古志鎌倉ズーム句会(2021年7月11日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
暑き日や戦争もなく風もなく 神谷宣行
三輪山をすつと描き足す白団扇 西村麒麟
豊かなる頬よ寝茣蓙の跡つけて わたなべかよ
土石流をまぬがれてきし髪洗ふ 川村玲子
梅雨出水家が家押し流れくる 澤田美那子
【入選】
かはたれの川辺にぎやか蚊喰鳥 曽根崇
この空を七夕竹よ祓ひたれ 藤原智子
イサム・ノグチ石を涼しくしてゐたり 西村麒麟
田の神へあをあを盛りぬ朴葉鮨 わたなべかよ
君とゐて君が恋しき胡瓜もみ 森永尚子
•長谷川櫂選
【特選】
けだるさやふた夜眠りし蓮ひらく 葛西美津子
青梅雨や底脱の井の底覗く 金澤道子
梅雨出水家が家押し流れくる 澤田美那子
燃えのこる炎のかたち蛇の衣 関根千方
【入選】
人災の肥大化やまぬ暑さかな 関根千方
草笛や山川草木合奏す 曽根崇
団扇もて観客もどる名古屋場所 吉田順子
虫干しや足袋に短パン狂言師 西川遊歩
海老蔵のぶつ通しなり夏芝居 藤英樹
田の神へあをあを盛りぬ朴葉鮨 わたなべかよ
大好きな山河ずたずた梅雨出水 仲田寛子
オリンピックこんなはずでは冷奴 木下洋子
合歓の花枝広々と水のうへ 藤英樹
子供らの喧嘩わけ入る団扇かな 升谷正博
第二句座(席題:金玉糖、赤潮)
•藤英樹選
【特選】
お使いの子供に包む金玉糖 田中益美
赤潮や網繕うてもう四日 葛西美津子
金玉糖すけて女の細き指 吉田順子
百歳を喜ばしたる金玉糖 長井はるみ
【入選】
赤潮を戻りし舟のけだるさよ 葛西美津子
赤潮にさびれてゆくや日照り町 森永尚子
赤潮の湾を占めたる速さかな 湯浅菊子
牡蠣いかだ易々と呑みくされ潮 曽根崇
•長谷川櫂選
【特選】
影の手が死魚を摑むやくされ潮 神谷宣行
心まで病むことなかれ琥珀糖 イーブン美奈子
一粒に心すずしく金玉糖 わたなべかよ
赤潮やただただつづく波の音 神谷宣行
かさと紙に触れたる音や金玉糖 藤原智子
【入選】
三色の金玉糖を仏壇に 田中益美
金玉糖父がつまんで行きにけり 西村麒麟
色々の三角四角金玉糖 西村麒麟
赤潮を戻りし舟のけだるさよ 葛西美津子
懐紙にとる金玉糖のなすびかな 木下洋子
新院の恨みなるらん腐れ潮 藤英樹
お使いの子供に包む金玉糖 田中益美
赤潮を兢々として魚師溜まり 湯浅菊子
赤潮は海の怒りの色ならん 関根千方
熱の子に欠けらふくます金玉糖 森永尚子
赤潮や網繕うてもう四日 葛西美津子
沖縄の海の青さよ金玉糖 仲田寛子
牡蠣いかだ易々と呑みくされ潮 曽根崇
百歳を喜ばしたる金玉糖 長井はるみ
赤潮や米を研ぐのも控えんと 藤原智子
深川の芸者手強し金玉糖 藤英樹