ネット投句/軽井沢ズーム句会(2015年5月5日)
長谷川櫂選
・一座目
【特選】
目を丸くして走り出す羽抜鶏 片山ひろし
噴水やかたち無き水楽しげに 安藤久美
軽鴨の子水輪競べの限無しや 湯浅菊子
湯のやうな六反五畝や田草取る 園田靖彦
【入選】
黒揚羽今宵いづこの花の床 玉置陽子
バタフライ背泳もあり鯉幟 園田靖彦
水ゆらし岩魚のひかり溯る 梅田恵美子
きりきりと粽束ねて立たせあり 高角みつこ
蛇渡る濁れる沼を音もなく 片山ひろし
木端から箸置き作るこどもの日 花井淳
飛ばされて麦わら帽子捕まらず 上田雅子
黒砂糖添へてあく巻届きけり 池田祥子
ひと夏を過ごす木陰やハンモック 上田雅子
ずっしりと深山のごとき草の餅 岩井善子
・二座目
【特選】
夢の中まで薬玉の香るかな 岩井善子
広縁を暗うして咲く楝かな 密田妖子
薬玉や不老長寿の愚かしさ 湯浅菊子
薬玉のかんばしき香の我が家かな 安藤文
夕星の通ふ空あり花あふち 玉置陽子
子の摘みし草ぐさ添へて五月玉 藤岡美惠子
【入選】
薬玉や嬰に持たせる五色の緒 玉置陽子
薬玉や玉座にあがる武則天 北側松太
五月玉男子も女子も健やかに 上田雅子
天辺は日輪の中花あふち 稲垣雄二
庭からの風香らせる長命縷 越智淳子
退職者なれど日々あり花あふち 湯浅菊子
避病院跡花あうち散るばかり 丸亀葉七子
夜の更けてしんと垂れあり薬玉 高角みつこ
五月玉ながながき尾は神代より 安藤久美
喜寿越えて後は薬玉たてまつる 園田靖彦
寺町に練る墨の香よ花袴 高橋真樹子
籠り居てつまらなき日々楝の花 安藤文
親越えて大きく育て五月玉 稲垣雄二
うつうつと日の移りゆく花樗 松川まさみ
せんだんの花散る頃か君の郷 上田雅子
水をのむのどうつくしきはなあふち 三玉一郎
業平の世とはかくやか五月玉 高角みつこ
薬玉の薬臭きも有難く 上田雅子
薬玉の力を信じ生きんとす 園田靖彦