今に西瓜食ふ 長谷川櫂
虫籠の羽化覗きこむ目が八つ 丸亀葉七子
虫籠の掃除はいつも次男坊 原京子
虫籠の虫聞く大きな耳かざり 飛岡光枝
百歳の母の合掌終戦忌 ももたなおよ
・長谷川櫂選
【特選】
虫籠を置くうつくしき闇の中 矢野京子
米の粒数へしことや敗戦忌 米山瑠衣
母親の腹の子なりし終戦日 上松美智子
【入選】
虫籠を逃げし虫飛ぶ子供部屋 林弘美
クラスには和子五人や敗戦忌 菅谷和子
ポケットの小さな箱に虫鳴かす 飛岡光枝
横たはる流木のこゑ終戦日 大場梅子
空っぽの虫籠ひとつ軒の下 城山邦紀
高階や虫籠に星降るばかり 神戸秀子
砂浴びの雀八月十五日 神戸秀子
百歳の母の合掌終戦忌 ももたなおよ
父と子の虫かご下がる櫟の木 ももたなおよ
変はらぬは空ばかりなり終戦忌 河本秀也